ラウロイルリシンとは…成分効果と毒性を解説

ベース 感触改良 表面処理
ラウロイルリシン
[化粧品成分表示名称]
・ラウロイルリシン

[医薬部外品表示名称]
・Nε-ラウロイル-L-リジン

化学構造的に高級脂肪酸の一種であるラウリン酸とアミノ酸の一種であるリシンのアミド(∗1)であり、分子量328.5の六角板状の結晶(アミノ酸系体質顔料)です(文献2:2020)

∗1 アミドとは、脱水縮合した構造のことを指し、脱水縮合とは化学構造的に分子と分子から水(H₂O)が離脱することにより分子と分子が結合する反応(縮合反応)のことです。

ラウロイルリシンは、もともとアミノ酸系界面活性剤の一種として研究・開発され、両性界面活性剤の構造をもちますが、水を含むほとんどの溶媒に対して不溶性であることから界面活性剤として機能しないため、ラウロイルリシンが有する撥水性(∗2)や潤滑性などを活かした機能性粉体として汎用されています(文献3:1992;文献4:1995)

∗2 撥水性とは水をはじく性質のことです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品に汎用されています。

感触改良

ラウロイルリシンは、潤滑性に優れておりかつ透明性が高いことから、滑り性の向上および滑らかでしっとりした感触を付与する目的でファンデーション、チーク、アイシャドー、プレストパウダー、口紅などに汎用されています(文献3:1992)

また、ラウロイルリシンは疎水性であり、他の親水性無機粉体(∗3)に数%添加することにより、親水性無機粉体の表面に吸着して疎水化することが知られており(文献3:1992)、親水性無機粉体に撥水性を付与する目的でも汎用されています。

∗3 代表的な親水性無機粉体としてはタルクマイカ酸化チタンカオリンなどがあります。

親水性粉体の表面処理

親水性粉体の表面処理に関しては、ラウロイルリシンは化学構造的に親水表面に親和性の高いリシン残基と疎水的アシル基をもつことから、親水性粉体の表面改質剤として用いられており(文献4:1995;文献5:1993)、とくにマイカ、タルク、酸化チタンなどの油性基剤に分散しにくい粉体の表面処理に使用されています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ラウロイルリシンの配合製品数と配合量の調査結果(2013年)

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ラウロイルリシンの安全性(刺激性・アレルギー)について

ラウロイルリシンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1990年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者に8.36%ラウロイルリシンを含むチーク製品0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった(Consumer Product Testing Co,2006)
  • [ヒト試験] 600人の被検者に12.5%ラウロイルリシンを含むフェイシャルパウダー製品0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)をガーゼパッド適用にて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激、皮膚疲労および皮膚感作を誘発しなかった(Orentreich Research Corporation,2005)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

味の素の安全性データ(文献3:1992)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に20%ラウロイルリシンを適用し、一群は眼をすすぎ、もう一群は眼をすすがず、眼刺激性を評価したところ、非洗眼群では24時間でわずかな刺激が観察されたが、それ以降は消失し、洗眼群はいずれも眼刺激は観察されなかった。この試験物質は実質的に眼刺激性を誘発しないと結論付けられた

と記載されています。

試験データをみるかぎり、実質的に眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ラウロイルリシンはベース成分、表面処理剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 表面処理剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Amino Acid Alkyl Amides as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(36)(1_Suppl),17S-56S.
  2. “Pubchem”(2020)「N-Lauroyl-L-lysine」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/N-Lauroyl-L-lysine> 2020年1月21日アクセス.
  3. 坂本 一民, 他(1992)「アミノ酸系機能性粉体」色材協会誌(65)(2),88-94.
  4. 坂本 一民(1995)「アミノ酸系界面活性剤」油化学(44)(4),256-265.
  5. G Uzunian, et al(1993)「Improving eye shadow compressibility: the effects of lauroyl lysine coating on platy substrates」Cosmetics & Toiletries(108)(2),93-98.

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