ジメチコンの基本情報・配合目的・安全性

ジメチコン

化粧品表示名 ジメチコン
医薬部外品表示名 メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン(1)
部外品表示簡略名 ジメチコン、高重合ジメチコン-1
INCI名 Dimethicone
配合目的 基剤ヘアコンディショニング溶剤表面改質 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表されるジメチルポリシロキサンの末端をトリメチルシロキシ基(−OSi(CH3)3で封鎖した直鎖シロキサン重合体(∗1)(∗2)ストレートシリコーン油です[1]

∗1 シロキサン(siloxane)とは、ケイ素(元素記号:Si)と酸素(元素記号:O)を骨格とする化合物で、Si-O-Si結合(シロキサン結合)を持つものの総称です。

∗2 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が繰り返し結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)のことを指します。

ジメチコン

医薬部外品表示名については、それぞれ、

医薬部外品表示名 本質
メチルポリシロキサン 主として直鎖状のジメチルポリシロキサンからなり、その平均重合度は3-650である
高重合メチルポリシロキサン(1) シロキサン結合を骨格とした直鎖状の重合物で、その平均重合度は650以上である

このように重合度によって分けられていますが、化粧品表示名としては重合度にかかわらず、いずれも「ジメチコン」と表示されます。

1.2. 物性・性状

ジメチコンの物性・性状は(∗3)

∗3 屈折とは光の速度が変化して進行方向が変わる現象のことで、屈折率は「空気中の光の伝播速度/物質中の光の伝播速度」で表されます。光の伝播速度は物質により異なり、また同一の物質でも波長により異なるため屈折率も異なりますが、化粧品において重要なのは空気の屈折率を1とした場合の屈折率差が高い界面ほど反射率が大きいということであり、平滑性をもつ表面であれば光沢が高く、ツヤがでます(屈折率の例としては1.33、エタノールは1.36、パラフィンは1.48)。

項目 メチルポリシロキサン 高重合メチルポリシロキサン(1)
状態 液体 粘稠な液体または固体
平均重合度 3-650 650以上
粘度 低 – 高
屈折率
(n 25/D)
1.382-1.410

このように報告されています[2a][3]

1.3. 化粧品以外の主な用途

ジメチコンの化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 消泡作用があることから胃腸管内ガスに起因する腹部症状の改善目的の消化管ガス駆除薬として用いられるほか[4]、安定・安定化、基剤、光沢化、消泡、粘着、溶剤目的の医薬品添加剤として外用剤などに用いられています[5]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 油性基剤
  • なめらかさおよびツヤ向上によるヘアコンディショニング作用
  • 溶剤
  • 紫外線散乱剤の表面改質

主にこれらの目的で、メイクアップ製品、スキンケア製品、日焼け止め製品、化粧下地製品、コンシーラー製品、リップケア製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、ボディ&ハンドケア製品、ネイル製品など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 油性基剤

油性基剤に関しては、ジメチコンのうち低粘度(1-6mm2/s)のものは軽くなめらかな感触をもち、通気性がよく、展延性(∗4)に優れることから、油性基剤として汎用されています[2b][6a][7a]

∗4 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

粘度が(1-2mm2/s)のものは揮発性であり、皮膚塗布後はジメチコン自体は揮散するため、有効成分だけを皮膚や毛髪上に残すことができ、一方で粘度(5-6mm2/s)のものは不揮発性であり、撥水性(∗5)やツヤを付与することから、主にクリーム系製品、メイクアップ製品、日焼け止め製品などに汎用されています[6b][7b]

∗5 撥水(はっすい)とは、水をはじく性質のことです。

2.2. なめらかさおよびツヤ向上によるヘアコンディショニング作用

なめらかさおよびツヤ向上によるヘアコンディショニング作用に関しては、まず前提知識として毛髪の構造と毛髪ダメージとその原因について解説します。

毛髪の構造については、以下の毛髪構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

毛髪の構造

キューティクル(毛小皮)とよばれる5-10層で重なり合った平らかつうろこ状の構造からなる厚い保護外膜が表面を覆い、キューティクル内部は紡錘状細胞から成り繊維体質の大部分を占めるコルテックス(毛皮質)およびメデュラ(毛髄質)とよばれる多孔質部分で構成されています[8a]

また、細胞膜複合体(CMC:Cell Membrane Complex)がこの3つの構造を接着・結合しており、毛髪内部の水分保持や成分の浸透・拡散の主要通路としての役割を担っています[8b]

