PG(プロピレングリコール)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 保湿成分
PG(プロピレングリコール)
[化粧品成分表示名称]
・PG

[医薬部外品表示名称]
・プロピレングリコール

酸化プロピレンから化学合成された多価アルコールで、無色透明の液体です。

グリセリンに比べて粘度が低いため、さっぱりしていて使用感触に優れており、水やアルコールに非常に溶けやすい性質を持っています。

近年では植物油脂を原料として合成されるものもあります。

安全性の懸念もあり、現在はわざわざPGを配合する化粧品は少なくなり、代わりにより安全で刺激の少ないDPG(ジプロピレングリコール)が多く使用されています。

参考:DPGの成分効果と毒性の解説

ただし、PGは物質を溶かす性質が優れているのでシャンプーなどリンスオフ製品(∗1)での配合は今でもあります。

∗1 水で流してしまう製品のことです。

化粧品に配合される場合は、保湿効果があるので乾燥から肌を守る役割のひとつとして、化粧水・乳液・クリームに配合されたり、物質を溶かしやすい性質があるので溶剤の補助目的で使われます。

また、グラム陰性菌の抗菌作用もあります。

PGの配合製品の種類や配合量は、1984年の海外の調査データになりますが、”Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」によると、

PGの配合製品数と配合量の調査(1984)

となっており、当時はかなりメジャーな成分だったことがうかがえます。

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PG(プロピレングリコール)の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

PGの現時点での安全性は、皮膚刺激に関してはまれに紅斑が起こる可能性がありますが、総合的に皮膚刺激性はほとんどなく、軽度の眼刺激性があるものの、アレルギー(皮膚感作性)が起こる可能性も低いので、安全性は問題ないと考えられています。

ただし、PGの使用によ経皮水分蒸発量が増えたり、細胞密度が減少したという試験結果もあり、安全性の懸念がぬぐえないため、とくにリーブオン製品(∗2)での使用は考える必要があります。

∗2 スキンケアやメイクアップなどの付けっ放しの製品。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗3)やレポートを参照しています。

