カーボンブラックとは…成分効果と毒性を解説

着色剤
カーボンブラック
[化粧品成分表示名称]
・カーボンブラック

[医薬部外品表示名称]
・カーボンブラック

天然ガスや液状炭化水素の不完全燃焼または熱分解によってつくられる微粒子粉末の炭素です。

カーボンブラックは1940年に製造方法が確立され、今でも同じ製法で普及しており、近年新しく出現したナノ素材とは違い、当時から一貫してナノサイズの粒子で、これらは原料メーカーが異なってもほとんど共通です(文献1:2013)

化粧品に配合される場合は、着色力が強く、少量の配合で効果的に使える黒色顔料として主にアイライナー、アイシャドー、アイブロウ、マスカラなどのメイクアップ製品、ネイルカラー、マニキュアなどのネイル製品などに使われています。

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カーボンブラックの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

カーボンブラックの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作(アレルギー)もないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、長期にわたる使用で皮膚の刺激または乾燥が生じる可能性があるため注意が必要です。

発がん性の疑いがありますが、肺吸入による肺がんの疑いであり、化粧品として皮膚接触において発がん性は認められていないため、化粧品としての通常使用下において安全性に問題はないと考えられます。

また、肺吸入による発がん性の疑いも動物試験の結果であり、ヒトでの曝露と発がん性の因果関係は見つからなかったことが明らかになっています。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“カーボンブラック協会”の「カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性」(文献1:2013)によると、

  • カーボンブラックに皮膚感作性は報告されていない。長期にわたる接触では皮膚の乾燥、刺激をともなうことがある

“Scientific Committee on Consumer Safety”の「Opinion on Carbon Black (nano-form)」(文献3:2015)によると、

  • [動物試験] ウサギの無傷または擦過した皮膚に20%または27%カーボンブラック懸濁液を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、皮膚反応は観察されなかったため、カーボンブラックは非刺激性であると考えられた(Degussa AG,1977a;Degussa AG,1977b;Degussa AG,1978a)
  • [動物試験] 無傷または擦過したウサギの皮膚に水で湿らせた未希釈のカーボンブラックを4時間単一閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に試験部位を評価したところ、いずれのウサギも皮膚刺激の兆候を示さなかったため、カーボンブラックは皮膚刺激性を有していないと結論付けられた(Degussa AG,1984)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に2%,6%および10%カーボンブラックを含むサンフラワーオイルを処理したところ、皮膚刺激性は予測されなかった(Brémond,2011)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

ただし、長期にわたる使用で皮膚の乾燥または刺激が起きる可能性があるため、注意が必要です。

眼刺激性について

“Scientific Committee on Consumer Safety”の「Opinion on Carbon Black (nano-form)」(文献3:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に未希釈のカーボンブラックを滴下し、OECDテストガイドライン405に従って滴下24,48および72時間後に眼を検査したところ、いずれのウサギもいずれの時間においても眼に影響は観察されず、カーボンブラックは眼刺激剤ではなかった(Degussa AG,1977c;Degussa AG,1977d)
  • [動物試験] 8匹のウサギの片眼の結膜嚢に未希釈のカーボンブラックを滴下し、5匹のウサギは5分後に眼をすすぎ、3匹のウサギは24時間後に眼をすすいだ。Draize法に従って滴下24,48,72および96時間後に眼を検査したところ、いずれのウサギもいずれの時間においても眼に影響は観察されず、カーボンブラックは眼刺激剤ではなかった(Degussa AG,1978b)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はなしと考えられます。

安全性についての捕捉

カーボンブラックは製造当初から化粧品においてもナノサイズ(微粒子)が普及していますが、長い使用実績に基づき、すでに安全性の試験結果を有しており、規制濃度が決められ、かつ法規制がなされている現状があり、ナノサイズであるからという理由で他のナノ素材と同一視すべきではなく、安全性を強化する必要はないと報告されています(文献1:2013)

また、カーボンブラックは発がん性が疑われていますが、これは肺吸入による発がん性の疑いであり、1958年に報告されたマウスを用いたカーボンブラックにおける皮膚接触試験によると、

オイルに懸濁させたカーボンブラックをマウスの皮膚に塗布する試験を実施したところ、皮膚に対する発がん性への影響は認められなかった

と結論付けられているように(文献2:1958)メイクアップ化粧品の発がん性は認められておらず、化粧品として通常使用する場合において安全性に問題はないと考えられます。

カーボンブラックの吸入による発がん性に結論がでないのは、分類する機関によって結論が異なるためで、2013年までの発がん性試験では、

雌ラット、マウス、ハムスターを使用した動物実験では、吸入による肺過負荷条件下で、雌ラットのみに肺腫瘍がみられ、カーボンブラック工場労働者を対象としたコホート研究では、曝露と肺がんの発生率に因果関係は見いだせなかった

このような研究結果が報告されており、この研究結果に基づき各評価機関が以下のように発がん性を分類し公表しています(文献1:2013)

国連および欧州連合では以下のように双方とも区分外(発がん性ではない)と分類されています。

評価基準 評価
国連世界調和システム
(UN GHS)
区分外(評価機関:国際カーボンブラック協会)
根拠:動物実験で有害影響がみられたが、その機構および作用モードにおいてヒトへの関連性が十分でないため有害であると分類すべきではない
欧州連合
(EU CLP)
区分外(評価機関:カーボンブラックコンソーシアム)
根拠:実験動物における肺過負荷の条件下で示される発がん性が、動物の種に特有な機構によるものであるとき、ヒトへの関連において作用機構上明らかではなく、有害であると分類すべきでない。CLP中の危険物質リストには記載されていない

ただし、発がん性評価機関による評価は以下のようにそれぞれ異なっています。

評価機関およびルール 評価結果
国際がん研究機関
(IARC)
総合評価:2B(ヒトに対して発がん性があるかもしれない)
評価理由:発がん性に関して実験動物の研究では十分なエビデンスがあるが、ヒトにおいては十分なエビデンスがない
米国産業衛生専門家会議
(ACGIH)
A3(動物で発がん性が確認されているが、ヒトへの関連性は知られていない)
日本産業衛生学会 第2群B(疫学研究からの証拠はないが、動物実験からの証拠が十分である)
アメリカ合衆国環境保護庁 物質の発がん性を評価するデータベースに記載されていない
米国国家毒性プログラム 発がん性物質報告書に記載されていない

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
カーボンブラック 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、カーボンブラックは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

カーボンブラックは着色剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:着色剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “カーボンブラック協会”(2013)「カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性」, <http://carbonblack.biz/nanomaterial.pdf> 2018年5月23日アクセス.
  2. Nau CA, Neal J, et al.(1958)「A study of the physiological effects of carbon black. II. Skin contact」AMA Arch Ind Health(18),511-520.
  3. “Scientific Committee on Consumer Safety”(2015)「Opinion on Carbon Black (nano-form)」, <https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_144.pdf> 2018年5月23日アクセス.

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