加水分解クチナシエキスの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | 加水分解クチナシエキス |
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医薬部外品表示名 | クチナシ青液 |
別名 | ガーデニアブルー |
INCI名 | Hydrolyzed Gardenia Florida Extract |
配合目的 | 着色 |
1. 基本情報
1.1. 定義
アカネ科植物クチナシ(学名:Gardenia jasminoides, syn. Gardenia florida 英名:common gardenia)を酸、酵素または他の方法により加水分解して得られる抽出物です(∗1)[1]。
∗1 「syn」は同義語を意味する「synonym(シノニム)」の略称です。
1.2. 物性・性状
加水分解クチナシエキスの物性・性状は、
状態 | 暗青-青藍色の液体 |
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溶解性 | 水、50%含水エタノールに可溶、油脂に不溶 |
1.3. 成分組成
加水分解クチナシエキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、
分類 | 成分名 |
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テルペノイド | イリドイド配糖体 |
タンパク質 | タンパク加水分解物 |
これらの成分で構成されていることが報告されています[3b]。
1.4. 化粧品以外の主な用途
加水分解クチナシエキスの化粧品以外の主な用途としては、
分野 | 用途 |
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食品 | クチナシの果実から取り出されるクチナシ黄色素またはクチナシの果実から取り出される成分を、酵素を使ってアミノ酸類と反応させて得られる青色素であり、菓子類、冷菓類、めん類などに用いられています[4]。 |
これらの用途が報告されています。
2. 化粧品としての配合目的
- 青色の着色
主にこれらの目的で、ヘアカラー製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、メイクアップ製品、洗顔石鹸、入浴剤、洗顔料、ボディソープ製品、クレンジング製品、スキンケア製品など様々な製品に使用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 青色の着色
青色の着色に関しては、加水分解クチナシエキスはクチナシ果実に含まれるイリドイド配糖体とタンパク分解物の混合物に酵素を作用させて得られる青色素であり、天然由来色素として青色の着色または他の着色剤と組み合わせて様々な色に着色する目的で様々な製品に使用されています[3c][5]。
3. 混合原料としての配合目的
加水分解クチナシエキスは混合原料が開発されており、加水分解クチナシエキスと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。
原料名 | クチナブルーカラー1250P |
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構成成分 | 加水分解クチナシエキス、デキストリン |
特徴 | 非常にクリアな青色を有する水溶性粉末色素 |
原料名 | クチナグリーンカラーPG1 |
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構成成分 | クチナシ果実エキス、加水分解クチナシエキス |
特徴 | 黄色素のクチナシ果実エキスと青色素の加水分解クチナシエキスを混合した緑色の水溶性粉末色素 |
4. 安全性評価
- 食品添加物の既存添加物リストに収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 20年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
食品添加物の既存添加物リストおよび医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。