水添パーム核油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 感触改良
水添パーム核油
[化粧品成分表示名称]
・水添パーム核油

[医薬部外品表示名称]
・硬化油

パーム核油に水素添加することで得られる飽和脂肪酸のトリグリセリドです。

水素添加とは、比較的融点(∗1)の低い不飽和脂肪酸を多く含むために常温で液体となっている油脂の二重結合(不飽和結合)部分に水素を添加し、酸化しにくく融点の高い一重結合(飽和結合)に変化させ、酸化安定性を高めて常温で固体状にする化学的処理です(∗2)

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

∗2 代表的な水素添加油はマーガリンで、あれは元々バターが高価であることから、バターの代替として開発された加工食品であり、油脂に発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し、水素添加することで常温で固体にしています。

水添パーム核油のヨウ素価および融点は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類 融点
不明 不乾性油 46

一例としてこのように記載されていますが(文献1:2000)、ヨウ素価は詳細は不明ですが化学的に
100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどなく、また融点は46℃で、常温で固体を保ちます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2000)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、酸化安定性が高く、ベタつかずサッパリとした感触を付与するため、メイクアップ化粧品のエモリエント基剤として使用されています(文献1:2000)

感触改良

感触改良に関しては、油性基剤の硬さと粘性を調節する目的でスキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品などに使用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1997年および2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

水添パーム核油の配合製品数と配合量の調査結果(1997年および2010年)

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水添パーム核油の安全性(刺激性・アレルギー)について

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2010)によると、

  • [ヒト試験] 18.6%水添パーム核油を含むアイライナー製品の刺激可能性を60人の女性被検者を用いて評価した。プレ試験としてアイライナーを含む半閉塞パッチを各被検者の腕に24時間適用したあと、被検者は少なくとも1日2回28日間にわたってアイライナーを適用してもらい、試験の7,14および21日目に眼科検査をを行った。試験を完了した59人のうち17人はまぶたに一過性の軽度の腫脹を示したが、観察された軽度の眼の刺激は正常の範囲内と判断され、アイライナーは通常の条件下で有意な眼刺激または感作を生じなかったと結論づけられた(Harrison Research Laboratories Inc,1994)
  • [ヒト試験] 17.3%水添パーム核油を含むアイライナーの刺激性を50人の健康な女性被検者で評価した。各被検者に28日間連続でアイペンシルを1日2回適用してもらい反応を評価したところ、1人の被検者に一過性の赤みがみられたが、これは製品適用と無関係と考えられた。この試験条件下ではアイペンシルはいずれの被検者においても刺激を誘発しなかった(Biosearch Inc,1988-1989)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2010)によると、

  • [動物試験] 8匹のウサギの結膜嚢に未希釈の水添パーム核油を10日間にわたって点滴注入し、点滴後最初の1分で眼刺激性を検査したところ、反応は5~30分以内に消失し、その時点で処置された眼は未処置の眼と差異はなく、さらに10日観察したところ、異常は観察されなかった。この結果から眼刺激性は軽度であると結論づけられた(Khadzhay, Nikolaevas and Pavlova,1975)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、軽度の眼刺激性と報告されているため、軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

水添パーム核油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2000)「Final Report on the Safety Assessmentof Elaeis Guineensis (Palm) Oil, Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil, Hydrogenated Palm Oil and Hydrogenated Palm Kernel Oil」International Journal of Toxicology(19)(2),7-28.

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