∗3 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」(文献1:1994)によると、

  • [ヒト試験] 被検者(人数不明)にPG1.0mLの単一解放パッチを太ももの側面に5~15分間貼り付けるという手順を12日間繰り返したところ、閉塞パッチ下では軽度の紅斑を引き起こしたがこの試験では刺激反応を引き起こさなかった(Wahlberg and Nilson,1984)
  • [ヒト試験] PGの皮膚刺激性を研究するために皮下脂肪の厚さの変化を調査するために、100%PGを被検者の前腕に36日間連続で適用し、皮下脂肪の厚さを毎日測定したところ、この試験において皮下脂肪に変化はなかった(Wahlberg and Nilson,1984)
  • [ヒト試験] 10人の成人男性に100%PGを含むパッチを前腕の手のひら側に48時間適用し、パッチ除去1時間後に調べたところ反応は観察されなかった(Willis et al,1989)
  • [ヒト試験] ヒトにおけるPGの刺激能を評価するため48時間パッチ試験と21日間反復パッチ試験の両方を行った。48時間試験では50%の成人男性の背中に100%PGを含むパッチ0.05mLを適用し、パッチ除去後に部位を採点したところ、用量依存的に紅斑および浮腫を生じた。また21日間パッチ試験では24人の男性に1,3,10または30%PG0.05mLを含むパッチを背中上部に毎日適用し採点したところ、不特定多数の被検者において10および30%PGの濃度で刺激反応が生じたため、この試験においてPGが一次刺激反応を引き起こしたと結論づけた(Motoyoshi et al,1984)
  • [ヒト試験] 10名の健常な男性ボランティアに100%PGパッチを前腕の手のひら側に48時間適用し、パッチ除去1時間後に観察したところ、大部分は軽度~中程度の刺激であり、陰性対照と有意に異ならなかったが、軽度の反応は細胞密度のわずかな低下を引き起こし、重度の反応は細胞の増加を引き起こしたため、PGと細胞の間には関係があるようであった(Willis et al,1990)
  • [ヒト試験] 204名の被検者に12%PGを含むクリーム0.5gを上腕に閉塞パッチ下で48時間または72時間を10回適用し、2週間の無処置期間を経て再度72時間試験部位に適用したところ、いずれの被検者も反応がなかった(Marzulli and Maibach,19738)
  • [ヒト試験] 16および35人の健康なボランティアに50および100%PGを閉塞パッチ下で48時間適用し、パッチ除去1時間後に刺激指数を採点したところ、50%PGでは陽性反応はなく、100%PGでは14/35例の陽性反応が報告されたため、この試験においてPGは刺激性がわずかであった(Willis et al,1988)
  • [ヒト試験] 203名の健康なボランティアにPG0.2mLを含む閉塞性パッチを48時間適用し、21日間にわたって合計10回繰り返し、2週間の無処置期間後新しい試験部位に48~72時間チャレンジパッチを適用し、0.0-4.0の尺度でスコアを調査したところ、誘導段階で8名の被検者で不確かな反応(スコア=0.5)が認められ、チャレンジ段階では19(6例は0.5、6例は1.0、7例は2.0)の皮膚反応が認められた。これらの皮膚反応をさらに調べたところ、刺激反応であると結論づけた(Trancik and Maibach,1982)
  • [ヒト試験] 866人の患者に100%PGを用いて1951年4月~1952年4月まで閉塞パッチにて試験したところ、陽性反応が138人(15.7%)の患者で観察され、反応は軽度の紅斑(+)から小胞形成(++++)まで示した。また陽性反応の発生率は季節変動もみられ、発生頻度は気候が暑く湿っていた(7月、8月および9月、ニューヨーク市)ときには最小限で、涼しく乾燥した季節に著しく多くなった。また、100%PGで陽性反応を示した138人の患者のうち23人を10%PG水溶液でパッチ試験したところ、陽性反応はわずか5例であり、同じ23人に2.5%PG水溶液を適用したところ、陽性反応は1例のみだった(Warshaw and Herrmann,1952)
  • [ヒト試験] 1,556人の患者に100%PGでパッチテストしたところ、194人に陽性反応が観察され、4人の患者は真性のアレルギーを有しており、残りは刺激反応を示した。刺激反応を示した42人の患者を3.2%,10,32%PGの3つのグループに分けて試験したところ、3.2%PGの陽性反応が9例、10%PGの陽性反応が12例、32%PGの陽性反応が20例であった(Catanzaro and Smith,1991)
  • [ヒト試験] 84人の患者に100%PGをパッチテストしたところ、12人に陽性反応が観察され、12人のうち5人はアレルギー反応を示し、7人は皮膚刺激反応を示した(Andersen and Storrs,1982)
  • [ヒト試験] 接触性皮膚炎の病歴をもつ823名の患者に30%PGを含む閉塞性パッチを48時間適用し、パッチ除去後1~4時間および2日後に採点したところ、31人(3.8%)に浮腫および紅斑が認められ、61人(7.4%)に紅斑のみが認められた。さらに浮腫および紅斑の認められた31人のうち22人の患者に1,2,10,30%PGを続けて適用したところ、1%PGで1人および30%PGで1人陽性反応を示した(Kinnunen and Hannuksela,1989)
  • [ヒト試験] 8人の皮膚疾患患者および11人の健康なボランティアにPGにおけるTEWL(経皮水分蒸発量)とNICR(非免疫学的接触反応)のため50%PG20μLを適用したところ、PGは皮膚疾患患者の3日目および健康なボランティアの8日目にTEWLを増加させ、また皮膚血流の増加もみられた。さらにこの試験において刺激性も有していた(Kinnunen and Hannuksela,1989)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2001)によると、

  • 皮膚に対しては基本的に刺激性を与えない

朝日硝子株式会社の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [動物試験] モルモット、ウサギおよびミニブタでは皮膚刺激性がなかった

昭和化学株式会社の安全データシート(文献4:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた皮膚刺激性試験で陰性の結果に基づき皮膚刺激性なし(区分外)とした

