脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | 脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズ |
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INCI名 | C10-30 Cholesterol/Lanosterol Esters |
配合目的 | エモリエント、光沢 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
炭素数10-30の脂肪酸とコレステロールおよびラノステロールの混合物から得られるエステルの混合物です[1]。
1.2. 物性・性状
脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズの物性・性状は、
状態 | 無色-淡黄色の液体 |
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ヨウ素価 | 20-36(不乾性油) |
溶解性 | 鉱物油、植物油に可溶、水、エタノール、多価アルコールに不溶 |
このように報告されています[2a]。
2. 化粧品としての配合目的
- 抱水性エモリエント効果
- 光沢付与
主にこれらの目的で、リップ系メイクアップ製品、アウトバストリートメント製品、スキンケア製品、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品、ボディソープ製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 抱水性エモリエント効果
抱水性エモリエント効果に関しては、脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズはその組成がヒト皮膚の細胞間脂質の組成に類似しているため、皮膚との親和性が高く、また約7倍量まで水を吸収する抱水性を示し、皮膚や毛髪に柔軟性や滑らかさを付与するエモリエント性を有していることから[2b][3][4]、主にメイクアップ製品、スキンケア製品、トリートメント製品などに使用されています。
2.2. 光沢付与
光沢付与に関しては、脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズは高い光沢をもつことから、光沢やツヤを付与する目的で主にリップ系製品に使用されています[2c]。
3. 安全性評価
- 20年以上の使用実績(旧称「脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)」含む)
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
3.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
Crodaの安全性データ[5a]によると、
- [ヒト試験] 被検者(人数不明)に脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズを対象にパッチテストを実施したところ、この試験物質は非刺激剤および非感作剤に分類された
このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
3.2. 眼刺激性
Crodaの安全性データ[5b]によると、
- [動物試験] ウサギの眼に脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質はわずかな眼刺激剤に分類された
このように記載されており、試験データをみるかぎりわずかな眼刺激が報告されているため、一般に眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。
4. 参考文献
- ⌃日本化粧品工業連合会(2013)「脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズ」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,501.
- ⌃abcCroda Inc(2006)「Super Sterol Liquid」Technical Data Sheet.
- ⌃Cosmetics Innovations and Technologies s.a.r.l.(-)「Creasterol」Product Information.
- ⌃平尾 哲二(2006)「乾燥と保湿のメカニズム」アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線,62-75.
- ⌃abCroda Inc(2014)「Super Sterol Ester」Safety Data Sheet.