サイタイエキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 細胞賦活
サイタイエキス
[化粧品成分表示名称]
・サイタイエキス

[医薬部外品表示名称]
・サイタイ抽出液

主にウマ科動物ウマ(学名:Equus caballus 英名:Horse)またはイノシシ科動物ブタ(学名:Sus scrofa domesticus 英名:pig)の臍帯(∗1)から得られる抽出物です。

∗1 臍帯(さいたい)とは、胎児と胎盤をつなぐ管状組織であり、母側から胎児に酸素や栄養分を、胎児側から母体側に老廃物を渡すといった運搬機能を担っています。一般的には「へその緒」と呼ばれます。

サイタイエキスの成分組成は、動物の種類または抽出方法で異なりますが、

種類 成分名称
ムコ多糖 ヒアルロン酸コンドロイチン硫酸プロテオグリカンほか
アミノ酸 グリシンプロリンヒドロキシプロリンほか
ペプチド EGF、FGF
その他 シアル酸

このような成分で構成されていることが報告されており(文献2:-;文献3:-;文献4:2012;文献5:2017)、複数のムコ多糖類とアミノ酸を主成分とし、抽出動物の種類や抽出方法によってペプチド類やシアル酸などの有効成分が微量含有されていると考えられます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、シート&マスク製品、クレンジング製品などに使用されています。

皮表柔軟化による保湿作用

皮表柔軟化による保湿作用に関しては、サイタイエキスはヒアルロン酸コンドロイチン硫酸プロテオグリカンなどのムコ多糖類を主成分とすることから、皮表柔軟化による保湿作用を有していると考えられます。

天然保湿因子の一種であるアミノ酸も複数含有されており、アミノ酸の多くは皮膚水分量の増加効果を有していますが、ウマサイタイエキスの使用試験において皮膚水分量の効果はほとんど認められなかったため(文献5:2017)、皮膚水分量の増加の効果はほとんどないと考えられます。

上皮細胞増殖による細胞賦活作用

上皮細胞増殖による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識として上皮細胞について解説します。

上皮細胞とは、動物の組織や体の表面で上皮を形成する細胞の総称であり、体表面を覆う表皮、管腔臓器の粘膜を構成する上皮、外分泌腺を構成する腺房細胞や内分泌腺を構成する腺細胞などが該当します。

皮膚においては、以下の表皮構造図をみるとわかりやすいと思いますが、

表皮の構造と表皮の主要成分

上皮細胞とは一般に表皮細胞のことを意味し、表皮細胞とはいわゆる角化細胞(ケラチノサイト)のことであり、基底層で生成された一個の上皮細胞(角化細胞)は、その次につくられた、より新しい上皮細胞によって皮膚表面に向かい押し上げられていき、各層を移動していく中で有棘細胞、顆粒細胞と分化し、最後にはケラチンから成る角質細胞となり、角質層にとどまったのち、角片(∗2)として剥がれ落ちます(文献6:2002)

∗2 角片とは、体表部分でいえば垢、頭皮でいえばフケを指します。

正常な皮膚において新しい角化細胞が生成されてから角片として剥がれ落ちるまでの周期は約28日間(∗3)であり(文献7:1961)、この新陳代謝を表皮のターンオーバーといい、この表皮の新陳代謝によって皮膚は新鮮さおよび健常性を保持しています(文献8:2002)

∗3 正常な皮膚において基底層からはじまり角質層が形成されるまでが14日、角質層の形成から剥離までが14日の合計28日が表皮の周期となっています。

一方で上皮細胞の生成の減少などでターンオーバーが正常に行われない場合は、角化細胞が適切に分化せず未完成のまま角質層に押し上げられたり、角質細胞が過剰に産生されたり、剥がれ落ちるべき角質細胞が残ったままとなり、その結果として皮膚表面が硬くなったり、ザラザラした質感になったり、白い粉を吹いたような状態になり、皮膚の健常性や新鮮さが損なわれます(文献8:2002)

このような背景から、上皮細胞を活性化し上皮細胞を正常な量まで増殖することは、正常なターンオーバーや皮膚の健常性や新鮮さを保持するために重要であると考えられます。

2015年にスノーデンによって報告されたウマサイタイエキスの上皮細胞(角化細胞)への影響検証よると、

正常なヒト上皮細胞を用いてウマサイタイエキスの上皮細胞増殖作用を確認したところ、以下のグラフのように、

ウマサイタイエキスの上皮細胞増殖作用

ウマサイタイエキスはヒト上皮細胞を濃度依存的に増殖させることが認められた。

次に62人の女性被検者(25-50歳)にウマサイタイエキスを含む製剤を6週間適用し、適用後に皮膚粘弾性を測定したところ、ウマサイタイエキスは皮膚の弾力性を増し、かつ復元力を高めることが認められた。

このような検証結果が明らかにされており(文献9:2015)、ウマサイタイエキスに上皮細胞増殖による細胞賦活作用が認められています。

ただし、皮膚粘弾性の改善という点では、3週間後では有意な変化は認められず、6週間後で有意な改善が認められているため、短期間で効果を発揮するのではなく、じっくりと効果を発揮する可能性が示唆されています(文献5:2017)

皮膚粘弾性の改善作用については、プラセンタエキスが比較的速やかに効果を発揮することが示唆されており、また詳細なパラメーターとしてはプラセンタエキスが主に回復力および弾力に改善効果が認められたのに対して、サイタイエキスは主にハリに改善効果が認められており、効果における補完性が示唆されていることから(文献5:2017)、皮膚粘弾性の補完作用目的でサイタイエキスとプラセンタエキスが併用されています。

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サイタイエキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

サイタイエキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

スノーデンの安全性データ(文献1:-)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚にサイタイエキスを適用し、適用後に皮膚刺激性を評価したところ、この試験物質は皮膚一次刺激剤ではなかった
  • [動物試験] ウサギの皮膚にサイタイエキスを連続適用し、適用後に皮膚累積刺激性を評価したところ、この試験物質は皮膚累積刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 被検者にサイタイエキスを対象にパッチテストを実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されており、また10年以上の使用実績の中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

サイタイエキスは保湿成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 細胞賦活成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. スノーデン株式会社(-)「スノーデンサイタイエキスの安全性」, <https://www.snowden.co.jp/biz/saitai/> 2020年5月31日アクセス.
  2. スノーデン株式会社(-)「サイタイのおはなし」, <https://www.snowden.co.jp/saitai/> 2020年5月31日アクセス.
  3. 株式会社ホルス(-)「サイタイエキス」技術資料.
  4. 鈴木 一成(2012)「サイタイ抽出液」化粧品成分用語事典2012,131-132.
  5. 小松 康彦, 他(2017)「ブタプラセンタエキスとウマサイタイエキス – 臨床評価と併用の意義 -」Fragrance Journal(45)(3),42-47.
  6. 朝田 康夫(2002)「表皮を構成する細胞は」美容皮膚科学事典,18.
  7. S. Rothberg, et al(1961)「Glycine-C¹⁴ Incorporation into the Proteins of Normal Stratum Corneum and the Abnormal Stratum Corneum of Psoriasis」Journal of Investigative Dermatology(37)(6),497-505.
  8. 朝田 康夫(2002)「角質層のメカニズム」美容皮膚科学事典,22-28.
  9. スノーデン株式会社(2015)「サラサイタイ」Fragrance Journal(43)(8),66-67.

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