炭とは…成分効果と毒性を解説



・炭
木材または竹などを加熱して得られる炭化物です。
炭は、炭素を主要成分とし、そのほか酸素、水素、カルシウムなどからなる多孔質(∗1)の物質であり、その微細な穴(細孔)に多くの物質を吸着させる性質を有しています(文献1:1999)。
∗1 多孔質とは、細かい穴(孔)がたくさん空いた構造になっている性質のことです。
水のような極性分子は吸着力が低く、細孔より小さな粒状の有機物を選択的に吸着するため、その性質を利用して一般的には脱臭や水質浄化など有機物質の吸着に用いられています。
また医療分野では、腸管内の老廃物・腐敗物質を含む滞留便や腸内ガスを吸着し体外に排出させることから、医薬品としても利用されています(文献1:1999)。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、パック&マスク製品、ボディケア製品、マスカラ、ヘアケア製品、ネイル製品などに使用されています。
黒色の着色
黒色の着色に関しては、微細な粉末にしたものが黒色顔料として使用されています(文献2:2015)。
吸着
吸着に関しては、炭は多孔質であり、その微細な細孔は有機物を選択的に吸着する性質であることから、汚れを吸着する目的で洗顔フォーム、洗顔石鹸、ボディソープなどに使用されています(文献2:2015)。
薬用炭は医薬品成分であり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。
種類 | 最大配合量(g/100g) |
---|---|
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの | 2.0 |
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの | 2.0 |
粘膜に使用されることがある化粧品 | 配合不可 |
炭の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
日本薬局方に収載されており、10年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
∗∗∗
炭は着色剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:着色剤
∗∗∗
文献一覧:
- 安部 郁夫(1999)「多機能材料:活性炭, 木炭」色材(72)(6),388-396.
- 宇山 侊男, 他(2015)「炭」化粧品成分ガイド 第6版,162.
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