消臭成分の解説と成分一覧

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消臭成分

消臭成分の定義

消臭成分とは、不快な臭いを軽減あるいは消滅させるために用いられる成分のことをいいます[1]

腋臭のメカニズムと腋臭抑制アプローチ

腋臭のメカニズムに関しては、まず発汗の構造として以下の体毛の構造図および表をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

体毛の構造図

  エクリン汗線 アポクリン汗腺
存在 生まれつきほぼ全身に存在し、とくに手のひら、足底、腋の下に多い 思春期に発達し、腋(わき)、臍(へそ)、陰部など特定部位に局在
役割 温熱刺激により発汗することで体温調節に関与するほか皮膚表面で皮脂と混ざり合って皮脂膜をつくり、皮膚にうるおいを付与 腺の発達が性ホルモンと関係しており、情緒刺激で発汗することから性的アピール機能との関連が考えられている

このように汗腺は、その種類によって役割が異なっており、また汗腺から出る汗自体はほとんど無臭であることが知られています[2a][3a]

体臭が発生するメカニズムとしては、汗腺分泌物(汗)が皮膚表面に出るとそこに含まれる糖タンパクや脂質などが常在細菌によって分解されることで臭気を帯びますが[3b]、その中でもアポクリン汗腺が存在する腋のにおいに関しては以下の汗腺の分泌物構成比率をみるとわかるように、

成分 構成比(%)
腺分泌物 皮表脂質(∗1)
アポクリン 皮脂
コレステロール 76.2 3.4 8.9
コレステロールエステル 0.9 8.8
ワックスエステル 3.6 21.8 21.2
スクアレン 0.2 19.0 13.4
グリセリド
脂肪酸類
19.2 55.9 47.4
脂質 20μg/μL 60μg/μ㎡
タンパク質 90μg/μL

∗1 皮表脂質とは、表皮細胞(角化細胞)の分化過程で産生されるコレステロール、コレステロールエステルなどの表皮脂質と皮脂腺由来の皮脂が皮膚表面で混ざったもののことをいいます。

皮脂腺や皮表脂質と比較してかなりの量のコレステロールと、ステロイド硫酸塩やタンパク質を含んでおり、これらの物質が腋の常在菌の多くを占める腋臭菌によって分解されることで、腋特有のにおいを発生させることが明らかにされています[4a]

また、アポクリン汗腺に存在する酵素であるアルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase)は、代謝が異常に旺盛な部分において活性が増強することが知られており、腋臭に関与すると考えられるアポクリン汗腺分泌物に関与している可能性が高いと考えられています[5]

腋に存在する常在菌の中で腋臭の主な原因菌とされているものは、現時点ではコリネバクテリウム属菌(学名:Corynebacterium)やアナエロコッカス属菌(学名:Anaerococcus)などが報告されており[4b][6]、これらがアポクリン汗腺分泌物を分解して発生させる分解臭成分としては、

化学名称 略号 臭いの種類
3-methyl-3-sulfanylhexan-1-ol
3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール
硫黄臭
(生臭く鼻をつくニオイ)
3-hydroxy-3-methyl hexanoic acid
3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸
HMHA スパイシー臭
(カレースパイス様)
3-methyl-2-hexenoic acid
3-メチル-2-ヘキセン酸
3M2H 脂肪酸臭
(古い雑巾様)

このような種類が報告されており[7][8]、主成分としてはHMHAおよび3M2Hであるとされています。

常在菌による分解臭のほかにも代謝物中の不飽和脂肪酸であるリノール酸リノレン酸と鉄が作用することによって酸化臭が発生することが知られており、不飽和脂肪酸と鉄が作用して発生する酸化臭成分としては、

化学名称 略号 臭いの種類
1-octen-3-one
1-オクテン-3-オン
OEO 金属臭
(マッシュルーム様)
cis-1,5-octadien-3-one
cis-1,5-オクタジエン-3-オン
ODO 金属臭
(カビ様)

このような種類が報告されており、体臭発生メカニズムとしては発汗直後から酸化臭が、およそ数時間から10時間程度の経過後に菌の増殖による分解臭がそれぞれ発生し、酸化臭は汗のかき始めのツンとくるにおいでは主要な構成成分ですが、分解臭が発生すると全体の2割程度の構成成分となることが明らかにされています[9]

このような背景から、腋臭菌の増殖を抑制することや鉄と不飽和脂肪酸の反応を抑制することなどは、腋臭の予防・防止において重要なアプローチであると考えられます。

実際の腋臭抑制作用としては、

  1. 腋臭菌の増殖抑制
  2. OEO生成阻害
  3. アルカリホスファターゼ活性阻害

主にこのように作用する成分が報告されており、これらのうち1つ以上の効果を有することで腋臭抑制にアプローチします。

足臭のメカニズムと足臭抑制アプローチ

足臭の発生メカニズムは、皮膚常在菌である表皮ブドウ球菌(Saphylococcus epidermidis)の関与および主要な足臭原因物質として低級脂肪酸であるイソ吉草酸が明らかにされています[10][11]

