イソヘキサデカンの基本情報・配合目的・安全性

化粧品表示名 イソヘキサデカン
医薬部外品表示名 軽質イソパラフィン
INCI名 Isohexadecane
配合目的 エモリエント など

1. 基本情報

1.1. 定義

炭素数16(C16分岐脂肪族炭化水素(∗1)です[1a]

∗1 脂肪族炭化水素とは、鎖状または環状の非芳香族性の炭化水素のことです。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • エモリエント効果

主にこれらの目的で、メイクアップ製品、化粧下地製品、スキンケア製品、日焼け止め製品、パック&マスク製品、クレンジング製品、アウトバストリートメント製品などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. エモリエント効果

エモリエント効果に関しては、イソヘキサデカンは化学構造的に炭素数16で分岐鎖をもつ油状液体であり、油性感の少ない軽い感触、展延性(∗2)および皮膚の水分蒸発を抑え、その結果として皮膚に柔軟性や滑らかさを付与するエモリエント性を有していることから[1b][2][3][4]、各種クリーム、乳液、メイクアップ製品、ヘアケア製品などに汎用されています。

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

3. 混合原料としての配合目的

イソヘキサデカンは、混合原料が開発されており、イソヘキサデカンと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 SIMULGEL EG QD
構成成分 (アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、イソヘキサデカンポリソルベート80
特徴 シリコーンや植物油をはじめ、あらゆる油相成分を乳化可能な増粘剤
原料名 SIMULGEL FL
構成成分 (アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、イソヘキサデカンポリソルベート60
特徴 シリコーンや植物油をはじめ、あらゆる油相成分を乳化可能な増粘剤
原料名 SIMULQUAT HC 305
構成成分 (アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、イソヘキサデカン、コセス-7、
特徴 水や油と混合することで瞬時に安定な水性ジェルや乳化物を形成するヘアケア用カチオン性ポリマー

4. 配合製品数および配合量範囲

配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗3)

∗3 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

イソヘキサデカンの配合製品数と配合量の調査(2010年)

5. 安全性評価

イソヘキサデカンの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[5a]によると、

– 健常皮膚を有する場合 –

  • [ヒト試験] 52名のボランティアに40%イソヘキサデカン溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作の兆候を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2007)
  • [ヒト試験] 102名の被検者に20%イソヘキサデカンを含むアイメイクアップリムーバーを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、この試験製品は皮膚刺激および皮膚感作の兆候を示さなかった(Clinical Research Laboratories Inc,1998)
  • [ヒト試験] 600名の被検者に15%イソヘキサデカンを含む洗浄製品を対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作の兆候はみられなかった(Orentreich Research Corporation,2005)

– 皮膚炎を有する場合 –

  • [ヒト試験] 皮膚炎を有する26名および健常な皮膚を有する55名の参加者に100%イソヘキサデカンを対象に反復開放パッチテストを実施したところ、26名のうち2名の皮膚炎患者および55名のうち11名の参加者が陽性反応を示した(皮膚炎と健常な皮膚の間に統計的な有意差はなかった)。次に皮膚炎を有する19名および健常な皮膚を有する56名の対照参加者に同様のテストを実施したところ、いずれの参加者も陽性反応を示さなかった。これらの結果からこの試験物質の反応性パターンは濃度100%(未希釈)の場合において刺激物として非特異的に作用することを示唆していると考えられた(P Eisner et al,1995)

このように記載されており、試験データをみるかぎり化粧品配合量において共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

5.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[5b]によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に100%イソヘキサデカン0.1mLを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質は眼刺激を誘発しなかった(Laboratory for Pharmacology and toxicology,1980)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、55.5%イソヘキサデカンおよび35%イソドデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2007)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、40%イソヘキサデカンを含む混合物を処理したところ(HET-CAM法)、眼刺激性について陰性に分類された(Consumer Product Testing Co,2006)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して眼刺激なしと報告されていることから、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

6. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「イソヘキサデカン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,197.
  2. 宇山 侊男, 他(2020)「イソヘキサデカン」化粧品成分ガイド 第7版,54.
  3. LANXESS Distribution GmbH(2020)「PUROLAN IHD」Product Overview.
  4. 平尾 哲二(2006)「乾燥と保湿のメカニズム」アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線,62-75.
  5. abW. Johnson, et al(2012)「Safety Assessment of Isoparaffins as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(31)(6_suppl),269S-295S. DOI:10.1177/1091581812463087.

TOPへ