PEG類(ポリエチレングリコール)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 分散 保湿成分 増粘
PEG類(ポリエチレングリコール)
化粧品成分表示名称 医薬部外品表示名称
PEG-4 ポリエチレングリコール200
PEG-6 ポリエチレングリコール300
PEG-8 ポリエチレングリコール400
PEG-12 ポリエチレングリコール600
PEG-20 ポリエチレングリコール1000
PEG-6,PEG-32 ポリエチレングリコール1500
PEG-32 ポリエチレングリコール1540
PEG-40 ポリエチレングリコール2000
PEG-75 ポリエチレングリコール4000
PEG-150 ポリエチレングリコール6000
PEG-240 ポリエチレングリコール11000
PEG-400 ポリエチレングリコール20000
PEG-45M  
PEG-90M  

酸化エチレン(エチレンオキサイド:ethylene oxide:EO)を付加重合して得られる多価アルコール・水溶性高分子です。

医薬部外品表示名称の数値がそのまま平均分子量となり、数値の違いによる性質は、以下の表にように、

項目 PEG(ポリエチレングリコール)
300 400 600 1,000 1,500 1,540 2,000 4,000 6,000 20,000
外観 透明
液体
透明
液体
透明
液体
ロウ状
固体
ワセリン様 ロウ状
固体
ロウ状
固体
フレーク フレーク フレーク
平均
分子量
285-
315
380-
420
570-
630
950-
1,050
500-
600
1,300-
1,600
1,800-
2,200
2,700-
3,400
7,400-
9,000
18,000-
25,000
粘度
(mm²/s)
5.0-
6.2
6.0-
8.0
10-
12
17-
20
13-
18
25-
32
36-
46
75-
85
700-
900
11,500-
15,000
吸湿性 吸湿性(高) ←——   ——→ 吸湿性(低)4,000以上はほとんどなし

外観では、数値が600以下では液体、1,000以上では固体となり、数値が高いほど粘度が上がります(文献3:2016;文献4:-)

水によく溶ける性質をもっており、水分蒸散を防ぎ、品質を保持する効果やとろみをつける効果などを目的に化粧品に配合されます。

また「PEG-数値」と「PEG-数値●●」(例えばPEG-8ヒマシ油やPEG-7グリセリルなど)は全く別物なので混同しないようにしてください。

化粧品に配合される場合は、

  • 水に不溶の物質を分散させる乳化補助剤・分散剤
  • 増粘剤
  • 吸湿性による保湿作用

これらの目的で、スキンケア化粧品、洗浄製品、ボディ ハンドケア製品、ヘアケア製品などに使用されます(文献2:2016)

PEG-12(ポリエチレングリコール600)以下は吸湿性が高く、保湿性がありますが、同時に低分子であることから皮膚刺激性も懸念されるため、近年はほとんど使用されておらず、多くの場合はPEG-75(ポリエチレングリコール4000)以上の乳化補助・分散および増粘を目的とした使用であるため、保湿性という点では実際にはほとんどないともいえます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2008-2009年および2014年の調査結果ですが、以下のように報告されています。

PEG-6の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-8の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-32の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-75の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-150の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

PEG-400の配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年)

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PEG類の安全性(刺激性・アレルギー)について

PEG類の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、PEG-12以下に関しては、分子量が低く刺激性の報告が少なくないため、注意が必要であり、またポリエチレングリコール1500は、PEG-6を含むことで皮膚刺激が起こる可能性があるため、同様に注意が必要です(配合製品数は減少傾向にあります)。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1993)によると、

