細胞賦活成分の解説と成分一覧

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細胞賦活成分

細胞賦活について

「賦活(ふかつ)」とは、活力を与える、物質の機能・作用を活性化するといった意味ですが、皮膚科学分野においては細胞の働きが衰えることにより相対的に低下した皮膚機能の活性化を意味します[1]

表皮の新陳代謝メカニズム

皮膚は大きく最外層の表皮細胞と表皮細胞を支える真皮細胞に分かれており、以下の表皮の構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

表皮細胞の新陳代謝(ターンオーバー)のメカニズム

表皮細胞は、角化細胞(ケラチノサイト)とも呼ばれ、血液やリンパなどから栄養素や調節因子などの制御を受けながら、表皮最下層である基底層で生成された一個の角化細胞はその次につくられた、より新しい角化細胞によって皮膚表面に向かい押し上げられていき、相互に関連しながら各層を移動していく中で有棘細胞、顆粒細胞と分化し、最後はケラチンから成る角質細胞となり、角質層にとどまったのち、角片(∗1)として剥がれ落ちます[2]

∗1 角片とは、体表部分でいえば垢、頭皮でいえばフケを指します。

この表皮の新陳代謝は一般に「ターンオーバー(turnover)」と呼ばれ、細胞が正常に分裂・増殖し皮膚の機能性および恒常性を維持するためには、少なくともエネルギー伝達物質であるATP(adenosine tri-phosphate:アデノシン三リン酸)の供給が必要不可欠であることが知られています[3][4]

生体においてATPは、以下の細胞のATP産生メカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

細胞のATP産生メカニズム

細胞内に入った単糖の一種であるグルコースが分解され、「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達」とよばれる分解過程でそれぞれ産生されることが知られていますが[5a]、表皮細胞においては主に解糖系によって産生されるATPが供給されると考えられています[6]

表皮細胞に供給されるATPを産生する解糖系のATP産生メカニズムについては、以下の解糖系メカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

細胞内でATPを産生する解糖系のメカニズム

細胞内に入ったグルコースは、最初はATP産生準備段階として2分子のATPを消費しながら分解され、その後ATP産生段階として4分子のATPを産生し、最後はピルビン酸としてミトコンドリアのクエン酸回路(TCAサイクル)に進みます[5b][7]

一方で、加齢にともない基底細胞の分裂能が低下すること[8]、実際にヒト表皮細胞内のATP量が加齢にともない減少することが明らかにされていることから[9]、表皮細胞の分裂・増殖・分化を促進することは、表皮ターンオーバーの正常化、ひいては皮膚恒常性の維持において重要であると考えられています。

表皮の新陳代謝改善アプローチ

化粧品において表皮の新陳代謝改善成分とは、衰えた表皮細胞の分裂・増殖・分化を促進する成分であり、実際の表皮の新陳代謝改善作用としては、

  1. ATP産生促進
  2. ATP産生に直接関わる解糖系における加水分解酵素の活性促進

主にこのように作用する成分が報告されており、これらのうち1つ以上の効果を有することで表皮の新陳代謝(ターンオーバー)改善にアプローチします。

参考文献

  1. 霜川 忠正(2008)「細胞賦活剤」BEAUTY WORD 皮膚科学用語編,246-247.
  2. 朝田 康夫(2002)「表皮を構成する細胞は」美容皮膚科学事典,18.
  3. M. Kondo, et al(2000)「The Rate of Cell Growth Is Regulated by Purine Biosynthesis via ATP Production and G1 to S Phase Transition」The Journal of Biochemistry(128)(1),57-64. DOI:10.1093/oxfordjournals.jbchem.a022730.
  4. F. Grummt, et al(1977)「Regulation of ATP Pools, rRNA and DNA Synthesis in 3T3 Cells in Response to Serum or Hypoxanthine」European Journal of Biochemistry(76)(1),7-12. DOI:10.1111/j.1432-1033.1977.tb11564.x.
  5. ab二井 將光(2017)「植物から動物へ。糖を変換してATPエネルギー生産」生命を支えるATPエネルギー メカニズムから医療への応用まで,31-68.
  6. 大城戸 宗男(1978)「角化の生物学;脂質の代謝(2)」皮膚科の臨床(20)(4),265-269.
  7. 多賀谷 光男(2013)「解糖とピルビン酸化」イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版,194-203.
  8. M. Engelke, et al(1997)「Effects of xerosis and ageing on epidermal proliferation and differentiation」British Journal of Dermatology(137)(2),219-225. DOI:10.1046/j.1365-2133.1997.18091892.x.
  9. S. Shinohara, et al(2004)「Skin-lightening effects based on accelerated epidermal turnover」Abstract book of The 8th China-Japan Joint Meeting of Dermatology,131-132.

細胞賦活成分一覧

N-アセチルグルコサミン
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細胞賦活
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アセチルグルコサミン
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アラントイン
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クロレラエキス
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シラカバエキス
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細胞賦活 抗アレルギー 抗老化
表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用、ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用、コラゲナーゼ活性阻害による抗老化作用目的で化粧品に配合される成分、シラカバエキスの効果や安全性について解説します。
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シラカンバ樹皮エキス
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細胞賦活 抗アレルギー 抗老化
表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用、ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用、コラゲナーゼ活性阻害による抗老化作用目的で化粧品に配合される成分、シラカンバ樹皮エキスの効果や安全性について解説します。
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タイソウエキス
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ツボクサエキス
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トウモロコシエキス
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保湿成分 細胞賦活 抗酸化成分 抗シワ成分
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ナツメ果実エキス
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細胞賦活
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ハトムギ種子エキス
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パルミチン酸レチノール
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細胞賦活 抗シワ成分
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ヒオウギエキス
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ヒオウギ抽出液
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細胞賦活 抗炎症
ピルビン酸キナーゼ活性促進による細胞賦活作用、リパーゼ阻害による抗炎症作用目的などで化粧品に配合される成分、ヒオウギ抽出液の効果や安全性について解説します。
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ビルベリー葉エキス
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SOD様活性とカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ産生促進による抗酸化作用、BMAL1発現量増加による細胞賦活作用目的などで化粧品に配合される成分、ビルベリー葉エキスの効果や安全性について解説します。
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ユズ種子エキス
ユズ種子エキス
細胞賦活 保湿 抗老化成分
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ヨクイニンエキス
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保湿 抗アレルギー 細胞賦活 消臭
フィラグリン産生促進による保湿作用、ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用、表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用、イソ吉草酸抑制による体臭・頭皮臭抑制作用目的で化粧品に配合される成分、ヨクイニンエキスの効果や安全性について解説します。
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レチノール
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表皮ヒアルロン酸産生促進による抗シワ作用、表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用目的で化粧品に配合される成分、レチノールの効果や安全性について解説します。
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