酸化鉄とは…成分効果と毒性を解説

着色
酸化鉄
[化粧品成分表示名称]
・酸化鉄

[医薬部外品表示名称]
・黒酸化鉄、ベンガラ、黄酸化鉄

鉄の酸化物(無機顔料)の総称です。

天然に産する鉱物を粉砕・精製して顔料として使用してきた歴史がありますが、天然品は不純物が多く、また品質を一定に保つことが困難であることから、1940-1950年代に優れた合成法が確立され、現在は合成によってつくられています。

金属鉄が酸素によって酸化された際に生じる酸化鉄、水酸化鉄およびオキシ水酸化鉄は合わせて16種類が知られており、結晶構造の違いにより様々な色相を呈していますが、化粧品で使用されているのは、黄酸化鉄、ベンガラ(赤酸化鉄)および黒酸化鉄の3種類です。

赤酸化鉄のみ「ベンガラ」という名称ですが、これは最初インドのベンガル地方から輸入されたため、ベンガラの名がついたと記されています(文献2:2016)

化粧品成分表示名称ではすべて「酸化鉄」と表記されますが、医薬部外品名称では「黄酸化鉄」「ベンガラ」「黒酸化鉄」と表記されます。

耐熱および耐光に優れており、また屈折率が高いことから、紫外線散乱効果を有しています。

屈折率に関しては、以下の表のように、

無機顔料 屈折率
ベンガラ(赤酸化鉄) 3.01
酸化チタン(ルチル) 2.72
酸化チタン(アナターゼ) 2.52
酸化クロム 2.50
黒酸化鉄 2.42
酸化ジルコニウム 2.20
黄酸化鉄 2.10
酸化亜鉛 2.02

酸化鉄はいずれも屈折率が高く、とくにベンガラは代表的な紫外線散乱剤である酸化チタンよりも屈折率が高く、また黒酸化鉄および黄酸化鉄も代表的な紫外線散乱剤である酸化亜鉛より屈折率が高く、その点で紫外線散乱効果が高いと考えられます(文献3:1993)

ただし、紫外線散乱剤を配合しているUVケア製品には、主剤として酸化チタンまたは/および酸化亜鉛が使用され、酸化鉄は紫外線散乱補助として設計されていることもあるかもしれませんが、通常は着色目的として使用されるため、製品の販売媒体にとくに記載がない場合、紫外線散乱剤として考える必要はないと考えます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、ネイル製品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品、ボディケア製品、洗顔料などに汎用されています。

黒色、赤色、黄色の着色

黒色、赤色、黄色の着色に関しては、黄酸化鉄は黄色、ベンガラは赤色、黒酸化鉄は黒色のいずれかの着色目的でメイクアップ化粧品、ネイル製品など様々な製品に使用されています(文献4:2012)

黒色無機顔料としてカーボンブラックがありますが、黒酸化鉄はカーボンブラックほど着色力が強くなく、色調調整のしやすい黒色です(文献4:2012)

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酸化鉄の安全性(刺激性・アレルギー)について

酸化鉄の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Food and Drug Administrationの連邦規則集(文献1:2018)によると、

  • 酸化鉄は、一般的に良好な製造工程および化粧品配合量において、眼領域に適用される化粧品の着色剤として安全に使用できる

と記載されています。

規則集をみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと判断できるため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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酸化鉄は着色剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:着色剤

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文献一覧:

  1. FDA:Food and Drug Administration(2018)「Code of Federal Regulations Title 21 Sec. 73.2250 Iron oxides」, <https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/CFRSearch.cfm?fr=73.2250> 2019年7月16日アクセス.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「無機色材」パーソナルケアハンドブック,347-351.
  3. 岡本 員明(1993)「紫外線防御からみたファンデーションの開発」Fragrance Journal(21)(5),27-34.
  4. 鈴木 一成(2012)「着色顔料」化粧品成分用語事典2012,546-548.

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