PEG(ポリエチレングリコール)の基本情報・配合目的・安全性

PEG(ポリエチレングリコール)

慣用名称 PEG、ポリエチレングリコール
配合目的 保水溶剤結合増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される、酸化エチレンの重合体(∗1)かつ多価アルコール(∗2)です[1a][2]

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指します。

∗2 2個以上のヒドロキシ基(-OH)が結合したアルコールを多価アルコールといいます。

PEG(ポリエチレングリコール)

1.2. 表示名称一覧

化粧品および医薬部外品(薬用化粧品)に用いられるPEGは、分子量の大きさによって、

化粧品表示名称 医薬部外品表示名称
PEG-4 ポリエチレングリコール200
PEG-6 ポリエチレングリコール300
PEG-8 ポリエチレングリコール400
PEG-12 ポリエチレングリコール600
PEG-20 ポリエチレングリコール1000
PEG-6,PEG-32 ポリエチレングリコール1500
PEG-32 ポリエチレングリコール1540
PEG-40 ポリエチレングリコール2000
PEG-75 ポリエチレングリコール4000
PEG-150 ポリエチレングリコール6000
PEG-240 ポリエチレングリコール11000
PEG-400 ポリエチレングリコール20000
PEG-2M 高重合ポリエチレングリコール
PEG-5M
PEG-7M
PEG-9M
PEG-14M
PEG-20M
PEG-23M
PEG-45M
PEG-65M
PEG-90M
PEG-115M
PEG-160M
PEG-180M

このように表示名称の数字部分が異なっており、化粧品表示名称の数字部分が平均重合度を、医薬部外品表示名称の数字部分が平均分子量を表しています(例:「PEG-8」の場合は平均重合度が8であり、「ポリエチレングリコール200」の場合は平均分子量が200であるという意味です)

1.3. 物性

PEGの物性は(∗3)(∗4)

∗3 PEGは医薬部外品表示名称の数値がそのまま平均分子量を表しており、わかりやすいことから医薬部外品表示名称であるポリエチレングリコールの数字部分を記載しています。

∗4 表中の「1500(ポリエチレングリコール1500)」は「PEG-6」と「PEG-32」の等量混合物であることから、物性が他とは異なります。

PEG 平均分子量 水酸基価(∗5) 粘度(mm²/s) 吸湿性
300 285-315 356-393 5.0-6.2


4000以上はほとんどなし

400 380-420 267-295 6.0-8.0
600 570-630 178-196 10-12
1000 950-1050 107-118 17-20
1500 500-600 187-224 13-18
1540 1300-1600 70.0-86.2 25-32
2000 1800-2200 51.0-62.0 36-46
4000 2700-3400 33.0-41.0 75-85
6000 7400-9000 12.5-15.2 700-900
20000 18000-25000 5.2-6.2 11500-15000

∗5 水酸基価とは、試料中の水酸基(ヒドロキシ基:-OH)の含有量を表す指標であり、分子中に水酸基の占める割合いが多いほど水酸基価は大きくなります。ポリエチレングリコールにおいては水酸基価が大きくなるにつれて保湿性・吸湿性および水への溶解性が高くなり、一方で水酸基価が小さいほど保湿性・吸湿性および水への溶解性は低くなります[3]

このように報告されています[4a]

「ポリエチレングリコール1500」は「PEG-6」と「PEG-32」の等量混合物であるため例外となりますが、PEGは分子量の増加とともに水酸基価および吸湿性が低下し、一方で粘度は増加する性質を示します。

1.4. 化粧品以外の主な用途

PEG(ポリエチレングリコール)の化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 分子量によって目的は異なりますが、一般に軟膏基剤、座薬基剤、錠剤のコーティング剤や結合剤(バインダー)などに用いられています[5]

これらの用途が報告されています(∗6)

∗6 医薬品・医薬品添加物においてポリエチレングリコールは「マクロゴール(macrogol)」として区別されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 保水
  • 溶剤
  • 結合
  • 親水性増粘

主にこれらの目的で、スキンケア化粧品、洗顔料、クレンジング製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、ボディソープ製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、整髪料、プレスタイリング製品、香水、入浴剤など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 製品自体の保水

製品自体の保水に関しては、PEG-75(ポリエチレングリコール4000)以下は分子量が小さくなるほど吸湿性・保水性が高いことから、製品自体の水分調整や、乳化系や可溶化系の安定性を保持する目的で様々な製品に配合されています[1b][6a][7]

