化粧品に使用されるシリコーン系界面活性剤
シリコーン系界面活性剤の解説
ケイ素(Si)と酸素(O)が化学結合により交互に連なったシロキサン結合を主骨格に持つシリコーンの一部に親水性の置換基を導入した構造をもつ界面活性剤です。
親水性置換基の種類を変えることで、種々の用途に適した界面活性剤が得られます。
化粧品に使用されるシリコーン系界面活性剤の種類
化粧品において主に使用されるシリコーン系界面活性剤は、以下の表のように、
分類 | 分類(詳細) | 化粧品成分名称 |
---|---|---|
ポリエーテル変性シリコーン | シリコーン直鎖型ポリエーテル変性シリコーン | PEG-3ジメチコン PEG-9ジメチコン PEG-10ジメチコン PEG-12ジメチコン PEG-10メチルエーテルジメチコン PEG-11メチルエーテルジメチコン |
シリコーン直鎖型アルキル共変性ポリエーテル変性シリコーン | セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン | |
シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーン | PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン | |
シリコーン分岐型アルキル共変性ポリエーテル変性シリコーン | ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン | |
部分架橋型変性シリコーン | 部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン | (ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー |
主にポリエーテル変性シリコーンまたは部分架橋型変性シリコーンが用いられます。
ポリエーテル変性シリコーンは、シリコーンの一部を酸化エチレン(親水性)に置換した構造をもつシリコーン系界面活性剤ですが、ポリエーテル変性シリコーンには上記4つの種類があり、それぞれの水との増粘性において以下のグラフのように、
直鎖型は水の添加による増粘性が高く、分岐型は増粘性が低いという特徴があります。
また、油剤との相溶性においては以下の表のように(∗1)、
∗1 表中の記号はそれぞれ ○:溶解、△:微濁・分散、☓:不溶 を意味します。
油剤の種類 | 各油剤との相溶性 | |||
---|---|---|---|---|
直鎖型シリコーン | 分岐型シリコーン | |||
変性 | アルキル変性 | 変性 | アルキル変性 | |
シクロペンタシロキサン(環状シリコーン) | ○ | △ | ○ | ○ |
ジメチコン(ジメチルシリコーン) | ○ | △ | ○ | ○ |
ミネラルオイル(流動パラフィン) | △ | ○ | △ | ○ |
イソノナン酸イソトリデシル(エステル) | ○ | ○ | ○ | ○ |
トリエチルヘキサノイン(エステル) | ○ | ○ | ○ | ○ |
BG(多価アルコール) | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ |
イソプロパノール(一価アルコール) | ○ | ☓ | ○ | ○ |
水 | ☓ | ☓ | ☓ | ☓ |
直鎖型アルキル変性以外は様々なタイプのシリコーン油、エステルおよび一価アルコールを溶解し、またアルキル変性はミネラルオイルも溶解します。
このような背景から、それぞれの処方に応じて最適なポリエーテル変性シリコーンが用いられます。
部分架橋型変性シリコーンは、主にシリコーンを乳化するゲル化剤として使用されています。
化粧品に使用されるシリコーン系界面活性剤の作用・効果
化粧品におけるシリコーン系界面活性剤は、
- シリコーン油の乳化・ゲル化
- ヘアコンディショニング作用
- 基剤の感触改良
主にこれらを目的として、メイクアップ製品、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア化粧品、日焼け止め製品、ヘアケア製品、アウトバストリートメント製品、クレンジング製品、洗浄製品、ネイル製品など様々な製品に汎用されています。
シリコーン油の乳化・ゲル化
界面活性剤の代表的な作用のひとつに乳化・ゲル化がありますが、乳化・ゲル化の中でもシリコーン系界面活性剤は主にシリコーンを乳化・ゲル化することを目的に用いられる界面活性剤です。
ヘアコンディショニング
シリコーン特有の特徴である潤滑性、さっぱり感、ベタつき抑止、毛髪へのツヤの付与、櫛通り性の向上などを目的にヘアトリートーメント、アウトバス製品、ヘアケア製品に用いられています。
化粧品に使用されるシリコーン系界面活性剤の安全性
シリコーンは化学的安定性が高く、また生理的にも不活性であることが知られており、一般的にシリコーン系界面活性剤は、界面活性剤の中でも低刺激性に分類される非イオン界面活性剤よりも皮膚刺激性が低いと報告されています。
化粧品に使用されるシリコーン系界面活性剤一覧
- 数字,A-Z,ア-ンの順番に並べてあります
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