シリカとは…成分効果と毒性を解説

着色剤 感触改良剤 表面処理剤
シリカ
[化粧品成分表示名称]
・シリカ

[医薬部外品表示名称]
・無水ケイ酸

天然からは石英、メノウ、ケイ藻土から得られ、合成では乾式法や湿式法でつくられている無機系ケイ素化合物です。

水や酸には溶けませんが、アルカリには溶けて水溶性のケイ酸塩になり、水分を含んだシリカは含水シリカと表示されます。

粒子サイズはミリオーダーから微粒子といわれるナノ単位のものまで様々な大きさのものがあり、調整方法によって板状、繊維状さらにカプセル状の粒子が得られます。

化粧品成分表示としてはすべて「シリカ」としか表示されませんが、シリカは大きさ(粒子径)によって特性(配合目的)が変わってくるので以下にまとめておきます(文献1:2000)

粒子径 形態(乾燥状態) 特性・機能
~1nm オリゴマー(ゲル) 薄膜形成、高反応性、高透明性
1~100nm コロイド(ゲル) ハードコート、結合力、研磨効果
100nm~1μm スラリー(ゲルまたは微細な粉末) ベアリング効果、ソフトフォーカス効果
1~20μm サスペンション(微細な粉末) ベアリング効果、表面処理
20μm~ サスペンション(粉末) 高流動性、スクラブ効果

補足ですが、粒子径のnmはナノメートルのことで、ベアリング効果とはスムーズに転がる滑らかさのことです。

ベアリング効果が優れていると、たとえばマイカなどの体質顔料と一緒に配合する場合、シリカが体質顔料粒子の間に挟まれてスムーズに回転することで体質顔料粒子の滑りが向上し、非常に滑らかな使用感につながります。

ソフトフォーカス効果というのは、以下の図のように、

ソフトフォーカス効果

球状粉体で肌を均一にして、光を均一に反射することでシワや毛穴を目立たなくする効果のことです。

100nm以下の粒子はコロイド状で粒子径が小さいほど比表面積が高くなり、結合力、凝集力が高まり、粒子径が大きくなるほど紫外線の散乱が起こり、白濁した外観となって100nm以上では重力で沈降性が生じます。

具体的に化粧品に配合される場合の効果は、大きさで分類すると、

  • 100nm以下の場合:ネイル用化粧品の硬度向上、液状化粧品の使用感向上、回折散乱によるオパール状外観の付与
  • 100nm~1μmの場合:ソフトフォーカス効果、ベアリング効果目的でファンデーションなどのメイクアップ製品に広く使用されています。
  • 1μm以上の場合:ベアリング剤としてファンデーション、口紅、マスカラなどのメイクアップ製品、乳液やクリームなどのスキンケア化粧品に広く使用されています。また吸液剤としてファンデーションの皮脂吸収剤として、ボディパウダーの香料除放剤として使用されます。
  • 100μm以上の場合:大きさによる物理的な研磨作用を利用してスクラブ剤として使用されます。

このように様々な製品に使用されますが、これだけではなく、シリカは無機酸化物の中でも最も光屈折率が低いため、メイクアップ化粧品に使用される場合、

  • 体質顔料や着色顔料に皮膜する場合:表面反射力を抑えて、高い透明性をによる肌の自然感を演出
  • 着色顔料に皮膜する場合:濡れくすみの抑制によるロングラスティング性(∗1)
  • 微粒子酸化チタンおよび微粒子酸化亜鉛に皮膜する場合:酸化チタンおよび酸化亜鉛の化学的活性や光触媒活性を抑制することで光による劣化および変色を防止し、塗布時の白さと伸びの重さを改良

∗1 ロングラスティング性とは長持ちするという意味です。

シリカは化学的に安定性が非常に高く、上記のように、ほかの顔料に皮膜することで使用感の向上、持続性の向上などの相乗効果が得られ、また光触媒活性や化学的活性のある顔料を包む表面処理剤として使用することで、それらの活性を抑制し、使用感や持続性を向上させます。

そのため、UV効果のあるメイクアップ化粧品、日焼け止め製品などにも使用されます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2008-2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

シリカの配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

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シリカの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

