水添ヤシ油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
水添ヤシ油
[化粧品成分表示名称]
・水添ヤシ油

[医薬部外品表示名称]
・水素添加ヤシ油

ココヤシの種子から得られるヤシ油の酸化しやすい部分に水素を結合させて酸化安定性を高めた油です。

水添とは水素添加のことで、酸化しやすい不飽和脂肪酸に水素を結合することで酸化しにくくするのですが、ヤシ油はもともと大部分が飽和脂肪酸で酸化安定性が高いのですが、残った不飽和脂肪酸を水素添加することで酸化安定性がより向上し、よりベタつかずサラッとした感触が得られます。

コシがありさっぱりとした感触の天然天然ワックスとして口紅やファンデーションなどのメイクアップ製品やスキンケア化粧品に広く使用されています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

水添ヤシ油の配合製品数と配合量の調査結果(2006-2008年)

水添ヤシ油の配合製品数と配合量の比較調査結果

スポンサーリンク

水添ヤシ油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

水添ヤシ油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限の眼刺激性が起こる可能性はあるものの、アレルギー性(皮膚感作性)もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Coconut Oil, Coconut Acid, Hydrogenated Coconut Acid, and Hydrogenated Coconut Oil」(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 4つの9匹のウサギの群で未希釈の水添ヤシ油の刺激性を評価したところ、3つの群では刺激は観察されなかったが、4つ目の群では一次刺激スコア最大8.0のうち0.1を示し、最小限の刺激性が報告された
  • [動物試験] 3匹の剃毛したウサギに10%水添ヤシ油を含む2つの口紅製剤0.5mLを4日間適用したところ、皮膚刺激は観察されなかった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Coconut Oil, Coconut Acid, Hydrogenated Coconut Acid, and Hydrogenated Coconut Oil」(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 10つの6匹のウサギの群の眼に未希釈の水添ヤシ油をそれぞれ単回注入し、眼をすすがなかったところ、1回目の試験で最大眼刺激スコア110のうち6(軽度の眼刺激)が観察され、眼は4日目までに正常に戻った。別の試験では最大眼刺激スコア110のうち2(最小限の眼刺激)が観察され、3日目までに正常に戻った。8回の試験において無視できるまたは最小限の眼刺激が観察され、2日目までに臨床的に正常に戻った

と記載されています。

試験結果では共通して、最小限の眼刺激性が報告されているため、最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Coconut Oil, Coconut Acid, Hydrogenated Coconut Acid, and Hydrogenated Coconut Oil」(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 204人の女性に10%水添ヤシ油を含む口紅製剤を単回48時間適用したところ、皮膚刺激の兆候はなく、14日後に行われた再試験で感作の兆候もなかった
  • [動物試験] 15匹の剃毛したモルモットの背部に誘導期間として5%水添ヤシ油0.5mLを6時間閉塞パッチ適用し、この手順を週3回合計9回繰り返した。2週間の未適用期間を空けて、誘導期間と同じ手順で未処置部位に単回チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24時間後に皮膚反応を評価したところ、有意に皮膚反応を示したモルモットはおらず、水添ヤシ油は非監査物質であると結論づけられた

と記載されています。

試験結果では共通して非感作性物質であると報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
水添ヤシ油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、水添ヤシ油は毒性なし(∗2)となっており、毒性はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

水添ヤシ油はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Coconut Oil, Coconut Acid, Hydrogenated Coconut Acid, and Hydrogenated Coconut Oil」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818609141927> 2018年1月1日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