β-カロチンの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | β-カロチン |
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医薬部外品表示名 | β-カロチン |
慣用名 | β-カロテン |
INCI名 | Beta-Carotene |
配合目的 | 着色 など |
1. 基本情報
1.1. 定義
以下の化学式で表されるカロテノイド化合物です[1a]。
1.2. 物性・性状
β-カロチンの物性・性状は、
状態 | 結晶 |
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溶解性 | エタノールに難溶、水に不溶 |
また、酸素に不安定であることから[2b]、一般に酸化防止剤であるトコフェロールと併用して配合されます。
1.3. 分布
β-カロチンは、動植物界に広く分布し、とくにニンジンに多く存在しています[2c][3b]。
1.4. 皮膚における働き
β-カロチンは、ビタミンAの前駆物質(プロビタミンA)であり、ビタミンAであるレチノールと同様の活性を有し、皮膚を含む生体においてその多くはレチノールとして効果を発揮することが知られています[5]。
1.5. 化粧品以外の主な用途
β-カロチンの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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食品 | 黄-橙色に着色する目的で麺類、菓子類、マーガリン、飲料などに用いられてるほか、体内でビタミンAの働きをすることからビタミンA強化剤として健康食品や飲料などに使用されています[6]。 |
医薬品 | 着色目的の医薬品添加剤として経口剤に用いられています[4b]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 赤褐色の着色
- 配合目的についての補足
主にこれらの目的で、メイクアップ製品、スキンケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、リップケア製品、マスク製品、洗顔石鹸、アウトバストリートメント製品などに使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 赤褐色の着色
赤褐色の着色に関しては、β-カロチンはカロテノイド系天然色素であり、赤褐色の着色や他の顔料に添加して目的の色をつくる目的で様々な製品に使用されています[1b][7]。
2.2. 配合目的についての補足
β-カロチンは、ビタミンAの前駆物質(プロビタミンA)であり、ビタミンAであるレチノールと同様の活性を有するとともに、代謝してレチノールに変化することから、レチノールと同様または関連した作用を発揮する可能性も考えられますが、ヒト試験データがみつけられていないため、みつかりしだい追補・再編集します。
3. 混合原料としての配合目的
β-カロチンは混合原料が開発されており、β-カロチンと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。
原料名 | Orange-WD-L |
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構成成分 | ポリソルベート80、β-カロチン、パルミチン酸アスコルビル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トコフェロール、オリーブ果実油 |
特徴 | ベータカロチンをベースとする天然由来色素 |
4. 安全性評価
- 食品添加物の指定添加物リストに収載
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
食品添加物の指定添加物リスト、医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。