メタクリル酸メチルクロスポリマーとは…成分効果と毒性を解説

感触改良 充填
メタクリル酸メチルクロスポリマー
[化粧品成分表示名称]
・メタクリル酸メチルクロスポリマー

[医薬部外品表示名称]
・ポリアクリル酸アルキル

[慣用名]
・架橋PMMA

アクリル樹脂の一種であるポリメタクリル酸メチルをジメタクリル酸エチレングリコールで架橋(∗1)した共重合体(∗2)の微粒子です。

∗1 架橋とは、主に高分子において分子間に橋を架けたような結合をつくることで物理的、化学的性質を変化させる反応のことです。

∗2 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指し、2種類以上の単量体(モノマー:monomer)がつながってできているものを共重合体(copolymer:コポリマー)と呼びます。また共重合体を微粒子化したものをクロスポリマーと呼びます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品に汎用されています。

感触改良

感触改良に関しては、ポリメタクリル酸メチルと同様に微小球状で表面が平滑であることから、滑り性および展延性に優れており(文献2:-)、またエタノールなどの有機溶媒に対して安定しているため、リキッドおよびパウダーファンデーション、ジェルアイライナー、チーク、アイペンシル、パウダーアイシャドー、口紅、化粧下地、コンシーラーなどに汎用されています。

充填

充填に関しては、まず前提知識として充填について解説します。

充填(じゅうてん)とは、本来的には中身を詰める、隙間を埋めるという意味で用いられますが、充填剤として用いる場合は、製品の機能や効果に変化を与えることなく容量を増すために添加される物質のことをいいます。

ポリメタクリル酸メチルと同様に充填剤としてプレストパウダーに混合することで粒子の接触点が増加することから引っ張り破断に強くなり(文献3:2001)、その結果として製品の割れを防ぐことから(文献2:-)、プレストパウダー製品に使用されています。

表面処理粉体としてのメタクリル酸メチルクロスポリマー

メタクリル酸メチルクロスポリマーは、他の成分で表面処理することで、単独粉体としての欠点を補い、また表面処理による新たな機能を付与した表面処理粉体として配合されることが多く、メタクリル酸メチルクロスポリマーと以下の成分が併用されている場合は、表面処理粉体として配合されている可能性が考えられます。

原料名 Silcrusta MK03
構成成分 ポリメチルシルセスキオキサンメタクリル酸メチルクロスポリマー
特徴・主な用途 メタクリル酸メチルクロスポリマーをシリコーンで金平糖状(ラズベリー状)に表面処理し、接触面積が小さくなることで滑り性を向上させた、金平糖状シリコーン粉末
原料名 プルセア OPZ-50
構成成分 メタクリル酸メチルクロスポリマー酸化亜鉛ジメチコン
特徴・主な用途 メタクリル酸メチルクロスポリマーの表面にジメチコン処理微粒子酸化亜鉛をコーティングし、紫外線防御機能やシワボカシ効果を付与した、撥水性を有した機能性粉体
原料名 プルセア OPZ-50-J
構成成分 メタクリル酸メチルクロスポリマー酸化チタンジメチコン水酸化Al
特徴・主な用途 メタクリル酸メチルクロスポリマーの表面にジメチコン処理微粒子酸化チタンをコーティングし、紫外線防御機能やシワボカシ効果を付与した、撥水性を有した機能性粉体

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2008-2009年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

メタクリル酸メチルクロスポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年および2018年)

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メタクリル酸メチルクロスポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

メタクリル酸メチルクロスポリマーの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 106人の被検者に2%メタクリル酸メチルクロスポリマーを含むマスカラ0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験を通じていずれの被検者においても皮膚反応は誘発されなかった(Consumer Product Testing Co,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養角膜モデル(EpiOcular)を用いて、モデル角膜表面に2%メタクリル酸メチルクロスポリマーを含むマスカラを20分、1時間および4時間暴露したところ、眼刺激性スコアは0であり、この試験物質は非刺激性に分類された(Consumer Product Testing Co,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

メタクリル酸メチルクロスポリマーはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2011)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Safety Assessment of Polymethyl Methacrylate (PMMA), Methyl Methacrylate Crosspolymer, and Methyl Methacrylate/Glycol Dimethacrylate Crosspolymer」International Journal of Toxicology(30)(3_suppl),54S-65S.
  2. 松本油脂製薬株式会社(-)「マツモトマイクロスフェアーMシリーズ」技術資料.
  3. 堀田 肇(2001)「粉体特性からみたベースメイクアップ化粧品の使用性と機能」日本化粧品技術者会誌(35)(2),99-106.

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