ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 光沢
ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)
[化粧品成分表示名称]
・ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)

[医薬部外品表示名称]
・ジリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)

化学構造的に脂肪酸の一種であるジリノール酸(∗1)に、アルコール成分として植物ステロールであるフィトステロールズおよび分岐鎖を有するイソステアリルアルコールを結合して得られるジエステル(∗2)であり、分子量1,200のダイマー酸エステル(∗3)です(文献1:2000)

∗1 「モノ(mono)」「ジ(di)」「トリ(tri)」はギリシャ語でそれぞれ「1」「2」「3」を意味しますが、ジリノール酸とは、炭素数18(C18)の不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸が2つ結合した二量体のことをいいます。二量体とはダイマー(dimer)とも呼ばれ、2つの同種の分子または単量体がまとまった物質のことをいいます。

∗2 モノエステルとは分子内に1基のエステル結合をもつエステルであり、通常はギリシャ語で「1」を意味する「モノ(mono)」が省略され「エステル結合」や「エステル」とだけ記載されます。2基のエステル結合の場合はギリシャ語で「2」を意味する「ジ(di)」をつけてジエステルと記載されます。

∗3 ダイマー酸とは、炭素数18の不飽和脂肪酸(主にオレイン酸リノール酸)を二量化して得られる炭素数36の二量化脂肪酸(脂肪族二塩基酸)を指します(文献1:2000)。

2000年以前においては、抱水性、エモリエント性、光沢性、顔料分散性などに優れた代表的なペースト状油性基剤として羊毛脂由来のラノリンが汎用されていましたが、動物由来原料の安全性への懸念などを背景に1990年代から植物由来原料が好まれる傾向が大きくなる中で、ラノリンの代替として開発されたラノリン様特性を有した植物由来ペースト状油性基剤です(文献1:2000)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、リップ化粧品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ネイル製品などに使用されています。

抱水性エモリエント作用

抱水性エモリエント作用に関しては、一般的に抱水性の高い油剤はエモリエント効果が高いことが知られており、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)は高い抱水性をはじめ、ラノリンに類似した粘度挙動を有することが報告されています(文献1:2000)

このような機能性から、高いエモリエント効果、しっとり感付与目的でリップ化粧品、アイシャドー、アイケアクリーム、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ネイル製品などに使用されています。

日本精化によって公開されたダイマー酸エステルの抱水性比較検証によると、

ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、液状ラノリン、ヒマシ油またはポリブテンに精製水を滴下しながら練り込み、水が入らなくなった点を終点とし、英国薬局方、ラノリンの含水価測定法に準じて試料に対する百分率で抱水率を測定したところ、以下のグラフのように、

ダイマー酸エステルの抱水性

ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)は、抱水性の高さで知られるラノリンほどではないが、含水価280%の高い抱水性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:-)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)に優れた抱水性が認められています。

光沢付与

光沢付与に関しては、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)は高い屈折率(40℃で1.487、20℃で1.491)を有しており(文献2:-)、ツヤ感の付与目的でとくにリップ化粧品、ネイル製品に使用されています。

ジリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)は、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0
育毛剤 配合不可
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 50.0
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

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ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の安全性(刺激性・アレルギー)について

ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

日本精化の安全性試験データ(文献1:2000)によると、

  • [ヒト試験] 45人の被検者にダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)をパッチ適用したところ、いずれの被検者も皮膚反応を示さず、この試験物質は陰性であった
  • [動物試験] ウサギを用いてダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を対象に皮膚一次刺激性試験を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤ではなかった
  • [動物試験] モルモットを用いてダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

安全性データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと記載されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

日本精化の安全性試験データ(文献1:2000)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)を対象に眼刺激性試験を実施したところ、この試験物質は眼刺激性を示さなかった

と記載されています。

安全性データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)はエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分

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文献一覧:

  1. 片山 剛(2000)「新規植物性油剤」Fragrance Journal(28)(12),75-80.
  2. 日本精化株式会社(-)「LUSPLANシリーズ」技術資料.

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