トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル
[化粧品成分表示名称]
・トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル

[医薬部外品表示名称]
・トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル

化学構造的に多価アルコールの一種であるグリセリンに飽和脂肪酸の一種であるカプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸のうち3つを結合した(∗1)、グリセリン脂肪酸エステルです。

「トリ」とはギリシャ語で「3」を意味し、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルとは、飽和脂肪酸であるカプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸のうちから3つがグリセリンと結合した構造の化合物であることを意味しています。

この構造は、以下のように、

油脂の化学構造

天然に存在する油脂の化学構造と同じグリセリドであることから合成油脂という見方もできますが、油脂に結合する脂肪酸は主に高級脂肪酸であるのに対して、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルに結合する脂肪酸は中級脂肪酸-高級脂肪酸の飽和脂肪酸であることから、油脂よりも軽い感触であり、酸化安定性に優れています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、ヘアケア製品、日焼け止め製品、シート&マスク製品などあらゆる製品に汎用されています。

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、中級脂肪酸-高級脂肪酸の飽和脂肪酸のトリグリセリドであり、酸化安定性が高く、また融点が38℃あたりであることから、肌上で溶けび展延性(∗1)および滑らかを発揮するエモリエント剤として、口紅やファンデーションなどのメイクアップ化粧品、乳化系スキンケア化粧品などに使用されています(文献2:2015)

∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルの配合製品数と配合量の調査(2017年)

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トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルの安全性(刺激性・アレルギー)について

トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

CREMERの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚にトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(濃度不明)を対象に皮膚刺激性試験を実施し、OECD404テストガイドラインに基づいて皮膚刺激性を評価したところ、非刺激性に分類された
  • [動物試験] モルモットの皮膚にトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(濃度不明)を対象に皮膚感作性試験を実施し、OECD406テストガイドラインに基づいて皮膚感作性を評価したところ、陰性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

CREMERの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼にトリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル(濃度不明)を点眼し、OECD405テストガイドラインに基づいて眼刺激性を評価したところ、わずかな眼刺激性に分類された

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激性が報告されているため、わずかな眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. CREMER(2013)「SOFTISAN 378」Safety Data Sheet.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル」化粧品成分ガイド 第6版,71.

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