ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 分散 乳化
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3
[化粧品成分表示名称]
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3

[医薬部外品表示名称]
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル

多価アルコールの一種であるグリセリンを3個結合した3量体(∗1)のトリグリセリン(ポリグリセリン-3)に炭素数18の合成飽和脂肪酸であるイソステアリン酸を2つエステル結合してつくられるジエステル(ポリグリセリン脂肪酸エステル:親油性非イオン界面活性剤)(∗2)です。

∗1 複数の分子結合がまとまって機能する複合体を多量体といい、トリグリセリンの場合、3個のグリセリンがまとまって機能しているため3量体として働きます。

∗2 ジエステルとは、分子内に2基のエステル結合を持つエステルのことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、口紅&リップグロス化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品などに使用されています(文献1:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、高粘性のエモリエント剤として口紅・リップケア化粧品、メイクアップ化粧品などに使用されます(文献1:2016)

分散

分散に関しては、無機粉体の分散性に優れていることから、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品に使用されます(文献2:2015)

乳化補助

乳化補助に関しては、軽微な非イオン界面活性を有しており、乳化補助目的でW/O型(油中水型)またはO/W型(水中油型)の乳化物に使用されます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2014-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の配合製品数と配合量の調査結果(2014-2015年)

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ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の安全性(刺激性・アレルギー)について

ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギにジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(濃度不明)をパッチ適用し、OOECD404テストガイドラインに基づいて皮膚刺激性を評価したところ、パッチ適用1時間後にすべてのウサギににわずかな紅斑が観察されたが、72時間以内にすべて消失した(European Chemicals Agency,2013;Anonymous,2016)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性は非刺激性-わずかな刺激性が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激性-わずかな刺激性が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼にジイソステアリン酸ポリグリセリル-3(詳細不明、おそらく未希釈)を点眼し、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、1時間でケモーシス(スコア1)および発赤(スコア2)が観察された。72時間ではケモーシスは完全に消失し、発赤スコアは1であった(Anonymous,2016)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、軽度の眼刺激性が報告されているため、軽度の眼刺激が起こる可能性があるとと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2016)によると、

  • [動物試験] 3匹のモルモットの剃毛した腹部に5%-50%ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3を含むパラフィンを6時間パッチ適用する感作性試験を実施したところ、パッチ除去24時間後で皮膚反応は観察されなかった(European Chemicals Agency,2013)
  • [動物試験] 20匹のモルモットに事前処理として10%SDSを、誘導期間およびチャレンジ期間において50%ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3を含むパラフィンを、再チャレンジ期間において25%ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3を含むパラフィンを用いた皮膚感作性試験を実施したところ、試験期間を通じて皮膚感作反応はなかった(European Chemicals Agency,2013)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

安全性についての捕捉

親水性薬剤である5-フルオロウラシルに対していくつかの賦形剤の皮膚浸透促進効果を評価した研究において、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3は浸透促進剤ではないと報告されています(文献2:1998)

∗∗∗

ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3はエモリエント成分、界面活性剤にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2016)「Safety Assessment of Polyglyceryl Fatty Acid Esters as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. P A Cornwell, et al(1998)「Glyceryl monocaprylate/caprate as a moderate skin penetration enhancer」International Journal of Pharmaceutics(171)(2),243-255.

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