これら毛髪構造の中でキューティクルは、摩擦、引っ張り、曲げ、紫外線への曝露などの影響による物理的かつ化学的劣化に耐性をもち、その配列が見た目の美しさや感触特性となります[9a]

一方で、キューティクルはシャンプーや毎日の手入れなどの物理的要因、あるいはヘアアイロン、染毛・脱色、パーマなど化学的要因によるダメージに対して優れた耐性を有しているものの、以下の図をみてもらうとわかるように、

毛髪状態の違い

これらのダメージが重なり合い繰り返されるうちに劣化していき、最終的にキューティクルのめくれ上がりや毛髪繊維の弱化につながることが知られています[9b][10]

このような背景から、損傷したキューティクルを平らに寝かせてなめらかにすることやツヤを向上させることは、毛髪の外観や感触の改善において重要なアプローチのひとつであると考えられています。

ジメチコンのうち高粘度の高重合メチルポリシロキサンは、毛髪表面に被覆されることで、ツヤ・光沢、櫛通り性、なめらかさを付与することから[6c][9c]、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品などヘアケア製品に汎用されています。

2.3. 溶剤

溶剤に関しては、ジメチコンは他のシリコーンを溶かし込む溶剤として使用されています。

2.4. 紫外線散乱剤の表面改質

紫外線散乱剤の表面改質に関しては、まず代表的な紫外線散乱剤である酸化チタンや酸化亜鉛の性質について解説します。

代表的な無機酸化物かつ紫外線散乱剤である酸化チタン酸化亜鉛は、紫外線を吸収すると電子が励起(∗6)され、酸化チタンや酸化亜鉛の表面で大気中の水や酸素と反応してラジカルを生成し、周囲の油を酸化分解する光触媒活性をもつことが知られています[11]

∗6 励起(れいき)とは、原子や分子に外部からエネルギーを与えることによってエネルギーの低い状態からエネルギーの高い状態に遷移させることをいいます。

このような背景から、酸化チタンや酸化亜鉛の表面を被覆することによる光触媒活性の抑制や粒子分散性の向上目的で日焼け止め製品、化粧下地製品、メイクアップ製品などに使用されています。

3. 混合原料としての配合目的

ジメチコンは、混合原料が開発されており、ジメチコンと以下の成分が併用されている場合は、混合原料として配合されている可能性が考えられます。

原料名 NIKKOL SILBLEND-91
構成成分 シクロメチコンジメチコン(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
特徴 すべり感・さらさら感を著しく改善する感触改良剤
原料名 NIKKOL NET-813-1
構成成分 ラウリン酸ポリグリセリル-10グリセリンジメチコン
特徴 高重合シリコーン、ジメチルシリコーンを主成分とする乳化物かつヘアコンディショニング剤
原料名 NIKKOL NET-814-1
構成成分 ラウリン酸ポリグリセリル-10グリセリンジメチコン水添ポリイソブテン
特徴 高重合シリコーン、軽質流動パラフィンを主成分とする乳化物かつヘアコンディショニング剤
原料名 NIKKOL NET-SG-60A
構成成分 トリデセス-4カルボン酸Na、グリセリンジメチコンシクロメチコン
特徴 高重合シリコーン、環状シリコーンを主成分とする乳化物かつヘアコンディショニング剤
原料名 NIKKOL NET-SG-60C
構成成分 ステアルトリモニウムクロリドPGグリセリンジメチコンシクロメチコン
特徴 高重合シリコーン、環状シリコーンを主成分とする乳化物かつヘアコンディショニング剤
原料名 NIKKOL ニコムルス WO-CF
構成成分 ジメチコンPEG-10ジメチコンジステアルジモニウムヘクトライト
特徴 有機変性粘土鉱物とシリコーン系乳化剤からなるW/O複合乳化剤
原料名 NIKKOL ニコムルス WO-CF PLUS
構成成分 ジメチコンPEG-10ジメチコンジステアルジモニウムヘクトライトラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
特徴 有機変性粘土鉱物とシリコーン系乳化剤からなるW/O複合乳化剤
原料名 PARSOL TX
構成成分 酸化チタンシリカジメチコン
特徴 シリカ処理酸化チタン
原料名 MBBT タルク DM
構成成分 タルクメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール水酸化Alジメチコン
特徴 メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールをタルク表面に被覆した後、ジメチコンにて表面処理した粉体

4. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998-1999年および2019-2022年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗7)

∗7 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ジメチコンの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年および2019-2022年)

5. 安全性評価

ジメチコンの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性(光刺激性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし
  • 皮膚吸収性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

5.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[12a][13]によると、

  • [ヒト試験] 54名の被検者に24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)
  • [ヒト試験] 103名の被検者に5%ジメチコン溶液0.3mLを対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を実施したところ、試験期間中においていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さず、この試験物質は皮膚刺激剤でも皮膚感作剤でもないと結論づけられた(Hill Top Research,1984)
  • [ヒト試験] 106名の被検者に5%ジメチコン溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激性&皮膚感作性試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、試験期間中においていずれの被検者も有害な皮膚反応はみられず、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった(European Centre for Ecotoxicology and Toxicology of Chemicals,2011)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

5.2. 眼刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[12b]によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に100%ジメチコンを点眼し、点眼後に眼刺激スコア0-110のスケールで眼刺激性を評価したところ、眼刺激スコアは4.7であり、この試験物質は最小限の眼刺激剤と結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に90%ジメチコンを含む混合物を点眼し、点眼7日目まで眼刺激性を評価したところ、この試験物質は眼刺激剤ではないと結論付けられた(Springbom Labs,1991)

このように記載されており、試験データをみるかぎり非刺激-最小限の眼刺激が報告されているため、一般に眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

5.3. 光毒性(光刺激性)および光感作性

ジメチコンは紫外線を吸収しないため、光毒性および光感作性試験は行われていません[14]

5.4. 皮膚吸収性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[12c]によると、

  • [ヒト試験] 5名の被検者の背中にジメチコン50mg/kgを1日1回10日間にわたって適用し、適用1,3,6,8および10日後に血液および尿中のケイ素の量として皮膚吸収性を評価したところ、いずれの被検者においても血中および尿中の有意なケイ素の増加はみられず、この試験物質は皮膚に吸収されないと結論付けられた(Hobbs et al,1972)

このように記載されており、試験データをみるかぎり皮膚吸収なしと報告されているため、一般に皮膚吸収性はほとんどないと考えられます。

6. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「ジメチコン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,505.
  2. ab日光ケミカルズ株式会社(2016)「シリコーン油およびフッ素油」パーソナルケアハンドブックⅠ,87-94.
  3. 入船 真治(2016)「シリコーンオイルの種類、性質」シリコーン大全,54-85.
  4. 浦部 晶夫, 他(2021)「ジメチコン」今日の治療薬2021:解説と便覧,804.
  5. 日本医薬品添加剤協会(2021)「ジメチルポリシロキサン」医薬品添加物事典2021,286-287.
  6. ab樋口 浩一, 他(2016)「化粧品用シリコーン」シリコーン大全,201-209.
  7. ab信越化学工業株式会社(2021)「シリコーンオイル」化粧品用シリコーン オリジナル原料 Plus,5.
  8. abクラーレンス・R・ロビンス(2006)「毛形態学的構造および高次構造」毛髪の科学,1-68.
  9. abcデール・H・ジョンソン(2011)「毛髪のコンディショニング」ヘアケアサイエンス入門,77-122.
  10. クラーレンス・R・ロビンス(2006)「シャンプー、髪の手入れ、ウェザリング(風化)による毛髪ダメージおよび繊維破断」毛髪の科学,293-328.
  11. 坂井 章人(2011)「微粒子粉体:紫外線防止と粉体」色材協会誌(84)(9),329-334. DOI:10.4011/shikizai.84.329.
  12. abcF.A. Andersen(2003)「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone, Dimethicone, Methicone, Amino Bispropyl Dimethicone, Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate, Behenoxy Dimethicone, C24–28 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Methicone, C30–45 Alkyl Dimethicone, Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone, Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone, Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone, Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone, Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」International Journal of Toxicology(22)(2_suppl),11-35. DOI:10.1080/10915810390204854.
  13. W.F. Bergfeld, et al(2022)「Amended Safety Assessment of Dimethicone, Methicone, and Substituted-Methicone Polymers as Used in Cosmetics(∗8)」, 2022年4月22日アクセス.
    ∗8 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。
  14. 近藤 秀俊・菅沼 紀之(2014)「シリコーンの歴史と安全性」化粧品の安全・安心の科学 -パラベン・シリコーン・新原料,98-109.

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