ミツロウとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
ミツロウ
[化粧品成分表示名称]
・ミツロウ

[医薬部外品表示名称]
・ミツロウ、サラシミツロウ

ミツバチの巣を溶かしロウを採取して精製したもので白色や淡黄色の固体です。

漂白精製したものは白色になりますが、これはサラシミツロウ(白ロウ)とも呼ばれていますが、成分表示名はどちらもミツロウになるので、名前だけでは判別ができないので、知りたい場合は販売メーカーに問い合わせることになります。

古くから化粧品に配合されており、粘りがあり、乳化しやすく、他の油脂やロウ、着色料などを均質化し分散する作用があるため、口紅やチークなど着色料を使うメークアップ化粧品に、ほかのオイル成分と組み合わせて配合して、ベース形状や感触調整によく使用されています。

その粘りを利用し固形を保持しやすいことから、とくに口紅などスティックタイプの化粧品の油性原料として重宝されています。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、2002~2003年の海外の調査報告によると、

ミツロウの配合製品数と配合量の比較調査

1984年との比較としてこのようになっており、リップスティックでの使用がメインといえますが、使用製品数そのものは減少傾向にあります。

スポンサーリンク

ミツロウの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

化粧品としての使用実績は古く、サラシミツロウ(白色)を使用する場合は、毒性や刺激性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)が起こる可能性も低いため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、未精製のミツロウ(淡黄色)は花粉などの不純物が混ざっているので、人によってはアレルギー症状が起こる場合があります。

地域や季節によって花粉の種類は変わり特定は難しいため、アレルギーが不安な方は未精製のミツロウの使用は控えたほうがいいといえます。

成分表示では未精製かどうかわからないことが多いので、確認したい方は販売会社に問い合わせて確認してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax,Carnauba Wax, Japan Wax,and Beeswax」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 98人の人々の背中に6%ミツロウを含む処方物を閉塞パッチ適用し、同時に解放パッチを左の前腕の手のひら側に適用し、両方の結果を48時間後に評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激を示さなかった
  • [ヒト試験] 49人の被検者に6%ミツロウを含む処方物を含ませた閉塞パッチを背中に、また解放パッチを前腕の手のひら側に毎週月水金の3回3週間半にわたって合計10回塗布し、それぞれのパッチは48時間後に評価した。14日の無処置期間を経て11回目の閉塞パッチを適用し、48時間後に評価したところ、いずれの被検者も刺激を示さなかった
  • [ヒト試験] 14人の被検者に6%ミツロウを含むクリームを21日間連続適用したところ、全被検者お合計刺激スコア(最大刺激スコア=630)は6.4だった
  • [ヒト試験] 22人の被検者の前腕の手のひら側に6%ミツロウを含む製剤を48時間ごとに適用し、10~14日間の無処置期間を経てチャレンジパッチを未処置の部位に48時間適用したところ、この製剤は皮膚刺激反応を生じなかった

と記載されています。

いずれの試験結果においても共通して皮膚刺激性がないため、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax,Carnauba Wax, Japan Wax,and Beeswax」(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼の結膜嚢に6%ミツロウを含むクリーム製剤を点滴し、3匹の眼を点滴30秒後に20mLの脱イオン水で洗浄した。24,48および72時間後および4,7日後に眼球反応を評価したところ、24時間後に眼を洗浄していない6匹のうち4匹に最小限のケモーシスが観察され、残りの2匹は最小限の結膜発赤が観察された。洗浄した3匹の眼には刺激は観察されなかった

と記載されています。

試験結果がひとつなので根拠は弱いですが、洗浄なしでも最小限の一過性の刺激だと受け取れるため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax,Carnauba Wax, Japan Wax,and Beeswax」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 14人の被検者に6%ミツロウを含むクリームを21日間連続適用したところ、全被検者お合計刺激スコア(最大刺激スコア=630)は6.4だった
  • [ヒト試験] 22人の被検者の前腕の手のひら側に6%ミツロウを含む製剤を48時間ごとに適用し、10~14日間の無処置期間を経てチャレンジパッチを未処置の部位に48時間適用したところ、この製剤は皮膚感作反応を生じなかった

と記載されています。

試験結果がひとつなので根拠は弱いですが、精製されたミツロウにおいてはアレルギー(皮膚感作性)はほとんどないと考えられます。

未精製の場合は、地域や季節によってミツロウに混ざる花粉の種類が変わり、特定は困難なため、アレルギー体質の方が未精製のミツロウを使用する場合はパッチテストを推奨します。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax,Carnauba Wax, Japan Wax,and Beeswax」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 誘導期間として98人の人々の背中に6%ミツロウを含む処方物を閉塞パッチ適用し、同時に解放パッチを左の前腕の手のひら側に適用し、14日後に2回目のパッチを適用した後、約30cmの距離で1分間UV照射を実施した。48時間後に照射部位を評価したところ、いずれの被検者も光感作の兆候を示さなかった
  • [ヒト試験] 49人の被検者に6%ミツロウを含む処方物を含ませた閉塞パッチを背中に、また解放パッチを前腕の手のひら側に毎週月水金の3回3週間半にわたって合計10回塗布し、それぞれのパッチは48時間後に評価した。14日の無処置期間を経て11回目の閉塞パッチを適用し、48時間後に360nmの波長を照射するUVライトを1分間照射したところ、いずれの被検者も光感作の兆候を示さなかった

と記載されています。

試験結果では共通して光感作性を示さなかったため、光感作性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ミツロウ 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ミツロウは毒性なし(&lowast2;)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

&lowast2; 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ミツロウは ベース成分 にカテゴライズされています。

他のベース成分などベース成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分一覧

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax,Carnauba Wax, Japan Wax,and Beeswax」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409010515> 2017年10月14日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