陽イオン界面活性剤の解説と化粧品に使用される陽イオン界面活性剤一覧

陽イオン界面活性剤

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陽イオン界面活性剤・カチオン界面活性剤の解説

陽イオン界面活性剤(Cationic Surfactant)とは、以下の構造図をみるとわかるように、

陽イオン界面活性剤の構造図

その分子中の親水基にカチオン基をもっている界面活性剤のことであり、日本においては1965年に陽イオン界面活性剤を用いたヘアリンスが市販されて以来、一般家庭用の汎用リンスとして普及し、現在ではヘアケア製品を中心に様々な製品に応用されています。

一般的に陽イオン界面活性剤はカチオン界面活性剤とも呼ばれますが(∗1)、カチオンとは厳密には「+」の電荷(正電荷)をもつイオンの総称であり、液体中で「+」イオンに電離するカチオンを「陽イオン」、気体中に存在しているカチオンを「正イオン」といいます。

∗1 陰イオン界面活性剤はセッケンを含むことから単に「セッケン」と呼ばれることがありますが、一方で陽イオン界面活性剤は陰イオン界面活性剤の逆のイオン性を有していることから「逆性セッケン」または「陽性セッケン」と呼ばれることもあります。

このような背景から、一般に構造そのものを指すときはカチオン界面活性剤ということが多く、液体中が前提となっている場合は、カチオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤を特に分けることなく用います。

化粧品に使用される陽イオン界面活性剤の種類

化粧品において主に使用される陽イオン界面活性剤は、以下の表のように、

分類 分類(詳細) 化粧品成分名称
アミン塩型 脂肪酸アミドアミン塩 ステアラミドプロピルジメチルアミン
ベヘナミドプロピルジメチルアミン
脂肪酸アミドアミン塩エチレンオキシド付加物 PPG-1/PEG-1ステアラミン
第四級アンモニウム塩型 モノアルキル型四級アンモニウム塩 セトリモニウムクロリド
ステアルトリモニウムクロリド
ベヘントリモニウムクロリド
ベヘントリモニウムメトサルフェート
ジアルキル型四級アンモニウム塩 ジステアリルジモニウムクロリド
クオタニウム-18
ベンザルコニウム型四級アンモニウム塩 ベンザルコニウムクロリド

アミン塩型と第四級アンモニウム塩型に大別されます。

化粧品に使用される陽イオン界面活性剤の作用・効果

化粧品における陽イオン界面活性剤は、

  • 帯電防止
  • 殺菌

主にこれらのいずれかの効果を目的として、帯電防止目的の場合はヘアコンディショニング製品、ヘアトリートメント製品、ヘアケア製品、アウトバス製品、トリートメントインシャンプー製品などに、殺菌目的の場合は洗浄製品、スキンケア化粧品などに使用されています。

帯電防止

水道水やシャンプーは一般的に弱酸性(pH5-6)であることから、ぬれた毛髪の表面はマイナスに帯電しており、一方で陽イオン界面活性剤は以下の図のように、

陽イオン界面活性剤の構造図

親水基部分がプラスの荷電をもっている構造であることから、親水基部分がマイナスに帯電した毛髪表面に静電的に吸着します。

そして、疎水基(親油基)部分は外側を向くため、毛髪表面が親油基で覆われることでなめらかになり、その結果として静電気の発生をおさえ(帯電防止)、すすぎや乾燥後の摩擦を低減し、毛髪のくし通りがよくなります。

陽イオン界面活性剤の安全性について

界面活性剤の中でも陽イオン界面活性剤は皮膚および粘膜に影響が強く、一般にアミン塩と比較して第四級アンモニウム塩はその影響が強いといわれています。

また、第四級アンモニウム塩の皮膚および粘膜に対する影響は、

  • 化学構造におけるアルキル鎖長
  • 使用濃度および接触時間

これらの2つの要素によって大きく変わります。

化学構造におけるアルキル鎖長とは、アルキル基の炭素数であり、一般に炭素数12-16のものが皮膚に対して強い刺激作用をおよぼし、炭素数18以上のものはそれ以下のものと比較して皮膚に対する作用は穏やかであることが知られています。

一般的にヘアコンディショニング剤に用いられている第四級アンモニウム塩の炭素数は、以下のような種類があり、

第四級アンモニウム塩の種類 アルキル基の炭素数
セトリモニウムクロリド 16
ステアルトリモニウムクロリド 18
ベヘントリモニウムクロリド 22
ベヘントリモニウムメトサルフェート 22

セトリモニウムクロリドを除いて比較的皮膚刺激の影響が穏やかなものが汎用されています。

次に使用濃度および接触時間についてですが、同じ物質でも使用濃度が異なることで皮膚に刺激をおよぼす例は非常に多く、一般的に1%濃度以上の陽イオン界面活性剤を皮膚に長時間接触させることは、皮膚刺激リスクを増大させます。

ただし、実際に化粧品における使用濃度は0.1%-1.0%程度の範囲であり、この程度の濃度範囲であれば、一般に皮膚刺激はほとんどなく、またあっても無視できるものが多いといった報告が多いことから、使用後すぐに洗い流すヘアトリートメントなどのリンスオフ製品については安全性にほとんど懸念がないと考えられます。

殺菌目的でスキンケア化粧品などに配合されるベンザルコニウムクロリドなどは、皮膚上に塗布するため、配合濃度は0.05%上限に定められています。

化粧品に使用される陽イオン界面活性剤一覧

  • 数字,A-Z,ア-ンの順番に並べてあります
  • 知りたい陽イオン界面活性剤がある場合は「目的の行(ア行カ行など)」をクリックすると便利です

PPG-1/PEG-1ステアラミン
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塩化ジステアリルジメチルアンモニウム
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