水添ヒマシ油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良剤 増粘剤
水添ヒマシ油
[化粧品成分表示名称]
・水添ヒマシ油

[医薬部外品表示名称]
・硬化油、硬化ヒマシ油

[慣用名]
・カスターワックス

ヒマシ油に水素を添加して酸化安定性を高めた白色の固形脂肪(飽和トリグリセリド)です。

油系ベースのゲル化および安定化効果に加えて肌への密着性もあるため、主にカルナウバロウキャンデリラロウの代替品として、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、口紅などのリップおよびペンシル系メイクアップ化粧品に使用されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

水添ヒマシ油の配合製品数と配合量の調査結果

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水添ヒマシ油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

水添ヒマシ油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はなく、眼刺激性はデータ不足により詳細不明ですが、健常な皮膚においてアレルギー性(皮膚感作性)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、水添ヒマシ油は低濃度でアレルゲンが存在することを示す報告があるので、ヒマシ油アレルギーの方は使用を避けるかパッチテストを行ってからの判断を推奨します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil, Hydrogenated Castor Oil, Glyceryl Ricinoleate, Glyceryl Ricinoleate SE, Ricinoleic Acid, Potassium Ricinoleate, Sodium Ricinoleate, Zinc Ricinoleate, Cetyl Ricinoleate, Ethyl Ricinoleate, Glycol Ricinoleate, Isopropyl Ricinoleate, Methyl Ricinoleate, and Octyldodecyl Ricinoleate」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] オランダ接触皮膚炎グループのメンバーに対して皮膚科医が化粧品の接触性アレルギーの疑いのある1~20人の患者にパッチテスト(手順の詳細不明)したところ、30%水添ヒマシ油を含むワセリンで皮膚反応は示されなかった(de Groot,1994)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、化粧品に対する接触皮膚炎の疑いのある患者で皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データはみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil, Hydrogenated Castor Oil, Glyceryl Ricinoleate, Glyceryl Ricinoleate SE, Ricinoleic Acid, Potassium Ricinoleate, Sodium Ricinoleate, Zinc Ricinoleate, Cetyl Ricinoleate, Ethyl Ricinoleate, Glycol Ricinoleate, Isopropyl Ricinoleate, Methyl Ricinoleate, and Octyldodecyl Ricinoleate」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 4種のカスターワックス抽出物の感作性をカスターアレルゲンに対して職業的に過敏である3人の被検者で評価した。試験物質はパッチ試験とプリック試験の両方を用いて皮膚に適用した。プリックテストは浮腫および5mmを超える浮腫をともなうフレア反応を陽性反応を陽性と定義し、カスターワックス抽出物を22,000μgまでの濃度で試験したところ、皮膚反応は示されなかった。パッチ試験では、カスターワックス抽出物を含む半閉塞パッチを24および48時間適用し、パッチ除去24および48時間後に皮膚反応をスコア化したところ、3人の被検者は遅延反応(陽性反応)を示した。一方で同時に試験したカスターワックスにアレルギーのない健常な被検者はプリックテストおよびパッチテストで皮膚反応がなかった(Lehrer et al.,1980)

と記載されています。

試験結果によると、ヒマシ油にアレルギーのない場合は皮膚感作なしと報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はないと考えられます。

試験では、職業的にカスターアレルゲンに過敏である被検者のいずれも皮膚感作試験で陽性反応がでていますが、これは工場などで毎日ヒマシ油に曝露される環境にいることでヒマシ油過敏症になった場合なので、一般的な化粧品使用では問題ないと考えられます。

ただし、安全性データの中で、水添ヒマシ油の中に低濃度でアレルゲンが存在することを示す報告があるので、ヒマシ油アレルギーの方は使用を避けるかパッチテストを行ってからの判断を推奨します。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
水添ヒマシ油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、水添ヒマシ油は毒性なし(∗2)となっており、毒性はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

水添ヒマシ油はベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil, Hydrogenated Castor Oil, Glyceryl Ricinoleate, Glyceryl Ricinoleate SE, Ricinoleic Acid, Potassium Ricinoleate, Sodium Ricinoleate, Zinc Ricinoleate, Cetyl Ricinoleate, Ethyl Ricinoleate, Glycol Ricinoleate, Isopropyl Ricinoleate, Methyl Ricinoleate, and Octyldodecyl Ricinoleate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810701663150> 2017年12月31日アクセス.

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