ヒドロキシアパタイトの基本情報・配合目的・安全性

ヒドロキシアパタイト

化粧品表示名 ヒドロキシアパタイト
医薬部外品表示名 ヒドロキシアパタイト
部外品表示別名 ハイドロオキシアパタイト
INCI名 Hydroxyapatite
配合目的 増量・希釈・賦形吸着 など

1. 基本情報

1.1. 定義

リン酸塩鉱石から得られる無機物であり、以下の化学式で表されるアパタイト構造を有するリン酸カルシウム体質顔料です[1][2]

ヒドロキシアパタイト

1.2. 性状

ヒドロキシアパタイトの性状は、

状態 白色の微粉末

このように報告されています[3a]

1.3. 分布

ヒドロキシアパタイトは、ヒトをはじめとする脊椎動物の歯や骨といった生体硬組織の主要構成成分であり、骨の60%、歯のエナメル質の97%がアパタイト結晶構造をもつリン酸カルシウム塩で構成されています[4][5]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 増量・希釈・賦形
  • 吸着

主にこれらの目的で、メイクアップ製品、化粧下地製品、日焼け止め製品、洗顔料、シャンプー製品、クレンジング製品、ますく製品などに汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 増量・希釈・賦形

増量・希釈・賦形に関しては、まず前提知識としてパウダー化粧品における着色剤の役割について解説します。

パウダー化粧品において着色剤は、美肌に見せるために肌の色を好ましい色に調整し、肌のムラやくすみ、シミなどの欠点を隠す役割を担っていますが、着色顔料だけでは肌の色は好みどおりでかつ肌の欠点も隠れたとしても人工的で不自然な仕上がりになり、とても美肌とはよべない状態となり、また肌への伸びや滑り性も悪いものとなってしまうことが知られています[6a]

そこで、着色剤の色を薄め、かつ塗りやすく均一で適切な仕上がりにするために体質顔料を混合することが、パウダー化粧品には不可欠となっています[6b]

ヒドロキシアパタイトは、基剤の形状保持や強い化粧膜をつくることから、着色剤の希釈剤や増量剤としてメイクアップ製品、化粧下地製品、コンシーラー製品などに汎用されています[3b]

2.2. 吸着

吸着に関しては、ヒドロキシアパタイトは球状もしくは多孔質(∗1)のものが、脂質の吸着性に優れていることから[7]、化粧崩れ防止および化粧持続性向上目的でメイクアップ製品などに、酸化した皮脂や余分な皮脂を吸着除去尾する目的で洗顔料、クレンジング製品、シャンプー製品などにそれぞれ汎用されています。

∗1 多孔質とは、細かい穴(孔)がたくさん空いた構造になっている性質のことです。

3. 混合原料としての配合目的

ヒドロキシアパタイトは、混合原料が開発されており、ヒドロキシアパタイトと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 DN-HAP (SH)
構成成分 ヒドロキシアパタイトハイドロゲンジメチコン
特徴 ヒドロキシアパタイト表面をシリコーンでコーティングすることにより、油剤への分散性、汗による化粧崩れを防ぐ化粧持続性、使用性を向上させたシリコーン処理粉体

4. 安全性評価

ヒドロキシアパタイトの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

人体親和性が非常に高く、口腔ケアにおいて安全性が認められており[8]、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「ヒドロキシアパタイト」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,801.
  2. 吉岡 隆嗣, 他(1999)「形態制御されたヒドロキシアパタイトの特性と化粧品への応用」Fragrance Journal(27)(1),145-150.
  3. ab宇山 侊男, 他(2020)「ヒドロキシアパタイト」化粧品成分ガイド 第7版,226.
  4. 岡崎 正之(1993)「実際のアパタイト」歯と骨をつくるアパタイトの化学,8-10.
  5. 丹羽 滋郎(1984)「医用セラミック材料 ― 3.ヒドロキシアパタイト」人工臓器(13)(5),1378-1382. DOI:10.11392/jsao1972.13.1378.
  6. ab柴田 雅史(2021)「無色の光の美しさと感触調整 – 体質顔料」美しさをつくる色材工学,180-199.
  7. 齊藤 宗輝, 他(1997)「アパタイト粉体の材料科学」色材協会誌(70)(1),26-34. DOI:10.4011/shikizai1937.70.26.
  8. Joana M. Ramis, et al(2018)「Safety Assessment of Nano-Hydroxyapatite as an Oral Care Ingredient according to the EU Cosmetics Regulation」cosmetics(5)(3),53. DOI:10.3390/cosmetics5030053.

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