ラウロイルサルコシンイソプロピルとは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 分散
ラウロイルサルコシンイソプロピル
[化粧品成分表示名称]
・ラウロイルサルコシンイソプロピル

[医薬部外品表示名称]
・N-ラウロイルサルコシンイソプロピル

化学構造的にアシルアミノ酸系に分類されるラウロイルサルコシン(∗1)に低級アルコールかつ一価アルコールであるイソプロパノールを結合した分子量313.5のアシルアミノ酸系エステルです(文献2:2020)

∗1 サルコシン(sarcosine)とは、生体内においてコリンから中性アミノ酸であるグリシンへの代謝中間体であるN-メチルグリシンのことであり、ラウロイルサルコシンとはサルコシンと高級脂肪酸の一種であるラウリン酸のアミドです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、洗顔料、クレンジング製品、ヘアケア製品、アウトバストリートメント製品、ハンドケア製品などに使用されています。

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、ラウロイルサルコシンイソプロピルは低粘度であり、優れた展延性(∗2)、非常に軽い感触および様々な油剤に対する優れた溶解性を有しており、とくに溶解性に関しては一般的な油剤では溶解することが困難な薬剤や有機系紫外線吸収剤(∗3)の溶解性に優れていることから(文献3:2002)、日焼け止め機能を有した製品、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品などに使用されています。

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

∗3 溶解が困難な成分としてセラミドγ-オリザノールコレステロールなどが、有機系紫外線吸収剤としてはオキシベンゾン-3t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられます。

顔料分散

顔料分散に関しては、ラウロイルサルコシンイソプロピルは優れた顔料分散性を有しており(文献3:2002)、日焼け止め製品、リップ化粧品、ファンデーションなどに使用されています。

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ラウロイルサルコシンイソプロピルの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウロイルサルコシンイソプロピルの現時点での安全性は、

  • 2000年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

National Industrial Chemicals Notification and Assessment Schemeの安全性試験データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギ(数不明)を用いてラウロイルサルコシンイソプロピルを対象に皮膚刺激性試験を実施したところ、この試験物質はわずかな皮膚刺激剤に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな皮膚刺激が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

National Industrial Chemicals Notification and Assessment Schemeの安全性試験データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギ(数不明)を用いてラウロイルサルコシンイソプロピルを対象に眼刺激性試験を実施したところ、この試験物質はわずかな眼刺激剤に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

National Industrial Chemicals Notification and Assessment Schemeの安全性試験データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] モルモット(数不明)を用いてラウロイルサルコシンイソプロピルを対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質に皮膚感作の兆候はみられなかった

– 個別事例 –

東京医科大学皮膚科の診療データ(文献4:2018)によると、

  • [個別事例] 以前に顔面に灼熱感と掻痒をともなう浮腫性紅斑と水疱の病歴をもつ日本人女性(43歳)に化粧品によるアレルギー性接触皮膚炎が疑われたため、ICDRG(International Contact Dermatitis Research Group)が推奨する基準に基づいてパッチテストを実施したところ、化粧品に陽性反応が観察された。この結果から個々の化粧品成分をパッチテストしたところ、ラウロイルサルコシンイソプロピル5%エタノールで陽性反応がみられ、他の22成分では陰性であった。ラウロイルサルコシンイソプロピル5%エタノールを対象に健常な皮膚を有する4人のボランティアに同様のパッチテストを実施したところ、いずれのボランティアも陰性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、個別事例として一例の皮膚感作事例が報告されています。

∗∗∗

ラウロイルサルコシンイソプロピルはエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme(2016)「Glycine, N-methyl-N-(1-oxododecyl)-, 1-methylethyl ester」Public Report.
  2. “Pubchem”(2020)「Isopropyl lauroyl sarcosinate」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Isopropyl-lauroyl-sarcosinate> 2020年8月11日アクセス.
  3. 中西 紀元(2002)「新規なエモリエント剤(ラウロイルサルコシンイソプロピル)の持つ高度な溶解性とサンスクリーン処方への応用」Fragrance Journal(30)(6),43-48.
  4. Takafumi Numata, et al(2018)「Allergic contact dermatitis caused by isopropyl lauroyl sarcosinate」Contact Dermatitis(80)(1),58-59.

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