硫酸Baとは…成分効果と毒性を解説

ベース 感触改良 凹凸ボカシ 表面処理
硫酸Ba
[化粧品成分表示名称]
・硫酸Ba

[医薬部外品表示名称]
・硫酸バリウム

バリウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶性の硫酸バリウム塩(体質顔料)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、ネイル製品などに使用されています(文献1:2018)

感触改良・粉体基剤

感触改良・粉体基剤に関しては、安定性が高く、良好な素肌感および柔らかい感触を付与する目的でメイクアップ化粧品、ネイル製品などに使用されています(文献2:2012)

直進透過光抑制による凹凸ボカシ効果

直進透過光抑制による凹凸ボカシ効果に関しては、まず前提知識として直進透過光および拡散透過光について解説します。

肌には様々な凹凸が存在し、規則的で細かいキメのような凹凸は美しい肌に必須である一方で、毛穴やシワのように不規則でサイズが大きく深い凹凸は肌の欠点として知られています。

毛穴やシワが目立つメカニズムは、光が当たって明るく見える平坦部に対して、毛穴やシワなどの凹部では入射した光が反射されずに影となり、その結果として明度差が現れるためであり、毛穴やシワを目立たなくするためには、光の拡散や反射の抑制によって凹凸の明度差をなくす必要があることが知られています。

ファンデーションなどを塗布して形成される化粧膜を透過する光には、直進透過光と拡散透過光がありますが、直進透過性が高い化粧膜は、透明な板ガラスを通して見た場合と同様に、肌の陰影の境界がはっきりと見え、一方で拡散透過性が高い化粧膜は、スリガラスを通して見た場合と同様に、肌の陰影の境界がボケて見えにくくなる性質をもちます。

つまり、光拡散性が高くまた光透過率の高い粉体は、毛穴およびシワの陰影をボカして目立たせなくする効果を有しており、主要な無機粉体の光拡散性および光透過率は以下の表のように、

各種無機粉体の光拡散性

硫酸Baが最も高く、とくに粒子形状をバタフライ状(蝶が羽を広げたような形状)に加工した硫酸Baが拡散透過性に優れていることが明らかになっており、また実際にこの粉体をファンデーションに配合した場合、素肌感を損なわずに肌の凹凸を効果的に目立たなくできることが確認されています(文献3:2004)

成分表示をみても硫酸Baの粒子形状はわからないので、それゆえ凹凸ボカシ効果に優れた硫酸Baかどうかは判断できませんが、総合的に成分および技術力で凹凸ボカシ効果が高い場合は、販売媒体でそのような記載があることが考えられます。

補足として酸化チタン酸化亜鉛は、屈折率が高く、全透過率が低いために透明感のない厚ぼったい仕上がりになり、一方でマイカタルクは透明性は高いが、光拡散性が低く、凹凸の陰影をボカす効果が低いと報告されています(文献3:2004)

表面処理

表面処理に関しては、雲母チタン(化粧品表示名:マイカ、酸化チタン)またはその他の粉体の表面に硫酸Baを突起状に付着させることで、粉体の光拡散反射特性が向上し、その結果としてキメ細やかで透明感のある自然な仕上がりが可能となるため、 メイクアップ化粧品に使用されています(文献4:2004)

とくに雲母チタン(化粧品表示名:マイカ、酸化チタン)に付着させた場合は、肌に対応した好ましい干渉色を選択することで、肌の色彩的な欠点を補正しつつ、雲母チタンに特有のチカチカ感を生じずに透明感のある自然で美しい仕上がりが可能となることが報告されており(文献4:2004)、化粧品表示一覧にマイカ、酸化チタンと一緒に記載、もしくは医薬部外品成分表示一覧に雲母チタンと一緒に記載されていたらこの表面処理技術の可能性が考えられます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

硫酸Baの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2014年)

スポンサーリンク

硫酸Baの安全性(刺激性・アレルギー)について

硫酸Baの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2018)によると、

  • 硫酸Baは、臨床試験を通じて感作活性は何も検出されていない(D V Belsito,2014)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

硫酸Baはベース成分、表面処理剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 表面処理剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2018)「Safety Assessment of Barium Sulfate as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(37)(3),5S-11S.
  2. 鈴木 一成(2012)「硫酸バリウム」化粧品成分用語事典2012,544.
  3. 樫本 明生(2004)「無機粉体の形状・形態がメイクアップ化粧品の仕上がりに及ぼす影響」Journal of the Society of Inorganic Materials,Japan(11)(313),384-388.
  4. 株式会社資生堂(2004)「複合粉末、それを配合した化粧料、及び複合粉末の製造方法」特開2004-300080.

TOPへ