オタネニンジン根エキス(オタネニンジンエキス)とは…成分効果と副作用を解説

細胞賦活剤 抗炎症成分 抗老化成分 育毛剤
オタネニンジンエキス
[化粧品成分表示名称]
・オタネニンジン根エキス(改正名称)
・オタネニンジンエキス(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・ニンジンエキス

ウコギ科植物オタネニンジン(学名:Panax ginseng 英名:Chinese ginseng,Korean ginseng)の根から水、エタノールBG(ブチレングリコール)などで抽出精製して得られるエキスです。

オタネニンジン(御種人参)は別名、朝鮮人参、高麗人参とも呼ばれており、オタネニンジン根エキスの成分組成は、天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • サポニン類:ジンセノサイドRg₁,Rb₁
  • アセチレン化合物:パナキシノール
  • アミノ酸類

などが報告されています(文献2:2011;文献3:2016)

薬理作用としては、ジンセノサイドによるタンパク質、DNA、脂質などの合成促進作用、抗疲労、抗ストレス作用、新陳代謝促進、強壮作用、血糖降下作用、認知症改善効果など数多くの研究結果が報告されています(文献2:2011;文献3:2016)

また漢方では、代表的な補気薬であり、強精、健胃整腸、神経を安定させ、津液(∗1)を生じる効能があります(文献2:2011;文献4:2017)

∗1 津液とは、人体中の正常な水液の総称で、唾液、胃液、涙、汗などが含まれます。

化粧品へ配合される場合は、

これらの作用の複合的な作用でスキンケア化粧品、ヘアケア製品、育毛剤などに使用されます(文献6:2013)

アポトーシス抑制による薄毛抑制作用および育毛作用

アポトーシス抑制による薄毛抑制作用および育毛作用に関しては、2013年に一丸ファルコスによって報告されたオタネニンジン根エキスの新たな有効性によると、血行促進だけでなく、薄毛の原因のひとつである酸化ストレス誘導によるアポトーシス誘導にともなうヘアサイクルの短縮化で生じる毛包のミニチュア化に対して、アポトーシス抑制作用が明らかにされており(文献6:2013)、薄毛改善効果が示唆されています。

複合植物エキスとしてのオタネニンジン根エキス

プランテージ<モイスト>という複合植物エキスは、以下の成分で構成されており、

効果および配合目的は、

  1. 角層水分量上昇作用
  2. 角層のゴワつき改善
  3. 肌内部の保湿力増強

とされており、それぞれ保湿ポイントの違う植物エキスの相乗効果によって天然保湿因子(NMF)の元となるファラグリン産生促進、みずみずしく整った角層維持に大きな効果を果たす酵素であるカスパーゼ-14の発現向上およびヒアルロン酸産生促進で多角的に角層の潤いを増強維持するもので、化粧品成分一覧にこれらの成分が併用されている場合はプランテージ<モイスト>であると推測することができます。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

オタネニンジン根エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

スポンサーリンク

オタネニンジンエキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

オタネニンジン根エキスの現時点での安全性は、医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載されている漢方生薬であり、また外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006にも収載されているため、化粧品配合範囲において、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)および光毒性もほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Panax spp Root-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者にオタネニンジン根エキス(ジクロロメタン、次いでエタノールで抽出した乾燥残留物に水を加えたもの)0,1,10,20および100mg/mLを含むワセリンを48時間パッチ適用し、パッチ除去1および24時間後に皮膚反応を観察したところ、反応は認められなかった(Lee J, Jung E, et al,2007)
  • [ヒト試験] 30人の被検者にオタネニンジン根エキスを48時間パッチ適用し、パッチ除去30分および24および48時間後に皮膚反応を観察したところ、反応は認められなかった(Biospectrum Inc,2011a)
  • [ヒト試験] 15人にブチレングリコールで抽出したオタネニンジン根エキスのヒト治療有効試験を実施したところ、処置時および4および8週間に有害な影響は報告されなかった(Biospectrum Inc,2011b)

“池田回生病院皮膚科”の「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」(文献7:1996)によると、

