テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルとは…成分効果と毒性を解説





・テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル
[医薬部外品表示名称]
・テトライソステアリン酸ペンタエリトリット
化学構造的に多価アルコールかつ糖アルコールの一種であるペンタエリトリトールのヒドロキシ基(水酸基)に合成飽和脂肪酸であるイソステアリン酸を4つエステル結合したエステル油です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品に使用されています(文献1:2015)。
エモリエント作用
エモリエント作用に関しては、ベトつき感がなく、サッパリした感触を付与し、吸着性および展延性(∗1)に優れていることから、口紅、ファンデーションなどのメイクアップ化粧品に使用されています(文献2:2015;文献3:2012)。
∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。
分散
分散に関しては、顔料・粉体を均一に分散させる分散性に優れていることから、口紅、ファンデーションなどのメイクアップ化粧品に使用されています(文献3:2012)。
光沢付与
光沢付与に関しては、屈折率が高く、ツヤが得られることから、口紅、ファンデーションなどのメイクアップ化粧品に使用されています。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性:ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [ヒト試験] 107人の被検者に55%テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルを含むリップグロスを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激性および皮膚感作性は観察されなかった(TKL Research,2010)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルはエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。
それぞれの成分一覧は以下からお読みください。
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文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Pentaerythrityl Tetraesters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(2_Suppl),99S-112S.
- 宇山 侊男, 他(2015)「テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル」化粧品成分ガイド 第6版,70.
- 鈴木 一成(2012)「テトライソステアリン酸ペンタエリトリット」化粧品成分用語事典2012,65.
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