実際の足臭抑制作用としては、

  1. イソ吉草酸を不揮発性無臭のイソ吉草酸亜鉛塩へ変換

主にこのように作用する成分が報告されており、これらの効果を有することで足臭抑制にアプローチします。

加齢臭の発生メカニズムと加齢臭抑制アプローチ

中高年者に特有のにおいである加齢臭は、体幹部とくに胸や背中部分から臭ってくる脂臭くて少し青臭い、梅雨時の黴びた古本や古いポマードを連想させる嫌なにおいとして知られており、およそ55歳以上になると揮発性アルデヒドの検出率が大幅に増加することから、これら揮発性アルデヒド類の増加が加齢臭の主な原因であることが知られています[12a][13]

加齢臭の主な原因である揮発性アルデヒドとしては、

化学名称 臭いの種類
2-Nonenal
2-ノネナール
古い脂臭および古いカビ臭

主要成分として2-ノネナールが報告されており、2-ノネナールは40代以降加齢にしたがって増加するパルミトレイン酸が過酸化脂質からの酸化伝播により分解されることにより生成されることが確認されています[12b]

実際の加齢臭抑制作用としては、

  1. 揮発性アルデヒドの減少

主にこのように作用する成分が報告されており、これらの効果を有することで加齢臭抑制にアプローチします。

参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「消臭剤」日本化粧品成分表示名称事典 第3版付録,637-639.
  2. 朝田 康夫(2002)「アポクリン汗腺(体臭となって匂う汗)とは」美容皮膚科学事典,61-63.
  3. ab清水 宏(2018)「汗腺」あたらしい皮膚科学 第3版,25-26.
  4. abカール ラーデン, 他(1995)「ヒト腋窩の細菌学:液臭との関係」制汗剤とデオドラント,317-326.
  5. クラシエ製薬株式会社(2001)「腋臭防止剤」特開2001-288063.
  6. 篠崎 純子, 他(2014)「新たな腋臭菌と腋臭を抑制する素材の発見」日本化粧品技術者会誌(48)(4),296-305. DOI:10.5107/sccj.48.296.
  7. A. Natsch, et al(2006)「A Broad Diversity of Volatile Carboxylic Acids, Released by a Bacterial Aminoacylase from Axilla Secretions, as Candidate Molecules for the Determination of Human‐Body Odor Type」Chemistry & Biodiversity(3)(1),1-20. DOI:10.1002/cbdv.200690015.
  8. 原 武史, 他(2010)「ヒト腋窩汗のメタボローム解析による腋臭タイプ特異成分の解析」 日本味と匂学会誌(17)(3),413-416.
  9. 飯田 悟, 他(2003)「体臭発生機構の解析とその対処(1)」日本化粧品技術者会誌(17)(3),413-416. DOI:10.5107/sccj.37.3_195.
  10. ab神田 不二宏, 他(1989)「汗臭成分の解明及びその新規消臭剤の開発」日本化粧品技術者会誌(23)(3),217-224. DOI:10.5107/sccj.23.217.
  11. 小林 真次(1990)「表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と不快な足臭との関係について」日本細菌学雑誌(45)(4),797-800. DOI:10.3412/jsb.45.797.
  12. ab土師 信一郎・合津 陽子(1999)「中高年齢層のための体臭ケア製品の開発」Fragrance Journal(27)(9),42-46.
  13. S. Haze, et al(2001)「2-Nonenal Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging」Journal of Investigative Dermatology(116)(4),520-524. DOI:10.1046/j.0022-202x.2001.01287.x.

消臭成分一覧

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化粧品表示名称 エチルヘキシルグリセリン
配合目的 防腐補助、腋臭菌増殖抑制による腋臭抑制作用 など
化学式 エチルヘキシルグリセリン
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医薬部外品表示名称 塩化ベンザルコニウム
配合目的 防腐、殺菌作用、皮膚常在菌増殖抑制による汗臭抑制作用 など
化学式 塩化ベンザルコニウム
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 塩化ベンザルコニウム液
配合目的 防腐、殺菌作用、皮膚常在菌増殖抑制による汗臭抑制作用 など
化学式 塩化ベンザルコニウム液
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医薬部外品表示名称 グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル
配合目的 防腐補助、腋臭菌増殖抑制による腋臭抑制作用 など
化学式 グリセリンモノ2-エチルヘキシルエーテル
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化粧品表示名称
医薬部外品表示名称
トレハロース
配合目的 保水、揮発性アルデヒド生成抑制による加齢臭抑制作用 など
化学式 トレハロース
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医薬部外品表示名称 トレハロース液
配合目的 保水、揮発性アルデヒド生成抑制による加齢臭抑制作用 など
化学式 トレハロース液
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化粧品表示名称 ベンザルコニウムクロリド
配合目的 防腐、殺菌作用、皮膚常在菌増殖抑制による汗臭抑制作用 など
化学式 ベンザルコニウムクロリド
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