ホウケイ酸(Ca/Na)とは…成分効果と毒性を解説



・ホウケイ酸(Ca/Na)
ホウケイ酸のカルシウム塩とナトリウム塩からなる球状のホウケイ酸ガラス(非晶質体)(∗1)です。
∗1 非晶質体とは、結晶とは異なり、原子や分子が規則正しい空間格子をつくらず、乱れた配列をしている無定形物質です。また球状のガラスはガラスビーズとも呼ばれ、球状であるため皮膚を刺激することはありません。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、メイクアップ製品、ネイル製品などに使用されています(文献1:2013)。
パール光沢付与・粉体基剤
パール光沢付与・粉体基剤に関しては、非常に細かい球状ガラスであることから、パール状の光沢感を付与する目的でメイクアップ製品に使用されています(文献2:2015)。
実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。
ホウケイ酸(Ca/Na)の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [ヒト試験] 98名の被検者に53%ホウケイ酸(Ca/Na)を含むアイシャドー粉末を対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候は観察されなかった(Consumer Product Testing Co,2011)
- [ヒト試験] 103名の被検者に53.5%ホウケイ酸(Ca/Na)を含む化粧品0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候は観察されなかった(Consumer Product Testing Co,2008)
- [ヒト試験] 104名の被検者に60~97%ホウケイ酸(Ca/Na)を含む化粧品0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激性&感作性試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作の兆候は観察されなかった(Consumer Product Testing Co,2006)
と記載されています。
試験結果をみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
- [ヒト試験] 31名の被検者(21名の被検者は眼刺激に敏感であると自己認識していた)に53%ホウケイ酸(Ca/Na)を含むアイシャドーを4週間毎日使用してもらったところ、被検者から有害な影響は報告されず、眼科検査ではすべて正常であった(Consumer Product Testing Co,2011)
- [ヒト試験] 41名の被検者に50-80%,60-97%,74-93%,81-97%および94-99%ホウケイ酸(Ca/Na)を含むいくつかのアイシャドーを対象に4週間使用試験を実施したところ、使用中に有害な影響は観察されなかった(BASF,2007)
と記載されています。
試験結果をみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。
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ホウケイ酸(Ca/Na)はベース成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
参考:ベース成分
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参考文献:
- Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Borosilicate Glasses as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(5_Suppl),65S-72S.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ホウケイ酸ガラス類」化粧品成分ガイド 第6版,163.