フィトステロールズ(ダイズステロール)とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 安定化成分
フィトステロールズ
[化粧品成分表示名称]
・フィトステロールズ、ダイズステロール

[医薬部外品表示名称]
・フィトステロール

植物油の脱酸工程から得られるガム質から得られるステロール(ステロイドアルコール)です。

一般的には大豆に多く含まれており、フィト(phyto)が植物を意味することから植物ステロールとも呼ばれ、コレストロールと化学構造が類似しているため、性質もコレステロールと似ています。

ただし、コレステロールが単一の化合物であるのに対してフィトステロールズは、

  • β-シトステロール
  • スチグマステロール
  • カンペステロール

これらの混合物であり、比率は上から2:1:1で構成されています(文献2:2016)

コレストロールと性質が似ていること、また植物指向の風潮があることからコレステロールの代替として利用されることが多くなっています。

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、ヘアケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、など様々な製品に使用されます(文献2:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、コレステロールと類似した性質のため、クリーム系の化粧品やメイクアップ製品にエモリエント剤として配合されます(文献2:2016)

リポソームの安定化作用

リポソームの安定化作用に関しては、まず前提知識としてリポソームについて解説します。

リポソームとは、以下の画像のように、

リポソームの構造

細胞膜と同じ脂質二重膜からなる閉鎖小胞であり、1965年にリポソーム形成が発見されて以来(文献3:1965)、水溶性でそのままでは皮膚に浸透しない成分などを脂質二重膜に包み込んで、体内の成分分布を量的・空間的・時間的にコントロールするドラッグ輸送技術のひとつとして使用されてきています。

2007年にファンケルによって報告された超微細化リポソーム安定化技術検証によると、

界面活性剤を用いてリポソームの微細化検討を行い、フィトステロール添加によるリポソームの安定性および内水相容積を評価した。

リポソームの膜補助成分としてフィトステロールを添加した場合、粒子径と保持効率との間には比例関係が成り立つことがわかったが、フィトステロールを添加した場合は、添加していない場合に比べて同じ粒子径でも格段に保持効率を上昇させることがわかった。

またフィトステロールの添加によって膜厚が薄くなっていることがわかった。

さらにフィトステロールとポリオキシエチレンフィトスタノールを併用することで内水相容積の減少を抑制しながらリポソームを微細化できることもわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献4:2007)、コレステロールにリポソームの脂質安定化作用が認められています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

フィトステロールズの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

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フィトステロールズの安全性(刺激性・アレルギー)について

フィトステロールズの現時点での安全性は、外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績があり、皮膚刺激性や眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー)の報告もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者の前腕の擦過した皮膚に100%フィトステロールズ(サクロ由来)1mLを3日間連続して24時間チャンバー適用し、チャンバー除去30分後および次のチャンバー適用前に試験部位を評価したところ、皮膚を刺激しなかった
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2014)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に3種類の100%フィトステロールズ(ザクロ、大豆、アサイー由来)を処理したところ、眼刺激性は予測されなかった

と記載されています。

試験結果はin vitroのみで根拠としては弱いですが、眼刺激性は予測されていないため、現時点では眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性試験データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 市販の大豆抽出物に陽性反応を示した22人の被検者のうち、16人は大豆単離物に対して陽性反応を示し、6人は大豆に陽性反応を示した。19人はフィトステロールズに皮膚反応を示さなかった

と記載されています。

試験の詳細が不明なので根拠としては弱いですが、ほとんどの被検者がフィトステローズズでは皮膚反応を示さなかったため、現時点では皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
フィトステロールズ 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、フィトステロールズは毒性なし(∗1)となっており、毒性はほとんどないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

フィトステロールズは、エモリエント成分、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Phytosterols as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「フィトステロール」パーソナルケアハンドブック,47.
  3. A.D.Bangham, et al(1965)「Diffusion of univalent ions across the lamellae of swollen phospholipids」Journal of Molecular Biology(13)(1),238-252.
  4. 松尾 真樹, 他(1996)「超微細化リポソームの安定化技術」日本化粧品技術者会誌(41)(3),167-172.

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