EDTA-4Naの基本情報・配合目的・安全性
化粧品表示名 | EDTA-4Na |
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医薬部外品表示名 | エデト酸四ナトリウム、エデト酸四ナトリウム二水塩、エデト酸四ナトリウム四水塩 |
部外品表示簡略名 | EDTA-4Na、エデト酸塩 |
INCI名 | Tetrasodium EDTA |
配合目的 | 金属イオン封鎖(キレート) |
1. 基本情報
1.1. 定義
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の四ナトリウム塩であり、以下の化学式で表されるジアミン誘導体です[1a][2]。
1.2. EDTAナトリウム塩の種類と性質の比較
EDTAのナトリウム塩にはいくつか種類がありますが、EDTAのナトリウム塩の主な違いは以下の表のように、
EDTA-2Na | EDTA-3Na | EDTA-4Na | |
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水への溶解度 (25℃,100mL) |
11.1g | 46.5g | 60g |
溶解時のpH | 4.2-4.8 | 6.6-8.5 | 10.0-12.0 |
水への溶解度および溶解時のpHが異なります(∗1)[3]。
∗1 pHを調整せずに使用すると、それぞれのEDTAナトリウム塩でキレート能に違いがありますが、使用時のpHを同じにした場合はEDTAとしての性能は同等になります。
2. 化粧品としての配合目的
- 金属イオン封鎖作用(キレート作用)
主にこれらの目的で、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、ボディソープ製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、シート&マスク製品、アウトバストリートメント製品、デオドラント製品など様々な製品に汎用されています。
以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。
2.1. 金属イオン封鎖作用(キレート作用)
金属イオン封鎖作用(キレート作用)に関しては、まず前提知識として化粧品における金属イオンの働きおよび金属イオン封鎖作用について解説します。
化粧品や洗髪に使用する水の中に金属イオンが含まれていると、
対象 | 金属イオンによる影響 |
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化粧品 | 酸化促進による油脂類の変臭や変色、機能性成分の阻害 |
透明系化粧品 | 濁り、沈殿 |
シャンプーをすすぐ水 | 泡立ちの悪化、金属セッケンの生成による毛髪のきしみ |
このような品質劣化や機能の低下などを引き起こすことが知られていることから、化粧品や洗髪における水による金属イオンの働きを抑制(封鎖)する目的で金属イオン封鎖剤(キレート剤)が用いられています[4a][5]。
EDTAのナトリウム塩は、金属イオンの中でカルシウムイオン(Ca⁺⁺)やマグネシウムイオン(Mg⁺⁺)の封鎖に有効であり、主に金属イオンを含む硬水の軟化や化粧品の安定化目的で様々な化粧品に汎用されています[4b]。
3. 配合製品数および配合量範囲
エデト酸四ナトリウム、エデト酸四ナトリウム二水塩、エデト酸四ナトリウム四水塩は、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。
種類 | 配合量 | その他 |
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薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 | 3.0 | エデト酸及びその塩類として合計。歯磨きの目的で使用されるもので薄める用法のものは0.60とし、かつ使用時0.10以下となること。 |
育毛剤 | 1.0 | |
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 | 1.0 | |
薬用口唇類 | 0.20 | |
薬用歯みがき類 | 0.20 | |
浴用剤 | 0.20 | |
染毛剤 | エデト酸、エデト酸二カリウム二水塩、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸四ナトリウム二水塩及びエデト酸四ナトリウム四水塩の合計として3.0 | |
パーマネント・ウェーブ用剤 | エデト酸、エデト酸ナトリウム水和物、エデト酸二カリウム二水塩、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム二水及びエデト酸四ナトリウム四水塩の合計として3.0 |
また、化粧品としての配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
4. 安全性評価
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
- 40年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)
医薬品添加物規格2018および医薬部外品原料規格2021に収載されており、40年以上の使用実績がある中で、重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
4.2. 眼刺激性
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。