ジイソステアリン酸グリセリルとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 分散
ジイソステアリン酸グリセリル
[化粧品成分表示名称]
・ジイソステアリン酸グリセリル

[医薬部外品表示名称]
・ジイソステアリン酸グリセリル

多価アルコールの一種であるグリセリンに炭素数18の合成飽和脂肪酸であるイソステアリン酸を2つエステル結合してつくられるジエステル(グリセリン脂肪酸エステル)(∗1)です。

∗1 ジエステルとは、分子内に2基のエステル結合を持つエステルのことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、口紅&リップグロス化粧品、メイクアップ化粧品、ネイル製品などに使用されています(文献1:2007)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、接着性に優れたエモリエント基剤として口紅・リップケア化粧品、メイクアップ化粧品、W/O型クリーム、クレンジングオイルなどに使用されます(文献1:2007)

分散

分散に関しては、顔料を均一に分散する分散性に優れていることから、口紅、リップグロスなどのメイクアップ化粧品に使用されます(文献2:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1999-2002年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ジイソステアリン酸グリセリルの配合製品数と配合量の調査結果(1999-2002年)

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ジイソステアリン酸グリセリルの安全性(刺激性・アレルギー)について

ジイソステアリン酸グリセリルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、また10年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激性の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 9匹のモルモットにジイソステアリン酸グリセリルを対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質はチャレンジ期間においていずれの濃度(5%,20%,50%および100%)においても皮膚感作を誘発しなかった(Shiseido Research Center,1977)

– 個別事例 –

  • [個別事例] リップクリームでの口唇炎の既往歴のある18歳の女性に口紅の成分のひとつであるジイソステアリン酸グリセリルを含む軟膏および精製ジイソステアリン酸グリセリルを48時間閉塞パッチ適用し、ICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の基準に従って評価したところ、48および72時間で両方のジイソステアリン酸グリセリルで強い陽性反応(++)が観察された(Hayakawa et al,1987)
  • [個別事例] 35歳の女性は1.77%ジイソステアリン酸グリセリルを含むファンデーションを使用した後にかゆみおよび顔面紅斑が観察された。製品の個々の成分を用いたパッチテストを実施し、ICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の基準に従って評価したところ、1.77%ジイソステアリン酸グリセリルを含む軟膏に陽性反応(+)がみられた。また患者は35.5%ジイソステアリン酸グリセリルを含む口紅に対しても感作反応を示した(Tanaka et al,1993)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

また2例の個別臨床データが報告されており、ごくまれに皮膚感作が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

ジイソステアリン酸グリセリルはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2007)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Glyceryl Dilaurate, Glyceryl Diarachidate, Glyceryl Dibehenate, Glyceryl Dierucate, Glyceryl Dihydroxystearate, Glyceryl Diisopalmitate, Glyceryl Diisostearate, Glyceryl Dilinoleate, Glyceryl Dimyristate, Glyceryl Dioleate, Glyceryl Diricinoleate, Glyceryl Dipalmitate, Glyceryl Dipalmitoleate, Glyceryl Distearate, Glyceryl Palmitate Lactate, Glyceryl Stearate Citrate, Glyceryl Stearate Lactate, and Glyceryl Stearate Succinate」International Journal of Toxicology(26)(3),1-30.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「ジイソステアリン酸グリセリル」化粧品成分ガイド 第6版,63.

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