ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 分散 光沢
ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(べヘニル/イソステアリル/フィトステリル)
[化粧品成分表示名称]
・ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

[医薬部外品表示名称]
・アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル

アジピン酸と、カプリル酸、カプリン酸、ステアリン酸イソステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸の混合ジグリセリルとのジエステル(ジカルボン酸:エステル油)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、口紅、リップ製品、メイクアップ化粧品など様々な製品に使用されます(文献3:-)

ラノリンと同等の効果を有しており、アレルギーの懸念があるラノリンの代替として使用されます。

抱水性を有するエモリエント作用

抱水性を有するエモリエント作用に関しては、日本精化の技術情報によると、

ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/べヘニル)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、ラノリン、ワセリンまたはオリーブ油10gに精製水を0.2から0.5mLずつ滴下しながら練り込み、水が入らなくなった点を終点とし、英国薬局方、ラノリンの含水価測定法に準じて試料に対する百分率で抱水率を測定したところ、以下のグラフのように、

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の抱水性

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2は、抱水性の高さで知られるラノリンと同等の抱水性を有するダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/べヘニル)ほどではないが、高い抱水性を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:-)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2に抱水性を有するエモリエント作用が認められています。

顔料分散

顔料分散に関しては、日本精化の技術情報によると、

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の顔料分散性を検討するために、酸化チタンまたはベンガラに試料を20質量%加え、流動パラフィンを徐々に加えながらよくかき混ぜ、Flow Point(均一な流動性を示すようになる流動パラフィンの最小量(g/100g顔料))を求めたところ、以下のグラフのように、

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の顔料分散性(二酸化チタン)

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の顔料分散性(ベンガラ)

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2は、ラノリンと同等の有意な顔料分散性が示された。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:-)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2に顔料分散効果が認められています。

顔料分散目的で化粧品に配合される場合は、口紅やリップスティックなどのリップ化粧品、アイシャドーやアイブロウまたはアイペンリスなどの目元用メイクアップ化粧品、また酸化チタンなどの紫外線散乱剤の分散目的で日焼け止め製品、チークやファンデーションなどのメイクアップ化粧品などに使用されます。

光沢付与

光沢付与に関しては、日本精化の技術情報によると、

各試料と、流動パラフィンおよびセレシンを用いて30:50:20質量%の配合比でスティック製剤を調製し、パラフィン紙に一定量を塗布し、グロスメーターで光沢度を測定したところ、以下の表のように、

試料 光沢度
なし 34
ワセリン 38
ラノリン 42
ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2 39

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2は、ラノリンと同等の光沢度を示した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:-)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2に光沢付与効果(ツヤ向上効果)が認められています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の安全性(刺激性・アレルギー)について

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 44人の被検者の無傷の腕に5%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含むワセリンを24時間閉塞パッチで単回適用したところ、皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎7人と皮膚過敏症5人を含む50人の被検者の背中に未希釈のビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を2mg/c㎡閉塞パッチで48時間適用し、パッチ除去24時間後に試験部位を評価したところ、1人の被検者は明確な紅斑が観察されたが、24時間後には正常に回復していたが、この反応は有意な刺激性であると判断された

開発元のCREMERの安全データシート(文献2:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD406テストガイドラインに基づいた皮膚感作Maximization試験において、非感作性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚一次刺激はほとんどなしと報告されていますが、累積刺激において軽度の報告があるため、皮膚一次刺激性はほとんどないと考えられますが、連用において軽度の累積刺激が起こる可能性が考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に未希釈のビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を0.1mL点眼し、72時間まで眼を検査したところ、最大眼刺激スコア4のうち2で軽度の結膜刺激が観察された。全ての刺激は5日後には正常に戻った

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激または軽度の結膜刺激が報告されているため、軽度の眼刺激性が起こる可能性が考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者に36%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含む口紅製剤0.1mLを誘導期間において2×2cmの閉塞パッチで48~72時間適用し、週3回3週間連続で繰り返した。10~15日間の無処置期間を経て48時間チャレンジパッチを同じ試験部位に適用し、パッチ除去後に評価したところ、1人の被検者は誘導期間の4~7回目のパッチで中等の紅斑を有したが、チャレンジ期間にはほかの反応は観察されなかったため、刺激剤および増感剤ではないと結論づけられた
  • [動物試験] 20匹のモルモットの剃毛した肩4×6cm領域に事前に5%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を皮内注射し、その後誘導期間として25%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含むワセリンを48時間閉塞パッチ適用し、14日の休息期間を経て、チャレンジパッチとして未処置部位に25%試験物質を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に評価したところ、Maximization試験(GPMT)において非感作に分類された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] 4匹のウサギの右耳にビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(0.5mL)を毎日1回、週5日4週間連続で適用したところ、初期適用後に4匹すべての耳においてコメドに広がる目視で確認できる角化症の増加が観察されたが、初期以外のすべての試験日でコメドジェニックスコアは0であり、試験物質はノンコメドジェニックであると判断された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、アクネ菌増殖性なしと報告されているため、アクネ菌増殖性はほとんどないと考えられます。

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ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2は、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(5),56S-64S.
  2. CREMER(2013)「SOFTISAN 649」技術試料
  3. 日本精化株式会社(-)「Plandool Series」技術資料.

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