と記載されています。

多くの試験で一過性の軽度の紅斑がみられることが多く、800人や1,500人を超える試験では約10%がわずか~軽度の紅斑を示していることもあり、皮膚刺激性なしと結論付けている試験も多いのですが、人によっては一過性のわずか~軽度の紅斑が生じる可能性がありますが、総合的に皮膚刺激が起こる可能性は少ないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」(文献1:1994)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギのそれぞれの片眼の結膜嚢にPG0.1mLを点眼し、Draize法に従って処置後1,24,48,72および96時間目に検査したところ、最大スコア110中24時間でスコア0.7、72時間でスコア0.3、96時間でスコア0.0でうずれのウサギにおいても角膜の損傷はみられなかった(Clark et al.,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギそれぞれの片眼の結膜嚢にPG0.1mLを点眼し、点眼後は目をすすがず、AOI(急性眼刺激指数、最大スコア110)およびMOI(平均眼刺激指数、最大スコア40)を算出したところ、AOIは11.33、MOIは0.83だったため、PGはこの試験においてわずかな眼刺激性であった(Guillot et al.,1982)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2001)。によると、

  • 眼に対しては軽度の刺激性をもつ

朝日硝子株式会社の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [ヒト試験] ヒトへの影響として眼を刺激し、眼に入ると発赤、痛みを生じる
  • [動物試験] 動物実験への影響として直接点眼した場合、軽度の刺激作用があるが、50%PG水溶液では眼刺激作用はなかった

昭和化学株式会社の安全データシート(文献4:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いた眼刺激性試験で陰性の結果に基づき眼刺激性なし(区分外)とした

と記載されています。

多くの試験結果で共通して軽度の眼刺激性があると結論づけられているため、軽度の眼刺激性があると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」(文献1:1994)によると、

  • [ヒト試験] 78人の患者に10%PGをパッチテストしたところ、3人にアレルギー反応がみられた(Cantanzaro and Smith,1991)
  • [ヒト試験] 330人の患者に10%PGをパッチテストしたところ、13人にアレルギー反応がみられた(Blondeel et al.,1978; Cantanzaro and Smith,1991)

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2001)。によると、

  • 多くの研究がPGは皮膚感作物質でないことを裏付けている

朝日硝子株式会社の安全データシート(文献3:2014)によると、

  • [ヒト試験] 男女104人のボランティア(19-79歳)の背中に50%PG水溶液0.2mLを3回/週の頻度で計9回パッチテスト(24時間/回)し、約2週間後に再塗布して反応を見たところ、1人は試験開始後早期に発赤がみられたため、4回で塗布を中止した。残りの対象者は少なくとも1回は軽微な発赤が生じ、再塗布後は4人が軽度の発赤、4人が軽度~中程度の発赤を生じた
  • 長期または反復して接触すると皮膚が感作されることがある

昭和化学株式会社の安全データシート(文献4:2016)によると、

  • [ヒト試験] ヒトのパッチテストで皮膚感作性なしの結果から皮膚感作性なし(区分外)とした

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感作性なしと結論づけていますが、まれに発赤が起こったり、アレルギー反応を示す事例もいくつかあるので、パッチテストしてから使用するなどの注意も必要なのですが、現時点ではアレルギーが起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
PG

参考までに化粧品毒性判定事典によると、PGは△(∗4)となっており、毒性に関してはほとんどないと考えられます。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

安全性についての捕捉

ネットで調査していると、PGは発がん性が懸念されているという記事を複数みかけましたが、”Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」の発がん性に関する試験では、いずれも発がん性がなかったと報告されています(文献1:1994)

ただし、皮膚刺激性の試験の中には、濃度が低いと細胞密度が減少し、増えると細胞増殖が観察されたり、経皮の水分蒸発量が増えるという結果がでたり、皮膚の刺激や感作以外にも懸念すべき点があると思われるので、とくにリーブオン製品では使用を控えるのが望ましいと思われます。

∗∗∗

PG(プロピレングリコール)はベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1994)「Final Report on the Safety Assessment of Propylene Glycol and Polypropylene Glycols」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819409141005> 2017年10月9日アクセス.
  2. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2001)「初期評価プロファイル プロピレングリコール」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月9日アクセス.
  3. 朝日硝子株式会社(2014)「安全データシート」, <http://www.agc-glass.com/chem-msds/pdf/U-0280_3.pdf> 2017年10月9日アクセス.
  4. 昭和化学株式会社(2016)「安全データシート」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/16533250.pdf> 2017年10月9日アクセス.

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