ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル |
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医薬部外品表示名 | ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1) |
部外品表示簡略名 | 脂肪酸ジペンタエリスリチル-1 |
INCI名 | Dipentaerythrityl Hexahydroxystearate/Hexastearate/Hexarosinate |
配合目的 | エモリエント、光沢 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
エリスリトールの二量体(∗1)がもつ6個のヒドロキシ基(-OH)にヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸およびロジン酸の混合脂肪酸のカルボキシ基(-COOH)を脱水縮合(∗2)したヘキサエステルです[1][2a]。
∗1 二量体とはダイマー(dimer)とも呼ばれ、2つの同種の分子または単量体がまとまった物質のことをいいます。
∗2 脱水縮合とは、分子と分子から水(H2O)が離脱することにより分子と分子が結合する反応のことをいいます。脂肪酸とアルコールのエステルにおいては、脂肪酸(R-COOH)のカルボキシ基(-COOH)の「OH」とアルコール(R-OH)のヒドロキシ基(-OH)の「H」が分離し、これらが結合して水分子(H2O)として離脱する一方で、残ったカルボキシ基の「CO」とヒドロキシ基の「O」が結合してエステル結合(-COO-)が形成されます。
∗3 モノエステルとは分子内に1基のエステル結合をもつエステルであり、通常はギリシャ語で「1」を意味する「モノ(mono)」が省略され「エステル結合」や「エステル」とだけ記載されます。分子内に6基のエステル結合をもつ場合はギリシャ語で「6」を意味する「ヘキサ(hexa)」をつけてヘキサエステルと記載されます。
1.2. 物性・性状
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルの物性・性状は(∗4)、
∗4 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。またヨウ素価とは油脂を構成する脂肪酸の不飽和度を示すものであり、一般にヨウ素価が高いほど不飽和度が高い(二重結合の数が多い)ため、酸化を受けやすくなります。
状態 | 融点(℃) | ヨウ素価 |
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ペースト状物質 | 32-43 | <25(不乾性油) |
このように報告されています[2b]。
2. 化粧品としての配合目的
- 抱水性エモリエント効果
- 光沢付与
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、スキンケア製品、化粧下地製品、トリートメント製品、ボディ&ハンドケア製品などに汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 抱水性エモリエント効果
抱水性エモリエント効果に関しては、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルは優れた抱水性を示し、皮膚や毛髪に柔軟性や滑らかさを付与するエモリエント性を有していることから[2c][3a][4]、メイクアップ製品、スキンケア製品、化粧下地製品、トリートメント製品などに汎用されています。
2.2. 光沢付与
光沢付与に関しては、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルは屈折率が高く、光沢を付与する目的で主にメイクアップ製品、スキンケア製品、化粧下地製品、トリートメント製品などに使用されています[2d][3b]。
3. 安全性評価
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
3.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。