二酸化炭素とは…成分効果と毒性を解説

血行促進成分 噴射
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[化粧品成分表示名称]
・二酸化炭素

[医薬部外品表示名称]
・二酸化炭素

[慣用名]
・炭酸ガス

俗に炭酸ガス(∗1)と呼ばれる地球上で最も代表的な炭素の酸化物であり、化学式CO2と表される分子量44.01の無機化合物です(文献1:1994)

∗1 気体は炭酸ガス、固体はドライアイス、液体は液体二酸化炭素、水溶液は炭酸・炭酸水と呼ばれます。

2020年時点では大気中に約0.04質量%含まれているほか(文献2:2020)、活火山や化石燃料の燃焼によって絶えず地表上に供給されており、海水中にも大量に溶存し、炭酸塩鉱物中に固定されている量も多く、植物の光合成による二酸化炭素の消費も含め、地表における炭素の輪廻をつかさどっている化合物です(文献1:1994)

また、二酸化炭素は温泉の一種である二酸化炭素泉(炭酸泉)(∗2)の主成分でもあり、二酸化炭素泉は身体を温める効果のある温泉として古くから知られ、この効果は含有二酸化炭素(炭酸ガス)の末梢血管拡張作用に基づく循環改善が基礎となっていると考えられています(文献3:1984;文献4:2002)

∗2 温泉水1kg中に遊雛炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含有するものは二酸化炭素泉(単純炭酸泉)と規定され、この濃度での作用は顕著であることが知られています。

主な用途として、美容分野において炭酸ガス発生装置を用いた炭酸ヘッドスパなどに、食品分野において発泡ガスとして炭酸飲料、口の中で弾ける菓子類などに汎用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、シート&マスク製品、エアゾール製品、洗顔料、シャンプー製品、クレンジング製品、ボディケア製品、入浴剤、アウトバストリートメント製品、ヘアケア製品、頭皮ケア製品など様々な製品に使用されています。

血管拡張による血行促進作用

血管拡張による血行促進作用に関しては、水に溶存した二酸化炭素(炭酸ガス)は皮膚から浸透しその刺激が血管に伝わり血管が拡張することで血行促進が起こると考えられています(文献5:2011;文献6:2015)

実際的に皮膚に対して二酸化炭素の血行促進作用を発揮するためには、二酸化炭素の大気中への放散を最低限にとどめて皮膚へ浸透させることが重要であり、そのためのアプローチとして剤型と炭酸ガスの大きさが挙げられます。

剤型によるアプローチとしては、代表的なものとして吐出直後から大気中へ放散しやすい一方で高濃度の炭酸ガスを短時間で肌に供給できるエアゾール型や、供給できる炭酸ガス量は限られるものの高粘度のゲルにより大気中への放散を最低限にとどめることが可能なシート型などが用いられています(文献6:2015)

炭酸ガスの大きさによるアプローチとしては、炭酸ガスの泡径が小さくなるほど泡と皮膚との接触面積は大きくなり、また炭酸ガスが溶解しやすくなり溶解量が上がることで浸透量が増加すると考えられていることから、マイクロバブル技術が用いられることがあります(文献6:2015)

このような背景から、皮膚の血行促進目的でシート製品、パック製品、エアロゾル製品、クレンジング製品、洗顔料、入浴剤などに使用されています。

エアゾール製品の噴射剤

エアゾール製品の噴射剤に関しては、二酸化炭素(炭酸ガス)は圧縮ガスのもつ臨界温度が低く、常温付近で加圧しても液化しにくい特徴を有しており、またエアゾール製品(∗3)は耐圧容器に封入されており炭酸ガスを高濃度溶解させるには最適の剤型であることから、LPGなどの液化ガスとの差別化を図る目的などでエアゾール製品の噴射剤として使用されています(文献7:2015)

∗3 エアゾール(Aerosol)とは、本来はコロイド科学分野において煙や霧のように微粒子が空気中に浮遊している状態を指しますが、製品におけるエアゾールは、缶などの容器に液化ガスあるいは圧縮ガスと使用目的とする液体をともに封入し、ボタンを押すとガスの圧力で必要量が霧状に吹き出す構造にした製品の内容物を指します。

効果・作用についての補足

二酸化炭素の効果を発現させるには、ただ単に塗布するだけでは期待できず、皮膚上に数分間保持させる必要がありますが、経皮吸収された二酸化炭素の効果として、20-30分の炭酸パック使用において個人差があるものの肌状態(肌のキメ、ハリ、透明度、小ジワ、たるみの改善など)の改善が複数報告されています(文献7:2015;文献8:2015)

これらの効果に関しては、血管拡張による血行促進作用のみでは説明がつかず、現時点では作用メカニズムが不明とされていることから、作用メカニズムや明確な効果が明らかになり次第追補します。

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二酸化炭素の安全性(刺激性・アレルギー)について

二酸化炭素の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-わずか(有害な事象ではなく心地良い刺激感)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

日進化学の有効性試験データ(文献7:2015)によると、

  • [ヒト試験] 15人の女性被検者(30-60歳)に濃度約1,500ppmの炭酸ガス(二酸化炭素)を含む化粧水を100mLエアゾール容器に50mL充填し、これを30日間にわたってコットンに適量吐出して気になる箇所(目元や頬)に2分間コットンパックしてもらい、皮膚科専門医による皮膚所見による観察および皮膚刺激感を尋ねたところ、8人は刺激感を感じたと回答し、6人に1分以内に消失する程度のわずかな皮膚紅潮が確認できた。皮膚刺激に関しては耐えられない嫌な感じの刺激ではなく、1分程度で収まる心地よい、効果が実感できる感覚の刺激であったとの意見であった。また皮膚科医の所見では皮膚に有害な事象はなく、炭酸ガスによる皮膚紅潮が問題ないことが確認された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな皮膚紅潮や刺激感が報告されているものの、有害な事象ではなく、1分程度で収まる心地良い刺激であると報告されていることから、一般に皮膚刺激性はわずかな皮膚刺激を引き起こすものの、安全性に問題のある皮膚刺激ではないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

二酸化炭素は血行促進成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:血行促進成分

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文献一覧:

  1. 大木 道則, 他(1994)「二酸化炭素」化学辞典,1015-1016.
  2. 気象庁(2020)「二酸化炭素濃度の経年変化」, <https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html> 2020年5月23日アクセス.
  3. 萬 秀憲, 他(1984)「人工炭酸浴に関する研究」日本温泉気候物理医学会雑誌(47)(3-4),123-129.
  4. N. Nishimura, et al(2002)「Effects of repeated carbon dioxide-rich water bathing on core temperature, cutaneous blood flow and thermal sensation」European Journal of Applied Physiology(87),337-342.
  5. Y. Sakai, et al(2011)「A Novel System for Transcutaneous Application of Carbon Dioxide Causing an “Artificial Bohr Effect” in the Human Body」Plos One(6)(9),e24137.
  6. 小林 由佳, 他(2015)「血行促進効果を高める炭酸製剤設計とそのスキンケア効果の検証」Fragrance Journal(43)(7),16-20.
  7. 角本 次郎(2015)「炭酸ガスの化粧品への配合と肌質改善効果に関して」Fragrance Journal(43)(7),40-44.
  8. 田中 雅也(2015)「炭酸ガスの美容効果について」Fragrance Journal(43)(7),35-39.

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