オレイルアルコールの基本情報・配合目的・安全性

オレイルアルコール

化粧品表示名称 オレイルアルコール
医薬部外品表示名称 オレイルアルコール
化粧品国際的表示名称(INCI名) Oleyl Alcohol
配合目的 エモリエント感触改良加脂肪溶剤 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される、炭素数と二重結合の数が18:1で構成された一価アルコールかつ不飽和脂肪族アルコール高級アルコールです[1a]

オレイルアルコール

1.2. 物性

オレイルアルコールの物性は、

融点(℃) 沸点(℃) 溶解性
5.5-7.5 195(8mmHg) 水に不溶、有機溶媒に可溶

このように報告されています[2][3a]

1.3. 分布

オレイルアルコールは、自然界において鯨油、オリーブ果実油ツバキ種子油などに存在しています[3b][4]

1.4. 化粧品以外の主な用途

オレイルアルコールの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 乳化、溶解補助目的の医薬品添加剤として外用剤に用いられています[5]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • エモリエント効果
  • 油性感および密着性低減による感触改良
  • 加脂肪
  • 溶剤

主にこれらの目的で、スキンケア製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、ヘアカラー製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. エモリエント効果

エモリエント効果に関しては、オレイルアルコールは皮膚親和性が高く、閉塞性により皮膚の水分蒸発を抑え、その結果として皮膚に柔軟性や滑らかさを付与するエモリエント性を有していることから[6a][7][8]、各種クリーム、乳液、メイクアップ製品、ヘアケア製品などに使用されています。

2.2. 油性感および密着性低減による感触改良

油性感および密着性低減による感触改良に関しては、オレイルアルコールは植物油脂の油性感やロウ類の密着性・粘稠性を低減する感触調整目的で口紅などのスティック系メイクアップ製品やクリーム系製品に使用されています[6b]

2.3. 加脂肪

加脂肪に関しては、オレイルアルコールは洗浄製品に加えることで泡をきめ細かくし、かつ過渡の脱脂を抑制することから[6c][9][10]、皮膚・毛髪の保護を兼ねた泡質改善目的で主に洗顔料、シャンプー製品などに使用されています。

2.4. 溶剤

溶剤に関しては、オレイルアルコールは主に原料に含まれる油溶性の化合物や植物エキスを溶かし込む溶剤として使用されています[1b]

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1985年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オレイルアルコールの配合製品数と配合量の調査結果(1985年および2002-2003年)

4. 安全性評価

オレイルアルコールの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[11a]によると、

  • [ヒト試験] 19名の被検者に20%オレイルアルコールを含むリップスティック製剤を24時間単回閉塞パッチ適用しパッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激の兆候はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 16名の被検者に20%オレイルアルコールを含むリップスティック製剤を24時間単回閉塞パッチ適用しパッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激の兆候はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 10名の被検者に2.5%オレイルアルコールを含む保湿剤を対象に21日間累積皮膚刺激性試験を実施し、累積皮膚刺激スコアを0-630のスケールで評価したところ、累積皮膚刺激スコアは59であり、この試験物質はわずかな皮膚累積刺激剤であった(Hill Top Research Inc,1979)
  • [ヒト試験] 52名の被検者に8%オレイルアルコールを含むリップスティック製剤を4週間毎日自宅使用してもらったところ、この試験製剤は皮膚刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 102名の被検者に12.7%オレイルアルコールを含むクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1973)
  • [ヒト試験] 210名の被検者に2.5%オレイルアルコールを含むクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Leo Winter Associates,1979)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通してほぼ皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[11b]によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%オレイルアルコールを点眼し、点眼後に眼刺激スコア0-110のスケールで眼刺激性を評価したところ、1日目の平均眼刺激スコアは1、2日目のスコアは0であり、この試験物質は実質的に眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%オレイルアルコール0.1mLを点眼し、点眼後に眼刺激スコア0-110のスケールで眼刺激性を評価したところ、1時間後の平均眼刺激スコアは7.17、24時間後のスコアは0.33、48時間後のスコアは0であり、この試験物質は実質的に眼刺激剤ではなかった(Guillot JP, et al,1977)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に1.5%オレイルアルコールを含むヘアドレッシング製剤0.1mLを点眼し、眼はすすがず、点眼後に眼刺激性を評価したところ、この試験物質は実質的に非刺激剤であった(N.J. Van Abbe,1973)

このように記載されており、試験データをみるかぎり共通して眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

4.3. 光毒性(光刺激性)および光感作性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[11c]によると、

  • [ヒト試験] 10名の被検者に2.5%オレイルアルコールを含むクリーム製剤を24時間単回パッチ適用した後に最小紅斑線量のライトを照射し、照射後に光刺激性を評価したところ、この試験物質は光刺激剤ではなかった(Leo Winter Associates,1979)
  • [ヒト試験] 25名の被検者に2.5%オレイルアルコールを含むクリーム製剤を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、いずれの被検者においても光感作の兆候はみられなかった(Leo Winter Associates,1979)

このように記載されており、試験データをみるかぎり光刺激および光感作なしと報告されているため、一般に光毒性(光刺激性)および光感作性はほとんどないと考えられます。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「オレイルアルコール」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,269.
  2. 大木 道則, 他(1989)「オレイルアルコール」化学大辞典,374.
  3. ab有機合成化学協会(1985)「(Z)-9-オクタデセン-1-オール」有機化合物辞典,183.
  4. 広田 博(1997)「一価アルコール」化粧品用油脂の科学,75-79.
  5. 日本医薬品添加剤協会(2021)「オレイルアルコール」医薬品添加物事典2021,117-118.
  6. abc広田 博(1970)「アルコール類」化粧品のための油脂・界面活性剤,48-57.
  7. 日光ケミカルズ株式会社(2016)「アルコール」パーソナルケアハンドブックⅠ,44-55.
  8. 平尾 哲二(2006)「乾燥と保湿のメカニズム」アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線,62-75.
  9. 日光ケミカルズ株式会社(1982)「過脂肪剤」化粧品製剤実用便覧,17.
  10. 田村 隆光(2009)「界面活性剤水溶液の泡膜特性」オレオサイエンス(9)(5),197-210. DOI:10.5650/oleoscience.9.197.
  11. abcR.L. Elder(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」Journal of the American College of Toxicology(4)(5),1-29. DOI:10.3109/10915818509078685.

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