(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとは…成分効果と毒性を解説

感触改良 ソフトフォーカス
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
[化粧品成分表示名称]
・(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー

[医薬部外品表示名称]
・架橋型メチルポリシロキサン、架橋型シリコーン末(2)

化学構造的にシリコーンの一種であるジメチコンをビニルジメチルポリシロキサンで架橋(∗1)したクロスポリマー(∗2)であり、シリコーンエラストマー(∗3)です。

∗1 架橋とは、主に高分子において分子間に橋を架けたような結合をつくることで、物理的、化学的性質を変化させる反応のことです。(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーは、並列に並んだジメチコンにビニルジメチコン(ビニルジメチルポリシロキサン)で橋を架けたような構造をしています。

∗2 ポリマー(polymer)は、重合体とも呼ばれ、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(一般的に高分子化合物)のことを指します。クロスポリマーとは、ポリマーを微粒子化したものであり、シリコーン樹脂の粉末です。

∗3 エラストマー(elastomer)とは、英語の「elastic(弾性がある、伸縮性がある)」と「polymer(重合体)」を組み合わせた造語で、弾性のある高分子の総称であり、シリコーンエラストマーとは、シリコーンポリマーを三次元網目状につないだ架橋ポリマーを指します。シリコーン油などの直鎖状シリコーンポリマーが滑り性やツヤなどの効果を発揮するのに対し、シリコーンエラストマーは弾力感やマットな外観、皮脂の吸収など通常のシリコーンポリマーとは異なる特性を発揮します。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品、ボディケア化粧品などに汎用されています。

感触改良

感触改良に関しては、シリコーンは化学的、生理的に不活性で皮膚への刺激がなく、球状シリコーン粉体は弾力性のある柔らかい感触を有し、滑り性に優れ滑らかな感触とサラサラ感を付与することから(文献2:2016;文献3:2006;文献7:2012)、感触改良目的でアイシャドー、アイブロー、ファンデーション、チーク、リップスティックなどに汎用されています。

また、撥水性(∗4)・耐水性が高いことから、汗・水による化粧崩れを防ぐ目的でも使用されています(文献3:2006)

∗4 撥水性とは水をはじく性質のことです。

光散乱によるソフトフォーカス効果

光散乱によるソフトフォーカス効果に関しては、まず前提知識として毛穴や小じわと光の関係およびソフトフォーカス効果について解説します。

肌の表面は皮表と呼ばれ、以下の図のように、

皮表の構造

凸部の皮丘と凹部の皮溝で構成された肌理(キメ)構造によって形成されています。

皮丘には多くの光が当たることで明るく、皮溝、小ジワ、毛穴などくぼんだ部分には光が当たりにくく影になり、その明度差がくぼみ部分を目立たせる結果となります(文献4:2005)

このような背景からくぼみ部分を目立ちにくくさせるには、

  1. 皮膚表面の凹凸間の輪郭をぼかすこと
  2. 皮膚表面の凹凸間の明度差を減少させること

この2点が重要であるというソフトフォーカス理論が報告されています(文献5:1987)

次に、ソフトフォーカス効果とは、ソフトフォーカス理論に基づき、以下の図のように、

ソフトフォーカス効果の仕組み

粉体からの反射光を多方向へ散乱させることで、その粉体の下にあるものを見えにくくする効果のことであり、デフォーカス効果とも呼ばれます。

光を散乱する代表的な粉体としては、紫外線散乱剤として汎用されている酸化チタン酸化亜鉛などが挙げられますが、ソフトフォーカス効果はこれらのような隠蔽力の強い正反射粉体では得られず、拡散反射型粉体を用いることによって得られる機能・効果であることが知られています(文献6:2003)

架橋型シリコーンのエラストマー粒子である(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーは、シリコーンゲル中で光を拡散反射させ、肌表面のキメや毛穴などの凹凸をぼかすソフトフォーカス効果を有していることから(文献3:2006;文献8:2015)、顔面の毛穴を隠蔽してなめらかで均質な肌感を演出する目的でコンシーラー、ファンデーション、チークなどに汎用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの安全性(刺激性・アレルギー)について

(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1990年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚に~24%(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを含む製品を閉塞適用したところ、この試験物質は軽度の刺激剤であると結論づけられた(Shin-Etsu,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、軽度の皮膚刺激が報告されているため、皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 107人の被検者に1%(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを含むフェイシャルローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚感作反応を示さなかった(Clinical Research Services,2006)
  • [動物試験] 5匹のモルモットを用いて~24%(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーを含む製品の皮膚感作性試験を実施したところ、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(Shin-Etsu,2012)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Dimethicone Crosspolymers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(2_Suppl),65S-115S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「合成高分子粉体」パーソナルケアハンドブックⅠ,294-296.
  3. 栗林 さつき(2006)「シリコーンゲルの化粧品への応用」高分子(55)(10),825.
  4. 栗林 さつき(2005)「毛穴対策用メイクアップ化粧料」Fragrance Journal(33)(9),33-38.
  5. 中村 直生, 他(1987)「粉体の光学的研究とシワ隠し効果」日本化粧品技術者会誌(21)(2),119-126.
  6. 毛利 邦彦(2003)「ファンデーションの有用性と製品化技術」日本化粧品技術者会誌(37)(3),171-178.
  7. 鈴木 一成(2012)「架橋型メチルポリシロキサン」化粧品成分用語事典2012,524-525.
  8. 宇山 侊男, 他(2015)「(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー」化粧品成分ガイド 第6版,173.

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