PEG類(ポリエチレングリコール)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
PEG類(ポリエチレングリコール)
[化粧品成分表示名称]
・PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PEG-45M、PEG-90M

[医薬部外品表示名称]
・ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1540、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール20000、

PEG-75やPEG-400など「PEG-数字」と書かれたものは酸化エチレンの重合体で、ポリエチレングリコール(略称PEG)と呼ばれるヒモ状に長い形をした水溶性の高分子化合物(合成ポリマー)です。

水によく溶ける性質をもっており、配合された製品の水分揮発を防ぎ、品質を保持する効果やとろみをつける効果があるので、スキンケア化粧品やヘアケア製品などに広く配合されています。

有名なものは、PEG-6、PEG-8、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400で、ヒモ状の形をしていると伝えましたが、数字が大きいほど長くなり、短いもの(数字が小さいもの)は液状で長くなる(数字が大きくなる)につれてペーストや固形になります。

PEG-12より数字の小さいタイプ(分子量が600以下のタイプ)は旧表示指定成分になり、分子量が大きいPEG-32以上のものは刺激が少なくなる(∗1)ので旧表示指定成分にはなっていません。

∗1 ただし、PEG-32に関してはPEG-6を含むタイプもあるので、一概に安心とは言えないので注意が必要です。

現在はPEG-75以上のものがほとんどで、乳化補助目的で使用されますが、医薬品では水溶性成分を入れるための軟膏基剤として日本薬局方に記載されていますが、化粧品では乳化の主流ではなくなってきており、減少傾向にあります。

あと、注意してほしいのは、「PEG-数字」と「PEG-数字●●」(例えばPEG-8ヒマシ油やPEG-7グリセリルなど)は全く別物なので混同しないようにしてください。

実際の配合製品数や配合量などは、海外の2008~2009年の調査結果ですが、以下のように報告があります。

PEG-6の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-8の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-32の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-75の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-150の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-400の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

基本的にはスキンケア化粧品に配合されているのがわかります。

スポンサーリンク

PEG類の安全性(刺激性・アレルギー)について

PEG類の現時点での安全性は、現在国内で主に使用されているPEG-75以上においては、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

海外製品に配合されているPEG-12以下のPEG類においては、ごくまれに皮膚刺激や皮膚感作性が起こる可能性があり、PEG-32については原料メーカーによってはPEG-6が含まれているもののあり、PEG-6が含まれている場合は皮膚刺激や皮膚感作の可能性がありますが、含まれていない場合は安全性が高いと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessmentof Polyethylene Glycols (PEGS)-6, -8,-32, -75, -150, -14M, -20M」(文献1:1993)によると、

