合成フルオロフロゴパイトとは…成分効果と毒性を解説

着色 光沢
合成フルオロフロゴパイト
[化粧品成分表示名称]
・合成フルオロフロゴパイト(改正名称)
・合成金雲母(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・合成金雲母

無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイフッ化カリウムまたはこれらに炭酸カリウムを加熱・冷却して結晶化した、化学構造的に天然マイカの結晶中のヒドロキシ基(水酸基)を完全にフッ素に置換した合成フッ素金雲母(合成鉱物)であり、合成マイカ(無機粉体:合成体質顔料)です(∗1)

∗1 金雲母は「きんうんも」と読み、学名が「phlogopite:フロゴパイト」であることから名称の一部がフロゴパイトとなっています。また雲母は英名が「mica:マイカ」であり、一般的にも雲母はマイカと呼ばれることから、合成マイカと呼ばれます。

金雲母と名前がついていますが、色の原因となる遷移金属(∗2)が含まれていないため、無色透明の純粋結晶であり、また合成マイカの中でも合成フルオロフロゴパイトは化学的純粋性が高く、特に重金属の混入は1ppm(∗3)以下、鉄の含有量は100ppm以下で天然マイカの1/100以下と不純物が非常に少ないのが特徴です(文献2:2016;文献3:2004)

∗2 遷移金属とは、遷移元素とも呼ばれ、周期表で第3族元素から第11族元素の間に存在する元素の総称であり、一般に高い融点と硬さを有する金属です。色の変化は、ある物質に入射した光が反射・透過・吸収されることによって起こりますが、遷移元素のイオンや錯体は、その構造に由来して様々に着色しています。

∗3 ppm(parts per million)は100万分の1の意味であり、1ppm = 0.0001%です。

粉砕により得られる合成フルオロフロゴパイトの薄片状粉体は、粒子径が小さくなるにつれて粒子端面での光の乱反射の影響が相対的に大きくなるため、光沢や透明度が低下し、また天然マイカには多く含まれる鉄の含有量が極めて少ないため、白色度の高い粉体となります(文献5:2006)

ただし、厚みが薄くなるほど粉体の透明度は高いため、同じ粒子径の粉体でもより薄片化し、アスペクト比を高くすることで、透明度と光沢が高い粉体となります(文献5:2006)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、ネイル製品、スキンケア化粧品などに使用されています(文献2:2016;文献3:2004)

白色の粉体基剤・着色

白色の粉体基剤・着色に関しては、白度が高い上に産地に依存した色のバラつきがなく、皮脂や汗にぬれても変色・明度低下しないため、ファンデーションをはじめアイシャドー、アイライナー、口紅など様々なメイクアップ化粧品に使用されています(文献2:2016)

また、滑らかな感触があり、伸びもよく、肌への密着性もよいため、化粧料として望ましい特性です(文献5:2006)

さらに合成フルオロフロゴパイトに酸化鉄を被覆することで他のパール顔料にはないメタリック感を付与することができます(文献6:2012)

光沢付与

光沢付与の着色に関しては、高輝度特性があり、粉体の厚みを調整しアスペクト比を変化させることで、光沢を抑えたマットな粉体からより透明感のある高光沢のものまで配合できることから様々なメイクアップ化粧品に使用されており、また外見上の輝き特性や使用後に肌を明るく見せる目的でスキンケア化粧品に配合されています(文献4:2015;文献5:2006)

さらに、合成フルオロフロゴパイトを酸化チタンで被覆することで、非常に透明感の高いパール光沢を得られることが報告されています(∗4)(文献3:2004)

∗4 酸化チタンは光触媒性を有しており、長時間日光にさらすと劣化・変色を起こすため、酸化チタンの皮膜をさらに無機物でコーティングして光活性を不活性化してあります。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

合成フルオロフロゴパイトの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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合成フルオロフロゴパイトの安全性(刺激性・アレルギー)について

合成フルオロフロゴパイトの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 42人の被検者に55%合成フルオロフロゴパイト水溶液0.05gを48時間単一閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、55%合成フルオロフロゴパイト水溶液は皮膚刺激を示さなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 21.2%合成フルオロフロゴパイトを含むパウダーファンデーション製品の48時間パッチ試験の結果、この製品は皮膚刺激剤ではなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [in vitro試験] ヒト皮膚モデルを用いて合成フルオロフロゴパイト1mgを処理したところ、組織の生存率は>50%を有しており、非刺激性であると考えられた(Htibler N,2011)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に合成フルオロフロゴパイト0.1gを適用し、眼刺激性を評価したところ、適用1時間後ですべてのウサギに結膜の赤みやめやにが観察され、そのうち1匹はケモ-シスを伴ったが、眼刺激剤ではないと考えられた(Htibler N,2011)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、100%合成フルオロフロゴパイトを処理したところ(HET-CAM法)、刺激性は示されなかった(Htibler N,2011)
  • [in vitro試験] 畜牛の眼球から摘出した角膜を用いて、角膜表面に20%合成フルオロフロゴパイトを含む0.9%塩化ナトリウム溶液を処理した後、角膜の濁度ならびに透過性の変化量を定量的に測定したところ(BCOP法)、角膜の濁度および透過性を増加されなかったため、眼刺激性または腐食性を示さなかったと結論づけられた(Htibler N,2011)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 107人の被検者に13.824%合成フルオロフロゴパイトを含む圧縮粉末を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、この製品は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかったと結論づけられた(Clinical Research Laboratories Inc,2010)
  • [動物試験] 10匹のモルモットを用いて55%合成フルオロフロゴパイト水溶液0.1gを対象にMaximization皮膚感作試験を実施したところ、合成フルオロフロゴパイトは皮膚感作剤ではなかったと結論づけられた
  • [動物試験] 5匹のマウスを用いた5%,10%および25%合成フルオロフロゴパイトを含むアセトンとオリーブ油の混合液(アセトン:オリーブ油4:1)の局所リンパ節検査の結果、合成フルオロフロゴパイトは皮膚感作物質ではなかった(Harlan CCR GmbH,2011)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 5匹のモルモットの剃毛した皮膚に55%合成フルオロフロゴパイト水溶液を適用し、UVAライト(114J/c㎡)を30分間照射したところ、照射24,48および72時間後に皮膚反応はみられ、この試験物質は光毒性を示さなかった(Anonymous,2011)
  • [動物試験] 10匹のモルモットに55%合成フルオロフロゴパイト水溶液0.1gを4日間にわたって繰り返し投与しUVAライト(10.2J/c㎡)を照射した後、21日目にチャレンジ投与およびUVA照射したところ、この試験物質は光感作性を示さなかった(Anonymous,2011)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

合成フルオロフロゴパイトは着色剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:着色剤

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Synthetic Fluorphlogopite as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(3),43S-52S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「無機粉体」パーソナルケアハンドブック,290-293.
  3. 太田 俊一(2004)「合成マイカとその応用」粘土科学(44)(1),31-36.
  4. 宇山 光男, 他(2015)「合成金雲母」化粧品成分ガイド 第6版,160.
  5. 安孫子 昌周(2006)「ファンデーション用合成マイカ粉体の開発」Fragrance Journal(34)(6),65-70.
  6. MERCK(2012)「COLORONA SYNCOPPER」技術資料.

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