シリカの現時点での安全性は、化学的に非常に安定性が高く、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)および光感作性もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Silica and Related Cosmetic Ingredients」(文献2:2009)によると、

– 微粒子シリカ(100nm以下) –

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に微粒子シリカ500mgを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚を評価したところ、無傷の皮膚では刺激の兆候はなく、3つの擦過した試験部位ではわずかな紅斑が観察された(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に微粒子シリカ500mgを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚を評価したところ、無傷の皮膚では24時間で1つの部位に最小限の紅斑が観察され、擦過した皮膚では最小限の明瞭な紅斑が観察された。72時間では紅斑の兆候は消失した(ECETOC,2006)

– 沈降シリカ(100nm以上) –

  • [動物試験] 3匹のウサギの無傷の皮膚に沈降シリカ500mgを4時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚を評価したところ、刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 12匹のウサギ群3グループの無傷および擦過した皮膚に沈降シリカ500mgをそれぞれ24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚を評価したところ、いずれのグループのウサギも刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 6匹のウサギ群2グループそれぞれにの無傷および擦過した皮膚に沈降シリカ23mgまたは190mgを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚を評価したところ、23mgでは24時間で5つの無傷の部位および3つの擦過した部位で最小限の紅斑が観察され、190mgでは24時間で4つの無傷の部位および3つの擦過した部位で最小限の紅斑が観察された(ECETOC,2006)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、微粒子シリカおよび沈降シリカの両方において、まれに一過性のわずかな紅斑がみられますが、ほとんどのケースで皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性は非刺激またはまれに一過性のわずかな刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Silica and Related Cosmetic Ingredients」(文献2:2009)によると、

– 微粒子シリカ(100nm以下) –

  • [動物試験] 8匹のウサギの眼に微粒子シリカ100mgを適用し、5匹は眼をすすがず、残りの3匹は適用5分後に眼をすすぎ、眼を検査したところ、いずれのウサギも刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に微粒子シリカ3mgを適用し、眼を検査したところ、わずか~軽度の発赤が観察されたが48時間で消失した(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に微粒子シリカ3.5mgを適用し、眼を検査したところ、24,48および72時間で数匹のウサギでわずかな結膜紅斑またはケモ-シスが観察された。また4時間で2匹のウサギに一時的な混濁がみられた(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 9匹のウサギの眼に微粒子シリカ100mgを適用し、6匹は眼をすすがず、残りの3匹は眼をすすぎ、眼を検査したところ、24,48および72時間で洗眼したウサギに刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)

– 沈降シリカ(100nm以上) –

  • [動物試験] 3匹のウサギの眼に沈降シリカ40mgまたは100mgを適用し、眼を検査したところ、40mgで刺激の兆候は観察されなかった。100mgにおいては24,48および72時間でわずかな発赤が観察されたが4日以内に回復した(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 8匹のウサギの眼に沈降シリカ100mgを適用し、5匹は眼をすすがず、残りの3匹は眼をすすぎ、眼を検査したところ、いずれのウサギも刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)
  • [動物試験] 9匹のウサギの眼に沈降シリカ100mgを適用し、6匹は眼をすすがず、残りの3匹は適用4秒後に眼をすすぎ、眼を検査したところ、いずれのウサギも刺激の兆候はなかった(ECETOC,2006)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、微粒子シリカおよび沈降シリカの両方において、まれに一過性のわずかな眼刺激がみられますが、ほとんどのケースで眼刺激の兆候なしと報告されているため、眼刺激性は非刺激またはまれにわずかな一過性の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性について

試験データはみあたりませんが、シリカは化学的に安定性が非常に高く、光触媒活性を有する成分を皮膜して活性を抑制する目的でも使用されているため、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
シリカ 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、シリカは毒性なし(∗3)となっており、試験データをみるかぎり、安全性の高い成分であると考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

シリカは着色剤、表面処理剤にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:着色剤 表面処理剤

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文献一覧:

  1. 田中 博和, 宮崎 巧(2000)「シリカの特性と化粧品への応用」Fragrance Jpurnal(28)(11),p64-70.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2009)「Safety Assessment of Silica and Related Cosmetic Ingredients」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR466.pdf> 2018年5月6日アクセス.

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