  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の両前腕内側に2%オタネニンジン根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を20分FinnChamber適用し、パッチ除去10分後に皮膚反応を評価したところ、皮膚刺激反応および接触蕁麻疹反応はなかった
  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の背部に2%オタネニンジン根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を48時間FinnChamber適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ、1人の被検者に紅斑浸潤に小水疱丘疹を伴う反応が観察されたが、72時間後には反応は観察されず、他の被検者に皮膚刺激は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、化粧品の配合範囲内において、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

詳細な試験データはみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Panax spp Root-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [ヒト試験] 99人の被検者に0.1%(0.2g)オタネニンジン根エキスを含むキューティクルセラムを誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価した(HRIPT)ところ、皮膚刺激またはアレルギー性接触感作を誘発しなかった(Consumer Product Testing Co,2010)
  • [ヒト試験] 219人の被検者に1%オタネニンジン根エキスを含むリップ製剤を誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価した(HRIPT)ところ、有害な影響または感作反応の兆候はなかった(TKL Research,2007)
  • [ヒト試験] 104人の被検者に0.1%オタネニンジン根エキスを含む夜用クリーム製品を誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価した(HRIPT)ところ、いずれの期間においても皮膚反応性は観察されなかった(Essex Testing Clinic Inc,2008)

“池田回生病院皮膚科”の「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」(文献7:1996)によると、

  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の背部に2%オタネニンジン根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を48時間FinnChamber適用し、パッチ除去後に皮膚反応を評価したところ皮膚感作反応は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、化粧品配合範囲内において、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Panax spp Root-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」(文献1:2015)によると、

  • [動物試験] 6匹のヘアレスマウスの背中領域に100%オタネニンジン根エキスを12週間毎日適用し、36mJ/c㎡ UVBを照射した。UVBは1~4週目に54mL/c㎡、4~7週目に72mL/c㎡、7~10週目に108mJ/c㎡、10~12週目に122mJ/c㎡となったが、光毒性は観察されなかった(Kim YG, Sumiyoshi M, Sakanaka M, Kimura Y,2009)
  • [動物試験] ヘアレスマウスの飼料内に0%,0.5%および2.5%オタネニンジン根エキスを投与し、マウスの背中に週3回12週間にわたって約30%UVA照射した。照射量は1週目に1回の照射あたり100mL/c㎡から7週目には400mL/c㎡に増加していった。オタネニンジン根エキスを投与したマウスにおいて有害作用は観察されなかった(ang TH, Park HM, Kim Y-B,2009)

“池田回生病院皮膚科”の「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」(文献7:1996)によると、

  • [ヒト試験] 健常な30人の被検者の背部に2%オタネニンジン根のエタノール抽出物を含む頭皮ケア製品を48時間FinnChamber適用し、パッチ除去に塗布部位の左半分をアルミ箔を入れた黒色テープで覆い、UVAライト(3.0J/c㎡)を12.5cmの距離で5分間照射し、照射30分後および翌日に皮膚反応を評価したところ、皮膚反応は観察されなかった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して光毒性なしと報告されているため、光毒性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
オタネニンジン根エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、オタネニンジン根エキスは毒性なし(∗2)となっており、一般的に安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

オタネニンジン根エキスは抗老化成分、抗炎症成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:細胞賦活成分 抗老化成分 抗炎症成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2015)「Safety Assessment of Panax spp Root-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581815610508> 2018年6月18日アクセス.
  2. 鈴木 洋(2011)「人参」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,361-363.
  3. 林真一郎(2016)「朝鮮人参」メディカルハーブの事典 改定新版,96-97.
  4. 原島 広至(2017)「オタネニンジン(御種人参)」生薬単 改訂第3版,202-203.
  5. AHPA(米国ハーブ製品協会), Zoe Gardner, Michael McGuffin, et al.(2016)「Panax ginseng C.A.Mey.」メディカルハーブ安全性ガイドブック 第2版,538-542.
  6. 桝谷 晃明, 小島 弘之(2013)「オタネニンジン抽出物の毛髪に対する新たな有効性について」Fregrance Jpurnal(41)(11),32-38.
  7. 須貝 哲郎(1996)「頭皮用製品の低刺激性低アレルギー性評価」皮膚(38)(4),448-456.

スポンサーリンク

TOPへ