アストロカリウムムルムル種子脂とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
アストロカリウムムルムル種子脂
[化粧品成分表示名称]
・アストロカリウムムルムル種子脂

[慣用名]
・ムルムルバター

ヤシ科植物ムルムル(学名:Astrocaryum Murumuru = Astrocaryum yauaperyense)の種子から得られる植物油脂です。

ムルムルは、ブラジルを原産とし、南米アマゾンの熱帯雨林に自生しています。

ムルムルの果実は栄養価が高く地元の重要な食料源であり、またムルムルの種子油であるムルムルバターは長年食用油として用いられており、この地域にとって商業的にも非常に重要です。

アストロカリウムムルムル種子脂の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 12.56
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 2.87
カプリル酸 飽和脂肪酸 C8:0 1.85
カプリン酸 飽和脂肪酸 C10:0 1.85
ラウリン酸 飽和脂肪酸 C12:0 47.46
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 26
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 6.28
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 2.65

このような種類と比率で構成されています(文献1:2017)

ラウリン酸を約45%含むのが特徴で、飽和脂肪酸で80%以上を占め、不飽和脂肪酸は二重結合が1つのオレイン酸が約10%であるため、総合的に酸化安定性はかなり高いと考えられます。

またヨウ素価および融点(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 ヨウ素価による分類 融点
6-16 不乾性油 32-36

一例としてこのように記載されていますが(文献2:1990)、ヨウ素価は100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどなく、また融点が32-36℃と体温より若干低いため、常温では半固体を保ちますが体温でシャープに溶解する特性を有しています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンド&フットケア製品、リップ製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、日焼け止め製品などに使用されます(文献1:2017;文献3:2005)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、融点が32-36℃であることから肌の表面温度で容易に溶解し、ツヤ・光沢を付与し、滑らかな延び、きめ細かさ、肌への良好な密着性を有したエモリエント剤であり、とくにクリーム、口紅、リップグロス、リキッドファンデーションへの使用に適しています(文献3:2005)

さらに皮膚や毛髪における水和改善があり、ヘアクリームとして使用することにより、毛髪を柔軟にし、まとまりを改善すると報告されています(文献3:2005)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

アストロカリウムムルムル種子脂の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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アストロカリウムムルムル種子脂の安全性(刺激性・アレルギー)について

アストロカリウムムルムル種子脂の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:4%濃度以下においてほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 97人の被検者に1%アストロカリウムムルムル種子脂を含むリップ製剤150mgを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Product Investigations Inc,2002)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に4%アストロカリウムムルムル種子脂を含むリップ製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Clinical Research Laboratories,2008)
  • [ヒト試験] 106人の被検者に4%アストロカリウムムルムル種子脂を含むリップ製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Clinical Research Laboratories,2008)

と記載されています。

ラウリン酸の含有量が多いため皮膚刺激が懸念されますが、試験データをみるかぎり、4%濃度以下では共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に4%濃度以下において皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

アストロカリウムムルムル種子脂はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油脂化学便覧 改訂3版,99-101.
  3. 香栄興業株式会社(2005)「精製ムルムルバター」Fragrance Journal(33)(2),116-117.

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