水添ポリイソブテンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
水添ポリイソブテン
[化粧品成分表示名称]
・水添ポリイソブテン

[医薬部外品表示名称]
・軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン

イソブチレンの重合体を水素添加して得られる炭化水素の混合物(油性成分)です。

揮発性のある油でにおいはほとんどなく、高重合シリコーンを溶かし込む溶媒として利用されます。

化粧品に配合される場合は、ウォータープルーフを特性とするメイクアップ製品や日焼け止め製品に多く使用されています。

実際の配合製品数や配合量は、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

水添ポリイソブテンの配合状況の比較調査

ほとんどがリーブオン製品で、10年間で配合製品数が3倍以上に急増しているのがわかります。

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水添ポリイソブテンの安全性(刺激性・アレルギー)について

水添ポリイソブテンの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Polyisobutene and Hydrogenated Polyisobutene as Used in Cosmetics」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] CTFAは25名の被検者(11~59歳)を対象に100%水添ポリイソブテン、60%水添ポリイソブテンを含むワセリン、40%水添ポリイソブテンを含むワセリン、20%水添ポリイソブテンを含むワセリンの4つの試験物質をそれぞれ72時間閉塞パッチ適用したところ、いずれの被検者においても反応はなく、したがっていずれの試験物質も皮膚刺激を生じないと結論づけた(CTFA,1974a)
  • [ヒト試験] CTFAは51名の被検者(18~59歳)を対象に100%水添ポリイソブテン、50%水添ポリイソブテンを含むオリーブ油、100%オリーブ油をそれぞれ24時間閉塞パッチ適用したところ、水添ポリイソブテンはいずれの被検者においても皮膚刺激をもたらさなかった(CTFA,1974b)
  • [ヒト試験] 25人の男女に水添ポリイソブテンと天然のスクアレンを並行して72時間一次皮膚刺激パッチ試験を行ったところ、皮膚刺激がなかったことを報告した(Davis,1976)
  • [ヒト試験] CTFAによって提出された臨床評価報告書によると、66.11%水添ポリイソブテンを含むリップグロスを用いた24時間単一パッチ試験を行ったところ、刺激性は観察されなかった(CTFA,1999)

と記載されています。

ヒト試験結果では共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Polyisobutene and Hydrogenated Polyisobutene as Used in Cosmetics」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] CTFAは4%水添ポリイソブテンを含む3色コンシーラーを29日間使用した場合の眼刺激性を評価した。59人の被検者(18~55歳、32人はコンタクトレンズを着用)に1日1回眼の周りを覆うようにコンシーラーを塗布するよう指示し、8,15および22日目に刺激性を評価したところ、こnコンシーラーに有害な反応はなく、すべての被検者の眼刺激スコアは0であった(CTFA,1996)
  • [ヒト試験] CTFAは10%水添ポリイソブテンを含む製品の眼刺激性を評価した。敏感肌または敏感な目の診断歴のある5人の女性被検者の両眼の外皮にこの製品を午前と午後に1回ずつ5日間塗布したところ、被検者に刺激の兆候はみられなかった。したがってこの製品は1日2回5日間にわたって使用したとき目領域に無毒であると結論付けられた(CTFA,2003)

と記載されています。

共通して眼刺激性はまったく起こっていないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Polyisobutene and Hydrogenated Polyisobutene as Used in Cosmetics」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 270人の被検者に100%水添ポリイソブテン、20%水添ポリイソブテンを含むワセリン、100%スクアレン、20%スクアレンを含むワセリンの4種類の試験物質をDraize法に基づいて反復パッチを週に3回10週にわたって適用し、14日の無処置期間を経て48時間のチャレンジパッチを適用した。注目すべき点は270人中55人に対してはパッチ適用前に皮膚を擦過させて、擦過部位にパッチを適用したことである。チャレンジパッチの48時間後に採点したところ、いずれの被検者においてもアレルギー感作性は生じなかった(CTFA,1974)
  • [ヒト試験] 54人の被検者に誘導期間において4%水添ポリイソブテンを含む製剤0.2~0.3mLのパッチを片腕に3箇所ずつ合計6箇所で2週間の間に8回適用し、2週間の無処置期間を経て5週目に24時間チャレンジパッチを適用した。パッチ除去24,48および72時間後に採点したところ、いずれの被検者にも感作反応はなかった(CTFA,1996)
  • [ヒト試験] 110人の被検者(男性35人、女性75人、18~76歳)に誘導期間として51%水添ポリイソブテンを含むメイクアップリムーバーを24時間週3回合計9回にわたってパッチ適用し、チャレンジ期間には誘導期間の試験部位と未処置の部位の2箇所にパッチ適用し、パッチ除去24および48時間後に評価したところ、110人中109人には反応がみられなかったが、しかしながら、誘導期間において1人の被検者に激しい発赤がみられたため、この1人の被検者は誘導期間を停止した。チャレンジ期間では、激しい発赤を有する被検者を含むすべての被検者において皮膚刺激および皮膚感作の兆候はなかったため、この試験物質は非刺激性および非感作性であると判明した(CTFA,2003)
  • [ヒト試験] 28人の被検者(18~58歳)に誘導期間において10.5%水添ポリイソブテンを含むアイシャドー0.05mLを上腕外側、前腕手のひら側、背中の3箇所に24時間合計5回適用し、10日間の無処置期間を経てチャレンジパッチを未処置部位に適用した。パッチ除去48および72時間後で接触アレルギーが観察された例はなかった。この結果から試験物質は接触感作性をもたないため、通常の使用条件下で反応を起こす可能性は低いと結論づけた(Ivy Laboratories,2005)

と記載されています。

ヒト試験結果では共通して皮膚感作性は観察されておらず、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Polyisobutene and Hydrogenated Polyisobutene as Used in Cosmetics」(文献1:2008)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者(18~69歳)の背部に誘導期間として4%水添ポリイソブテン、1.44%水添ポリイソブテンをそれぞれ毎週月~木3週間にわたって12回適用し、火曜および木曜のパッチ除去後に最小紅斑の2倍の線量および6~8ジュールのUVAを照射した。2週間の休息期間を経てチャレンジパッチを24時間適用し、パッチ除去後に10mm以内のUVA(16~20ジュール)を照射した。パッチ除去後1,24,48および72時間後に部位を採点したところ、この試験物質は光感作性および光毒性はみられなかった(CTFA,1996)

と記載されています。

ヒト試験結果はひとつですが、光感作性も光毒性も一人も反応がでておらず、国内で光毒性や光感作性の報告もみあたらないため、光毒性および光感作性が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
水添ポリイソブテン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、水添ポリイソブテンは■(∗2)となっていますが、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

水添ポリイソブテンはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2008)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel on the Safety Assessment of Polyisobutene and Hydrogenated Polyisobutene as Used in Cosmetics」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19101833> 2017年10月26日アクセス.

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