アミノ酪酸とは…成分効果と毒性を解説

細胞賦活剤 保湿成分 バリア機能
アミノ酪酸
[化粧品成分表示名称]
・アミノ酪酸(改正名称)
・γ-アミノ酪酸(旧称)

[慣用名]
・GABA

植物の根や哺乳類の脳髄などに広く分布しており、水に溶けやすくアルコールに溶けない性質で、たんぱく質を構成しないアミノ酸の一種です。

アミノ酪酸は、正式名称をγ-アミノ酪酸といい、英名のGamma-Amino Butylic Acidの頭文字をとって一般的にGABA(ギャバ)と呼ばれ、野菜や果物をはじめ、漬物などの発酵食品などに幅広く含まれています。

アミノ酪酸は、1950年に哺乳類の脳抽出液中から発見され、1953年には中枢神経において抑制系の神経伝達物質であることが報告されており、その後に脳機能改善作用、血圧降下作用、精神安定作用、中性脂肪低減作用、アトピー性皮膚炎改善作用、ストレス軽減作用など多岐にわたる効果がヒトやラットを用いた経口投与試験により明らかにされています(文献1:2005)

また、ヒト皮膚においても以下の画像のように、

皮膚におけるGABA合成プロセス

アミノ酸の一種であるグルタミン酸がGAD67(グルタミン酸脱炭酸酵素)と結合して合成されていることが明らかになっています(文献2:2006)

食品としては、2004年に高血圧対応の特定保険用食品の登場によって健康食品素材として注目を集めるようになり、近年ではGABAのリラックス効果をイメージしたチョコレートやドリンクをはじめとした一般食品への配合が増え、認知度はかなり高くなっています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、エイジングケア化粧品をはじめとするスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品などに配合されています(文献2:2006;文献3:2007)

ヒト表皮細胞増殖およびインボルクリン産生促進による細胞賦活作用

ヒト表皮細胞増殖およびインボルクリン産生促進による細胞賦活作用に関しては、まず前提知識としてインボルクリンについて解説します。

以下の表皮角質層の拡大図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

皮膚における角質の構造図

角質層は、角質と細胞間脂質で構成されており、角質の隙間を細胞間脂質が敷き詰めることで角質層は安定し、また外界物質の侵入を防ぐと同時に角質層の水分蒸発を防ぎ、バリア機能として働きます。

角質層を形成する角質細胞は、表皮ケラチノサイト(角化細胞)の最終産物であり、顆粒層で細胞にアポトーシス(∗1)を起こさせるタンパク質分解酵素であるカスパーゼによってアポトーシスを迎えた死細胞です。

∗1 あらかじめ遺伝子で決められたメカニズムによる細胞の自然死現象のことです。

角質細胞の一番外側には細胞膜が存在し、細胞膜の内側には周辺帯(cornified Sell envelope:CE)と呼ばれる極めて強靭な裏打ち構造の不溶性タンパクの膜が形成されており、角質細胞を包んでいます(文献4:2011)

インボルクリンとは、周辺帯の外側に存在する構成成分のひとつで、疎水性を獲得し、細胞間脂質が整然と配列されるための土台を提供していると考えられており、表皮細胞の成熟にともなってつくられることからターンオーバーの指標としてよく用いられています。

2007年にクラシエホームプロダクツによって報告されたアミノ酪酸のヒト表皮細胞への影響の検証によると、

ヒト表皮細胞を用いてアミノ酪酸の影響を検討したところ、以下のグラフのように、

アミノ酪酸(GABA)によるヒト表皮細胞増殖作用

アミノ酪酸を添加することで、表皮細胞の明確な増加が認められた。

さらに、ターンオーバーの指標であるインボルクリンへの影響を検討したところ、以下のグラフのように、

 アミノ酪酸(GABA)によるインボルクリン産生作用

アミノ酪酸がインボルクリンの産生を促進することを確認した。

この結果からアミノ酪酸がヒト表皮細胞のターンオーバーに関与していることを見出した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2007)、アミノ酪酸にヒト表皮細胞増殖および細胞インボルクリン産生促進による細胞賦活作用が認められています。

表皮ヒアルロン酸合成促進による保湿作用およびバリア機能改善作用

表皮ヒアルロン酸合成促進による保湿作用およびバリア機能改善作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロン酸について解説しておきます。

以下の皮膚の構造図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

ヒアルロン酸は、結合組織の基質成分として存在する酸性ムコ多糖類の一種で、組織内では水と強く親和してゲル状をなし細胞間または組織化間を埋める接合物質として機能しています(文献5:2002)

一般的にヒアルロン酸は、真皮のコラーゲンやエラスチンで構成された細胞外マトリックスの隙間を埋めるゲルとしての役割が大部分ですが、表皮では表皮細胞間の隙間に存在し、水路のような役割を担っています。

2007年にクラシエホームプロダクツによって報告されたアミノ酪酸のヒト表皮細胞への影響の検証によると、

表皮細胞でのアミノ酪酸によるヒアルロン酸産生に関して検討したところ、以下のグラフのように、

アミノ酪酸(GABA)によるヒアルロン酸合成促進作用

アミノ酪酸がヒアルロン酸産生促進に関与していることが確認され、表皮細胞での水分保持にも関与していることを見出した。

さらに、アミノ酪酸配合化粧品を1ヶ月連続使用した場合と無添加の場合を比較した場合の水分蒸発量および水分保持量では、以下のように、

1ヶ月連続使用でのアミノ酪酸(GABA)の水分蒸発量

1ヶ月連続使用でのアミノ酪酸(GABA)の水分保持量

アミノ酪酸配合の場合に角質水分量および水分蒸散量が有意に改善しており、この結果から皮膚のバリア機能を改善し、さらに画像解析の結果、キメを明らかに改善していることを見出したことから実際の化粧品としても有効であることを証明した。

このような検証結果が明らかにされており(文献3:2007)、アミノ酪酸に表皮ヒアルロン酸合成促進による保湿作用およびバリア機能改善作用が認められています。

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アミノ酪酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アミノ酪酸の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、皮膚感作(アレルギー)が起こる可能性もほとんどないため、安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

試験結果や安全データはみあたりませんが、もともとヒトに存在するアミノ酸であること、医薬品および食品としても応用されていることから、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみあたりませんが、もともとヒトに存在するアミノ酸であること、医薬品および食品としても応用されていること、アミノ酸の中でもたんぱく質を構成しない種類であることから、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アミノ酪酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アミノ酪酸は毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題のない成分であると考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

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アミノ酪酸は細胞賦活成分、保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:細胞賦活成分 保湿成分

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文献一覧:

  1. 鵜澤 昌好(2005)「ギャバの生理機能」Food style 21(9)(5),56-58.
  2. 伊藤 賢一(2006)「GABA合成酵素(GAD)を活性化するビルベリーエキスの抗老化作用」Fregrance Journal(34)(8),48-53.
  3. “クラシエホームプロダクツ株式会社”(2007)「GABA の表皮への作用を確認」, <http://www.kracie.co.jp/release/pdf/071029_gaba1.pdf> 2018年3月11日アクセス.
  4. 清水 宏(2011)「周辺帯」あたらしい皮膚科学第2版,9.
  5. 朝田 康夫(2002)「ヒアルロン酸とは何か」美容皮膚科学事典,113-114.

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