  • [ヒト試験] 10人のボランティアの背中に3%PEG-8を含む製剤0.3mLを23時間にわたり閉塞パッチ下で適用し、部位を24時間で採点するという手順を3週間毎日実施したところ、PEG-8は軽度の累積皮膚刺激の可能性を示した(Hill Top Research, Inc.,1979)
  • [ヒト試験] 84人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において17人に少なくとも1回は軽度の紅斑を有し、1人の被検者は24時間チャレンジパッチでほとんど知覚できない紅斑を有していたが、48時間で反応は観察されなくなった(CTFA,1982a)
  • [ヒト試験] 84人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において25人の被検者に最小限~軽度の刺激が観察され、チャレンジ期間に1人の被検者に最小の紅斑が観察されたが、48時間で反応は観察されなくなった(CTFA,1982b)
  • [ヒト試験] 98人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において3人の被検者に最小限~軽度の刺激が観察されたが、チャレンジ期間では反応は誘発されなかった(CTFA,1982c)
  • [ヒト試験] 109人の被検者に1%PEG-8を0.1mL適用したところ、誘導期間において4人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が観察されたが、感作反応は観察されなかった(CTFA,1982d)
  • [ヒト試験] 1,556人の湿疹患者にPEG-8をチャンバー試験法を用いて20~24時間適用し、1,2および4日後に処置部位を観察したところ、陽性反応は5人(0.3%)に起こった(Hannuksela et al.,1975)
  • [ヒト試験] 100人の男性の背中にPEG-6-32および50%PEG-75水溶液を7日間適用し、10日後48時間にわたって再適用したところ、最初の7日間の適用の間に3つに刺激反応が両方の適用群で生じ、2日間の再適用の間にPEG-6-32は3回の感作反応を引き起こし、PEG-75は4回の反応を引き起こした。すべての反応は軽度であった(Smyth et al.,1942)
  • [ヒト試験] 23人の被検者の背中にPEG-6およびPEG-8を適用したところ、それぞれ2人および1人に紅斑が生じた(Smyth et al.,1945)
  • [ヒト試験] 200人(男性100人、女性100人)の被検者にPEG-8およびPEG-75を適用したところ、反応は起こらなかった(Smyth et al.,1950)
  • [ヒト試験] 92人の皮膚患者にPEG-6を適用したところ、4人(4%)が陽性反応を示した。また、12人の感作された患者のうち5人がPEG-8に反応し、1人がPEG-6-32およびPEG-150に反応したため、PEG類の感作反応は同様の分子量のポリマーのみで起こったと結論づけた(Braun,1969)
  • [動物試験] 6匹のウサギの剃毛した腹部に希釈されていないPEG-6およびPEG-8を4時間適用したところ、24時間で刺激は観察されなかった(Smyth et al.,1945)
  • [動物試験] ウサギに2つの異なるメーカーのPEG-8を閉塞パッチで試験したところ、刺激スコアは0.04および0だったため、PEG-8は皮膚刺激剤ではなかった。また6週間にわたってウサギを用いた皮膚研究を行っている間も刺激スコアは両方とも0.67で非刺激性であった(Guillot et al.,1982)
  • [動物試験] それぞれ10匹のモルモットの剃毛した腹部に4日間にわたってPEG-6-32を3gまたは50%PEG-75を6mL適用したところ、PEG類は皮膚を刺激しなかった(Smyth et al,1942)
  • [動物試験] ウサギの皮膚に希釈していないPEG-6-32を20g週5日にわたって繰り返し適用したところ、刺激はあるがワセリンよりも少ない刺激レベルであった
  • [動物試験] 6匹のウサギにPEG-32を0.5mL閉塞パッチ下で4時間適用し、7日間観察したところ、観察中に刺激は認められなかった(Bushy Run Research Center,1987)
  • [動物試験] 20匹のモルモット0.85%NaCl中の0.1%PEG-75を1日おきに週3回適用し、無処置期間を経て3週間後に0.05mLのチャレンジパッチ適用したところ、いずれも感作は示さなかった(Carpenter et al.,1971)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、低分子であることからPEG-8のものが多く、PEG-8以下のPEG類では、ごくまれにわずか-軽度の皮膚刺激が起こる可能性があり、またPEG-32はPEG-6を含む構造であるため、同様にわずか-軽度の皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます。

一方で、PEG-75以上のPEG類の試験の結果が少ないですが、これらは分子量が非常に大きく、また皮膚刺激性の報告もないため、PEG-75以上のPEG類において、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1993)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの結膜嚢にPEG-32水溶液0.1mLを点眼したところ、すべての眼で軽度の結膜刺激が観察され、3匹のウサギで虹彩炎が観察されたが、刺激能兆候は48時間ですべて消失した(Bushy Run Research Center,1987)
  • [動物試験] 希釈していない0.5mLのPEG-6,PEG-8,PEG-32,およびPEG-75はウサギの眼に角膜損傷を引き起こさなかった(Carpenter and Smyth,1946)
  • [動物試験] 4匹のウサギの結膜嚢に35%PEG-8溶液の0.1mLを適用し、2,4,7,26および50時間に観察したところ、PEG-8は眼への刺激をほとんど引き起こさなかった(Laillier et al.,1975)
  • [動物試験] ウサギに2つの異なるメーカーのPEG-8を点眼し、1および24時間後、および2,3,4,および7日後に評価したところ、刺激スコアは8.50および9.83であり、角膜の不透明度は観察されなかった。PEG-8は眼刺激剤ではなかった(Guillot et al.,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性がほぼなしと報告されているため、PEG類は共通して眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、10年以上の使用実績があり、PEG-75以上に関しては、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

PEG類はベース成分、保湿成分、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分 安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1993)「Final Report on the Safety Assessmentof Polyethylene Glycols (PEGS)-6, -8,-32, -75, -150, -14M, -20M」International Journal of Toxicology(12)(5),429-457.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「多価アルコール」パーソナルケアハンドブック,96.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「肌荒れ防止剤」パーソナルケアハンドブック,509.
  4. 第一工業製薬株式会社(-)技術資料.

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