ダイズステロールの基本情報・配合目的・安全性

ダイズステロール

化粧品表示名称 ダイズステロール
化粧品国際的表示名称(INCI名) Glycine Soja (Soybean) Sterols
配合目的 乳化安定化エモリエント など

1. 基本情報

1.1. 定義

マメ科植物ダイズ(学名:Glycine soja 英名:Wild soya bean)から得られるステロール(∗1)です[1]

∗1 動物に含まれるステロールは動物ステロールと総称され、主な動物ステロールとしてコレステロールがあります。また植物に含まれているステロールは植物ステロール(フィトステロール)と総称され、主なフィトステロールとして以下の化学式で表されるシトステロール(sitosterol)、スチグマステロール(stigmasterol)、カンペステロール(campesterol)などがあります。

β-シトステロール(β-sitosterol)
β-シトステロール
スチグマステロール(stigmasterol)
スチグマステロール
カンペステロール(campesterol)
カンペステロール

1.2. ステロール組成

ダイズステロールのステロール組成は、

種類 比率(%)
β-シトステロール 57-72
スチグマステロール 10-24
カンペステロール 15-21

このような種類と比率で構成されていることが報告されています[2a]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 乳化安定化
  • エモリエント効果

主にこれらの目的で、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、日焼け止め製品、マスク製品、洗顔料、クレンジング製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、アウトバストリートメント製品など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 乳化安定化

乳化安定化に関しては、ダイズステロールはフィトステロールと同様のステロール組成であり、フィトステロールと同様に親油性乳化性能を有していることから[3a]、乳化の安定性を高める目的でクリーム系製品、乳液、メイクアップ製品、ヘアケア製品などに汎用されています。

2.2. エモリエント効果

エモリエント効果に関しては、ダイズステロールはフィトステロールと同様のステロール組成であり、皮膚親和性および皮膚浸透性がよく、皮膚に柔軟性や滑らかさを付与するエモリエント性を有していることから[3a][4]、各種クリーム、乳液、メイクアップ製品、ヘアケア製品などに汎用されています。

3. 混合原料としての配合目的

フィトステロールズは、混合原料が開発されており、フィトステロールズと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 AMISOLSOFT
構成成分 レシチンダイズステロールべヘニルアルコールステアリン酸グリセリル
特徴 ラメラ構造を構築し、高い保湿性を発揮するO/W型乳化剤
原料名 AMISOLTRIO
構成成分 リン脂質、ダイズ油ダイズステロール、糖脂質
特徴 過剰な洗浄により乾燥した肌や髪の水/油バランスを回復し、皮膜形成により水分蒸散を防ぐ脂質複合成分
原料名 Avocadol
構成成分 ダイズ油ダイズステロールラウリン酸ヘキシルアボカド油セテアリルアルコール
特徴 ステロールを豊富に含有する植物性バター

4. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ダイズステロールの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

5. 安全性評価

ダイズステロールの現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2b]によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、これらの試験物質に皮膚刺激は予測されなかった(Active Concepts,2012;2013)

– 大豆にアレルギーを有する場合 –

  • [ヒト試験] 皮膚に1滴垂らし検査用の針を皮膚の表面に押し当てて15分後に反応を観察するプリックテストで市販の大豆抽出物に対して陽性反応を示した22名の被検者のうち、16名が大豆分離物に対して陽性反応を示し、6名が大豆に対して陽性反応を示しましたが、大豆由来フィトステロールに対して反応を示した被検者はいなかった(European Food Safety Authority,2007)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

5.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[2c]によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、眼刺激は予測されなかった(Active Concepts,2012;2013)

このように記載されており、試験データをみるかぎり眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

6. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「ダイズステロール」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,628-629.
  2. abcW.F. Bergfeld, et al(2014)「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics(∗3)」, 2022年2月6日アクセス.
    ∗3 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。
  3. ab宇山 侊男, 他(2020)「ダイズステロール」化粧品成分ガイド 第7版,63.
  4. 平尾 哲二(2006)「乾燥と保湿のメカニズム」アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線,62-75.

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