温泉水の基本情報・配合目的・安全性

温泉水

化粧品表示名 温泉水
INCI名 Onsen-Sui
配合目的 基剤 など

1. 基本情報

1.1. 定義

温泉から湧出した湯または水です[1]

温泉とは、温泉法第二条によると、

地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、温泉源から採取されるときの温度が摂氏25℃以上または以下表に掲げる物質を有するもの

含有物質名 含有量(1kg中)
ガス性のものを除く溶存物質 総量1,000mg以上
遊離炭酸 250mg以上
リチウムイオン 1mg以上
ストロンチウムイオン 10mg以上
バリウムイオン 5mg以上
第一鉄または第二鉄イオン 10mg以上
マンガンイオン 10mg以上
水素イオン 1mg以上
臭素イオン 5mg以上
ヨウ素イオン 1mg以上
フッ素イオン 2mg以上
ヒドロヒ酸イオン 1.3mg以上
メタ亜ヒ酸イオン 1mg以上
総イオウ 1mg以上
メタホウ酸 5mg以上
メタケイ酸 50mg以上
重炭酸ナトリウム 340mg以上
ラドン 20(100億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩 1億分の1mg以上

参照元:温泉法第二条および温泉法第二条別表

このように定義されており、化粧品に用いられる温泉水とは温泉源から採取されたこれらのいずれかまたは複数の物質を含む水であると考えられます。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 水性基剤
  • 配合目的についての補足

主にこれらの目的で、スキンケア製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、パック製品、マスク製品、ハンドケア製品、ボディケア製品、クレンジング製品、洗顔料、アウトバストリートメント製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、入浴剤など様々な製品に汎用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 水性基剤

水性基剤に関しては、温泉水は一般にと比較してマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどが豊富であり、これらが皮膚において角質層の水分である天然保湿因子の構成成分であることから、保湿やミネラル補給にアプローチする水性基剤として水の代わりまたは水と併用して様々な製品に使用されています[2]

化粧品成分表示名においては「温泉水」とまとめられますが、実際の機能性は用いる温泉水に依存するため、製品の販売媒体の温泉水に対する温泉地やその温泉水の効果を参照してください。

2.2. 配合目的についての補足

温泉水の中には、群馬県の草津温泉、北海道の豊富温泉、フランスのアベンヌ温泉などアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に有効とされ 、実際に温泉入浴により皮表黄色ブドウ球菌が激減し、アトピー性皮膚炎の症状改善例が多数報告されているものがあります[3][4][5][6]

そういった背景から、アベンヌ温泉水などはアトピー性皮膚炎の症状改善目的を兼ねた温泉水として化粧品に用いられていますが、これは温泉水に共通した機能ではなく、アベンヌ温泉水固有の効果であると考えられることから、補足として記載します。

温泉水はこういった固有の効果や特徴を有していることも少なくないため、製品の販売媒体の温泉水に対する解説も合わせて参照してください。

3. 温泉水個別の配合目的

温泉水は、温泉地により成分組成および効能効果が異なり、化粧品に用いられる温泉水としては、以下の原料が配合されている可能性が考えられます。

原料名 Glacier Thermal Water
構成成分 温泉水安息香酸Naソルビン酸K
特徴 フランスアルプスの氷河由来の温泉水であり、総ミネラル含有量が7,000-10,000㎎/㎏と高く、カルシウム、マグネシウムが豊富
原料名 湯原温泉水
構成成分 温泉水BG
特徴 岡山県真庭市の湯原温泉の源泉水であり、保湿にアプローチする水性基剤として最適
備考 フェノキシエタノールを混合している場合あり
原料名 湯河原温泉水
構成成分 温泉水BGフェノキシエタノール
特徴 神奈川県南西部の有名な温泉街である湯河原町の温泉水であり、保湿にアプローチする水性基剤として最適

4. 安全性評価

温泉水の現時点での安全性は、

  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

温泉は古来から皮膚炎、湿疹や皮膚アレルギーの治癒に用いられており[7]、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. 日本化粧品工業連合会(2013)「温泉水」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,287.
  2. 鈴木 一成(2012)「鉱泉水(温泉水)」化粧品成分用語事典2012,646-647.
  3. K Kubota, et al(1997)「Treatment of refractory cases of atopic dermatitis with acidic hot-spring bathing」Acta Dermatol Venereologica(77)(6),452-454. PMID:9394980.
  4. 久保田 一雄(2016)「皮膚疾患に対する草津温泉療法」日本温泉気候物理医学会雑誌(79)(1),17. DOI:10.11390/onki.79.1.17.
  5. 村上 慎之介(2019)「豊富温泉入浴によるアトピー性皮膚炎抑制メカニズムの解明」日本健康開発雑誌(40),105-110. DOI:10.32279/jjhr.40.0_105.
  6. 鈴木 能里, 他(2013)「セレクチオーズ,アベンヌ温泉水による肌の保湿と製品開発」Fragrance Journal(41)(12),67-75.
  7. 大島 良雄(1971)「温泉とアレルギー」日本温泉気候物理医学会雑誌(35)(3-4),3-10. DOI:10.11390/onki1962.35.3-4_3.

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