  • [ヒト試験] 10人のボランティアの背中に3%PEG-8を含む製剤0.3mLを23時間にわたり閉塞パッチ下で適用し、部位を24時間で採点するという手順を3週間毎日実施したところ、PEG-8は軽度の累積皮膚刺激の可能性を示すエビデンスが観察された(Hill Top Research, Inc.,1979)
  • [ヒト試験] 84人の被検者に1%PEG-80.1mLを適用したところ、誘導期間において17人に少なくとも1回は軽度の紅斑を有し、1人の被検者は24時間チャレンジパッチでほとんど知覚できない紅斑を有していたが、48時間で反応は観察されなくなった(CTFA,1982a)
  • [ヒト試験] 84人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において25人の被検者に最小限~軽度の刺激が観察され、チャレンジ期間に1人の被検者に最小の紅斑が観察されたが、48時間で反応は観察されなくなった(CTFA,1982b)
  • [ヒト試験] 98人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において3人の被検者に最小限~軽度の刺激が観察されたが、チャレンジ期間では反応は誘発されなかった(CTFA,1982c)
  • [ヒト試験] 109人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において4人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察されたが、感作反応は観察されなかった(CTFA,1982d)
  • [ヒト試験] 1,556人の湿疹患者にPEG-8をチャンバー試験法を用いて20~24時間適用し、1,2および4日後に処置部位を観察したところ、陽性反応は5人(0.3%)に起こった(Hannuksela et al.,1975)
  • [ヒト試験] 100人の男性の背中にPEG-6-32および50%PEG-75水溶液を7日間適用し、10日後48時間にわたって再適用したところ、最初の7日間の適用の間に3つに刺激反応が両方の適用群で生じ、2日間の再適用の間にPEG-6-32は3回の感作反応を引き起こし、PEG-75は4回の反応を引き起こした。すべての反応は軽度であった(Smyth et al.,1942)
  • [ヒト試験] 23人の被検者の背中にPEG-6およびPEG-8を適用したところ、それぞれ2人および1人に紅斑が生じた(Smyth et al.,1945)
  • [ヒト試験] 200人(男性100人、女性100人)の被検者にPEG-8およびPEG-75を適用したところ、反応は起こらなかった(Smyth et al.,1950)
  • [ヒト試験] 92人の皮膚患者にPEG-6を適用したところ、4人(4%)が陽性反応を示した。また、12人の感作された患者のうち5人がPEG-8に反応し、1人がPEG-6-32およびPEG-150に反応したため、PEG類の感作反応は同様の分子量のポリマーのみで起こったと結論づけた(Braun,1969)
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した腹部に希釈されていないPEG-6およびPEG-8を4時間適用したところ、24時間で刺激は観察されなかった(Smyth et al.,1945)
  • [動物試験] ウサギに2つの異なるメーカーのPEG-8を閉塞パッチで試験したところ、刺激スコアは0.04および0だったため、PEG-8は皮膚刺激剤ではなかった。また6週間にわたってウサギを用いた皮膚研究を行っている間も刺激スコアは両方とも0.67で非刺激性であった(Guillot et al.,1982)
  • [動物試験] それぞれ10匹のモルモットの剃毛した腹部に4日間にわたってPEG-6-32を3gまたは50%PEG-75を6mL適用したところ、PEG類は皮膚を刺激しなかった(Smyth et al,1942)
  • [動物試験] ウサギの皮膚に希釈していないPEG-6-32を20g週5日にわたって繰り返し適用したところ、刺激はあるがワセリンよりも少ない刺激レベルであった
  • [動物試験] 6匹のウサギにPEG-32を0.5mL閉塞パッチ下で4時間適用し、7日間観察したところ、観察中に刺激は認められなかった(Bushy Run Research Center,1987)
  • [動物試験] 20匹のモルモット0.85%NaCl中の0.1%PEG-75を1日おきに週3回適用し、無処置期間を経て3週間後に0.05mLのチャレンジパッチ適用したところ、いずれも感作は示さなかった(Carpenter et al.,1971)

と記載されています。

ほとんどの試験結果がPEG-8のもので、PEG-75以上の試験結果が少ないですが、PEG-75以上のPEG類において、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

また、PEG-8以下のPEG類では、ごくまれにわずか~軽度の皮膚刺激が起こる可能性があり、PEG-32はPEG-6を含む構造の原料の場合は、わずか~軽度の皮膚刺激が起こる可能性があります。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessmentof Polyethylene Glycols (PEGS)-6, -8,-32, -75, -150, -14M, -20M」(文献1:1993)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの結膜嚢にPEG-32水溶液0.1mLを点眼したところ、すべての眼で軽度の結膜刺激が観察され、3匹のウサギで虹彩炎が観察されたが、刺激能兆候は48時間ですべて消失した(Bushy Run Research Center,1987)
  • [動物試験] 希釈していない0.5mLのPEG-6,PEG-8,PEG-32,およびPEG-75はウサギの眼に角膜損傷を引き起こさなかった(Carpenter and Smyth,1946)
  • [動物試験] 4匹のウサギの結膜嚢に35%PEG-8溶液の0.1mLを適用し、2,4,7,26および50時間に観察したところ、PEG-8は眼への刺激をほとんど引き起こさなかった(Laillier et al.,1975)
  • [動物試験] ウサギに2つの異なるメーカーのPEG-8を点眼し、1および24時間後、および2,3,4,および7日後に評価したところ、刺激スコアは8.50および9.83であり、角膜の不透明度は観察されなかった。PEG-8は眼刺激剤ではなかった(Guillot et al.,1982)

と記載されています。

動物試験ですが、試験結果によると、共通して眼刺激性がほとんどないと結論づけられているため、PEG類は共通して眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

試験結果はみあたらないものの、PEG-75以上については、医薬品にも使用されており、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、PEG-75以上においてアレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
PEG-6
PEG-8
PEG-32
PEG-75
PEG-150
PEG-400

参考までに化粧品毒性判定事典によると、PEG類はすべて■(∗3)となっており、軽度の毒性・刺激があるという判定になっていますが、PEG-8以下は旧表示指定成分なので毒性ありと判定するのもわかりますが、PEG-75以上は医薬品にも使用されていますし、毒性はほとんどないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

PEG類はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1993)「Final Report on the Safety Assessmentof Polyethylene Glycols (PEGS)-6, -8,-32, -75, -150, -14M, -20M」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915819309141598> 2017年10月20日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