脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズとは…成分効果と毒性を解説





・脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズ
炭素数10-30の脂肪酸とコレステロールおよびラノステロールの混合物から得られるエステルです。
名称からはわかりにくいですが、ラノリンを精製しラノリンアルコールおよび遊離アルコールを除去した吸着精製ラノリンとほぼ同じ物質であり、化粧品における効果も同様です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、スティック状メイクアップ製品などに使用されています。
エモリエント作用
エモリエント作用に関しては、吸着精製ラノリンと同様の適度な抱水性を有しており、主にスティック状基剤に使用されています。
感触改良
感触改良に関しては、吸着精製ラノリンと同様にベタつきのなさおよび肌への密着性に優れており、チキソトロピー性(∗1)に富み、また皮膚上での伸びも良く、しっとり感を付与するため、メイクアップ製品に配合されます。
∗1 チキソトロピー性とは、混ぜたり振ったり、力を加えることで粘度が下がり、また時間の経過とともに元の粘度に戻る現象をいいます。よく例に出されるのはペンキで、ペンキは塗る前によくかき混ぜることで粘度が下がり、はけなどで塗りやすくなります。そしてペンキは塗られた直後に粘度が上がり(元に戻り)、垂れずに乾燥します。
顔料分散
顔料分散に関しては、吸着精製ラノリンと同様に顔料の分散性に優れているため、主にスティック状基剤に使用されています。
光沢付与
光沢付与に関しては、吸着精製ラノリンと同様に適度なツヤ・光沢を有しており、主にスティック状基剤に使用されています。
脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
開発元であるCrodaの安全性データ(文献1:2014)によると、
- [ヒト試験] ヒト被検者に対する脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズのパッチテストにおいて皮膚刺激性および皮膚感作性は示さなかった
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
開発元であるCrodaの安全性データ(文献1:2014)によると、
- [動物試験] ウサギを用いた脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズの眼刺激性試験の結果、わずかな眼刺激性が示された
と記載されています。
試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激性が報告されているため、わずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。
∗∗∗
脂肪酸(C10-30)(コレステロール/ラノステロール)エステルズはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。
それぞれの成分一覧は以下からお読みください。
∗∗∗
文献一覧:
- Croda International plc(2014)「SUPER STEROL ESTER」Safety Data Sheet.
スポンサーリンク