2.2. 溶剤

溶剤に関しては、PEG-32(ポリエチレングリコール1540)以下はエタノールによく溶けることから[8]、不溶性の薬剤などを水溶性基剤に分散させる目的で広く用いられています[1c][6b]

2.3. 結合

結合に関しては、PEG-32(ポリエチレングリコール1540)以上で粉体原料同士を皿状容器に圧縮成型するとき、粉体原料同士のくっつきをよくしたり、使用時に粉が周囲に飛び散るのを防ぐ目的で主にプレストパウダー(固形おしろい)などに用いられます[9][1d]

2.4. 増粘

親水性増粘に関しては、PEGは平均分子量に比例して粘度が増加する水溶性高分子であることから[4b]、さっぱりした水溶性基剤として、また水中油滴型(O/W型:Oil in Water type)エマルションなど乳化物の増粘や乳化安定化を目的に様々な製品に使用されています[1e][10]

3. 安全性評価

PEGの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
    (PEG-4、PEG-6、PEG-12、PEG-20、PEG-32)
  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
    (PEG-8、PEG-75、PEG-150、PEG-400)
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 50年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 皮膚感作性(皮膚炎を有する場合):PEG-8以下でごくまれに皮膚感作を引き起こす可能性あり、PEG-20以上でほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、PEG-8以下は皮膚炎を有する場合やバリア機能が低下している場合においてごくまれに皮膚感作を引き起こす可能性があるため、注意が必要であると考えられます。

この結論にいたった根拠は、各PEGの総合レポートページの安全性評価を参照してください。

4. 参考文献

  1. abcde日本化粧品工業連合会(2013)「PEG」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,25-31.
  2. 大木 道則, 他(1989)「ポリエチレングリコール」化学大辞典,2243.
  3. 田村 健夫・廣田 博(2001)「保湿剤」香粧品科学 理論と実際 第4版,130-133.
  4. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「多価アルコール」パーソナルケアハンドブックⅠ,95-101.
  5. 堀江 誠司(2019)「医薬品用ポリエチレングリコール」三洋化成ニュース(512),1-4.
  6. ab日光ケミカルズ株式会社(1977)「多価アルコール類」ハンドブック – 化粧品・製剤原料 – 改訂版,76-94.
  7. 尾沢 達也(1969)「保湿剤(Humectant)」ファルマシア(5)(10),685-690. DOI:10.14894/faruawpsj.5.10_685.
  8. 日本医薬品添加剤協会(2021)「マクロゴール」医薬品添加物事典2021,611-620.
  9. 霜川 忠正(2001)「結合剤」BEAUTY WORD 製品科学用語編,216.
  10. 田中 宗男・熊谷 重則(1990)「美を演出する高分子(化粧品)」高分子(39)(11),802-805. DOI:10.1295/kobunshi.39.802.

5. PEG一覧

  • 数字 A-Z ア-ンの順番に並べてあります。
  • 知りたいPEGがある場合は「目的の行(ア行カ行など)」をクリックすると便利です。
化粧品表示名称 PEG-6
配合目的 保水、溶剤
化学式 PEG-6
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-8
配合目的 保水、溶剤
化学式 PEG-8
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-20
配合目的 保水、溶剤
化学式 PEG-20
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-32
配合目的 保水、溶剤 など
化学式 PEG-32
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-75
配合目的 保水、溶剤 など
化学式 PEG-75
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-150
配合目的 保水、溶剤、結合 など
化学式 PEG-150
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-400
配合目的 増粘、溶剤 など
化学式 PEG-400
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-14M
配合目的 増粘 など
化学式 PEG-14M
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-45M
配合目的 増粘 など
化学式 PEG-45M
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
化粧品表示名称 PEG-90M
配合目的 増粘 など
化学式 PEG-90M
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 高重合ポリエチレングリコール
配合目的 増粘 など
化学式 高重合ポリエチレングリコール
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
→ 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
→ 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール300
配合目的 保水、溶剤
化学式 ポリエチレングリコール300
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール400
配合目的 保水、溶剤
化学式 ポリエチレングリコール400
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール1000
配合目的 保水、溶剤
化学式 ポリエチレングリコール1000
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール1540
配合目的 保水、溶剤 など
化学式 ポリエチレングリコール1540
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール4000
配合目的 保水、溶剤 など
化学式 ポリエチレングリコール4000
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール6000
配合目的 保水、溶剤、結合 など
化学式 ポリエチレングリコール6000
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ
医薬部外品表示名称 ポリエチレングリコール20000
配合目的 増粘、溶剤 など
化学式 ポリエチレングリコール20000
レポート → 基本情報・配合目的・安全性の詳細ページ

TOPへ