ラウリルアルコールの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名称 | ラウリルアルコール |
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医薬部外品表示名称 | ラウリルアルコール |
化粧品国際的表示名称(INCI名) | Lauryl Alcohol |
配合目的 | 乳化安定化、加脂肪 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表される、炭素数12で構成された一価アルコールかつ脂肪族アルコール(高級アルコール)です[1]。
1.2. 物性
ラウリルアルコールの物性は、
融点(℃) | 沸点(℃) | 溶解性 |
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23.4 | – | 水に難溶、エタノール、エーテルに可溶 |
このように報告されています[2a]。
1.3. 分布
ラウリルアルコールは、自然界において鯨油、ヤシ油などに存在しています[2b]。
1.4. 化粧品以外の主な用途
ラウリルアルコールの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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医薬品 | 基剤目的の医薬品添加剤として外用剤に用いられています[3]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 乳化安定化
- 加脂肪
主にこれらの目的で、スキンケア製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、シャンプー製品、洗顔料、ボディソープ製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 乳化安定化
乳化安定化に関しては、ラウリルアルコールは化学構造的に炭素数12(C12)という比較的短い直鎖構造の末端にあるヒドロキシ基(-OH)が親水活性を与え、油相と水相の界面においてその界面膜を強靭なものとすることから、乳化製品の経時的安定化目的でクリーム系製品、乳液、ヘアケア製品などに使用されています[4]。
2.2. 加脂肪
加脂肪に関しては、ラウリルアルコールは洗浄製品に加えることで泡をきめ細かくし、かつ過渡の脱脂を抑制することから[5][6][7]、皮膚・毛髪の保護を兼ねた泡質改善目的で主に洗顔料、シャンプー製品、ボディソープ製品などに使用されています。
3. 混合原料としての配合目的
ラウリルアルコールは、混合原料が開発されており、ラウリルアルコールと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。
原料名 | PROLIPID 141 |
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構成成分 | ステアリン酸グリセリル、べヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、レシチン、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール |
特徴 | ラメラ液晶を形成するO/W型乳化剤 |
4. 安全性評価
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021に収載されており、配合製品数は多いとはいえないものの、40年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。
5. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「ラウリルアルコール」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,1023.
- ⌃ab大木 道則, 他(1989)「ラウリルアルコール」化学大辞典,2435.
- ⌃日本医薬品添加剤協会(2021)「ラウリルアルコール」医薬品添加物事典2021,696.
- ⌃鈴木 一成(2012)「ラウリルアルコール」化粧品成分用語事典2012,49.
- ⌃日油株式会社(2019)「高級アルコール」化粧品用・医薬品用製品カタログ,36.
- ⌃日光ケミカルズ株式会社(1982)「過脂肪剤」化粧品製剤実用便覧,17.
- ⌃田村 隆光(2009)「界面活性剤水溶液の泡膜特性」オレオサイエンス(9)(5),197-210. DOI:10.5650/oleoscience.9.197.