酸化スズとは…成分効果と毒性を解説

着色剤
酸化スズ
[化粧品成分表示名称]
・酸化スズ

マイカアルミナ合成フルオロフロゴパイトなどのパール顔料の製造過程で使われることが多い粉末です。

肌に影響がないため、パール顔料の製造過程で無理に取り除かずにそのまま原料の中に残っていることが多く、そのためにパール顔料を配合した化粧品の全成分表示には酸化スズも表示されます。

酸化スズそのものは化粧品として意味のある成分ではなく、意図があって配合されているわけではありません。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

酸化スズの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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酸化スズの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

酸化スズの現時点での安全性は、皮膚刺激および眼刺激性はまったくなく、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、複数の金属にアレルギー(重度の金属アレルギー)を有する場合は、酸化スズに反応することも考えられるので、注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Tin(IV) Oxide as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 111人の男女被検者(18-75歳)の背中に0.3%酸化スズを含むアイシャドー粉末0.2gを誘導期間において週3回合計9回にわたって24時間半閉塞パッチ適用し、2週間の無処置期間も設けた後に未処置部位に24時間チャレンジパッチを適用(HRIPT)した。適用24および72時間後に反応をスコアリングしたところ、反応は観察されず、0.3%酸化スズを含むアイシャドー粉末は皮膚刺激性およびアレルギー性接触感作性を有していないと結論付けられた(Consumer Product Testing Co.,2012a)
  • [ヒト試験] 103人の男女患者(16-79歳)に0.5%酸化スズを含む口紅を上記HRIPT試験と同様の手順で評価したところ、反応は認められず、0.5%酸化スズを含む口紅は皮膚刺激またはアレルギー接触感作を引き起こす可能性がないと結論づけられた(Consumer Product Testing Co.,2012b)
  • [ヒト試験] 108人の男女患者(18-70歳)に0.35%酸化スズを含むリップグロスの皮膚刺激性および皮膚感作性を評価した。試験方法は適用24,48および72時間後に試験部位を評価したところを除いて、上記HRIPT試験と同一のものを使用した。チャレンジパッチ適用後に反応を評価したところ、反応は認められず、0.35%酸化スズを含むリップグロスは皮膚刺激またはアレルギー接触感作を引き起こす臨床的に有意な可能性を示さなかったと考えられた(Clinical Research laboratories.,2012)
  • [ヒト試験] 209人の患者(16-79歳)に1.3%酸化スズを含むアイシャドーの一次皮膚刺激性、累積皮膚刺激性および皮膚感作性を評価した。試験方法は半閉塞パッチで24および48時間後にのみ試験部位を評価したことを除いて、上記HRIPT試験と同一のものを使用した。チャレンジパッチ適用後に反応を評価したところ、一次皮膚皮膚刺激、累積皮膚刺激およびアレルギー接触感作の可能性を示唆していないと結論付けられた(Consumer Product Testing Co.,2012c)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して一次皮膚刺激性、累積皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はまったくないと考えられます。

ただし、複数の金属にアレルギー(重度の金属アレルギー)を有する場合は、酸化スズに反応することも考えられるので、注意が必要です。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Tin(IV) Oxide as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 34人の女性被検者(18-65歳)に0.3%酸化スズを含むアイシャドーを1日1回4週間にわたって使用してもらい、4週間後に眼の検査をおこなったところ、有害な事象はなく、すべての眼科検査は正常範囲内にとどまった。0.3%酸化スズを含むアイシャドーは眼の刺激または過敏症の可能性を示さなかった(Consumer Product Testing Co.,2012d)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、1.11%酸化スズを含むアイシャドーを処理したところ(HET-CAM法)、刺激性は観察されなかった(MB Research Laboratories,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
酸化スズ 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、酸化スズは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

酸化スズは着色剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:着色剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Tin(IV) Oxide as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581814559309> 2018年5月2日アクセス.

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