フルクトースの基本情報・配合目的・安全性

フルクトース

化粧品表示名称 フルクトース
医薬部外品表示名称 果糖
化粧品国際的表示名称(INCI名) Fructose
配合目的 結合保水研磨(スクラブ) など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される、6個の炭素原子と1個のケトン基(>C=O)をもつ単糖(ケトース)(∗1)です[1a][2a]

∗1 単糖とはそれ以上加水分解できない糖のことをいい、単糖の中で6個の炭素原子をもつものを六炭糖(ヘキソース:Hexose)といいます。フルクトースはヘキソースに属していますが、ケトン基をもつ単糖をケトース(ketose)と総称することからケトースでもあります。フルクトースは代表的なケトースであることから一般にケトースに分類されていますが、ケトン基をもつヘキソースをケトヘキソースということから、厳密にはケトヘキソース(ketohexose)に分類されます。

フルクトース

結晶性フルクトースは、上図の左のピラノース構造(∗2)をとりますが、フルクトースは水溶液中で上図の右のフラノース構造(∗3)と上図の左のピラノース構造との平衡混合物となっています。

∗2 ピラノース構造とは、5個の炭素原子(C)と1個の酸素原子(O)を頂点として六員環(六角形)を構成している炭水化物の総称です。

∗3 フラノース構造とは、4個の炭素原子(C)と1個の酸素原子(O)を頂点として五員環(五角形)を構成し、酸素の右側の炭素がアノマー(anomer)となっている炭水化物の総称です。

1.2. 分布

フルクトースは、植物界においては樹液や果実(果汁)中に多く含まれており、またハチミツにも多く含まれています[2b]

1.3. 化粧品以外の主な用途

フルクトースの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
食品 甘味付与目的で製菓などに用いられています[3]
医薬品 インスリン非依存性であり糖尿病患者の血糖値を上昇させないことから糖尿病および糖尿病状態時の輸液・栄養製剤として用いられています[4]。また安定・安定化、甘味、矯味、結合、等張化、粘着増強、賦形目的の医薬品添加剤として経口剤、静脈内注射、口中用剤、耳鼻科用剤に用いられています[5a]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 結合
  • 保水
  • 研磨(スクラブ)

主にこれらの目的で、パウダー系メイクアップ化粧品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、スキンケア化粧品、ボディスクラブ製品、ボディ&ハンドケア製品、マスク製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 結合

結合に関しては、フルクトースは粉体原料同士を皿状容器に圧縮成型するとき、粉体原料同士のくっつきをよくしたり、使用時に粉が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で主にパウダー系メイクアップ化粧品などに用いられます[6][7]

2.2. 製品自体の保水

製品自体の保水に関しては、フルクトースは吸湿性および保水性を有していることから、製品自体の水分を保持する目的で様々な製品に配合されています[1b][5b]

2.3. 研磨(スクラブ)

研磨(スクラブ)に関しては、フルクトースは天然に存在する吸湿性の高い単糖であり、その粒は物理的に古い角質を除去するスクラブ剤としてボディケア製品などに使用されています。

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2013-2014年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗4)

∗4 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

フルクトースの配合製品数と配合量の調査結果(2013-2014年)

4. 安全性評価

フルクトースの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

日本薬局方に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. ab日本化粧品工業連合会(2013)「フルクトース」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,372.
  2. ab大木 道則, 他(1989)「D-フルクトース」化学大辞典,2048.
  3. 有機合成化学協会(1985)「D-フルクトース」有機化合物辞典,857.
  4. 浦部 晶夫, 他(2021)「果糖」今日の治療薬2021:解説と便覧,538.
  5. ab日本医薬品添加剤協会(2021)「果糖」医薬品添加物事典2021,132-133.
  6. 日光ケミカルズ株式会社(2016)「糖類」パーソナルケアハンドブックⅠ,102-105.
  7. 霜川 忠正(2001)「結合剤」BEAUTY WORD 製品科学用語編,216.

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